今回の経済見通しについてIMFは発表の中で「多くの国で予想を上回る回復力が見られたことを反映している。世界的な景気後退期には、GDPはマイナス成長となることがよくあるが、今回はこうした事態を見込んでいない」としています。
また、IMFのチーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は、記者会見で「前回去年10月の発表以降、リスクは和らぎ世界経済の見通しは悪化していない。これはよいニュースだが十分ではなく持続可能な成長や物価の安定など回復に向けた道は始まったばかりだ」と強調しました。

IMF 世界経済見通し ことしの経済成長率を2.9%へ上方修正
IMF=国際通貨基金は、世界経済の最新の見通しを公表し、ことしの経済成長率をこれまでより0.2ポイント引き上げて2.9%へと上方修正しました。インフレが低下傾向にあることや中国の「ゼロコロナ」政策の転換などが要因です。
IMFは31日、世界経済の最新の見通しを公表し、ことしの世界全体の成長率を2.9%としました。
インフレを抑えるための中央銀行による利上げやロシアによるウクライナ侵攻が経済活動の重しとなり、2019年までの過去20年の平均の成長率3.8%を下回る見通しだとしています。
一方で、多くの国と地域でインフレが低下傾向にあることや、中国が「ゼロコロナ政策」を転換し、急速に経済活動を再開させていることを踏まえ、ことしの成長率を前回の去年10月時点から0.2ポイント引き上げました。
また、来年は3.1%に回復すると予想しています。
国と地域別では、アメリカはことしが1.4%、来年は高い金利水準によって1%に減速するとしています。
また、中国はことしの成長率が5.2%に加速し、来年は4.5%と予想しています。
日本は、日銀の金融緩和の継続などによって、ことしは前回に比べて0.2ポイント引き上げて1.8%まで加速する一方、来年はこれまでの景気刺激策の効果が薄れ0.9%に減速する見込みです。
IMFは「世界経済は依然として下振れのリスクに傾いているが、マイナスのリスクは和らいでいる」と指摘しています。