ウクライナ 欧米側に兵器供給の加速を訴え ロシアは強く反発

ロシア軍がウクライナ東部や南部で攻撃を続けるなか、ウクライナ政府は欧米側に兵器供給を加速させるよう訴えています。一方、ロシア外務省の高官は、戦車の供与を決定した欧米側とは停戦交渉ができる状況にはないと強く反発しています。

ウクライナでは、ロシア軍による攻撃で、南部ヘルソン州や東部ハルキウ州で病院や学校、住宅が被害を受け、地元当局などによりますと、合わせて4人が死亡し、複数人のけが人が出たということです。

ロシア軍は東部ドネツク州のウクライナ側の拠点の1つ、バフムトに向けても部隊を前進させ、周辺で激しい戦闘が続いているとみられます。

これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、欧米諸国に兵器の供給を加速させるよう訴えました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は29日、欧米の軍事支援に関する分析を発表し、ウクライナが国家として生き残るためには不可欠となっていると指摘して、欧米の戦車供与の決定も重要だと評価しました。

一方で「長距離の砲撃システムや高度な防空システム、そして戦車の供与の遅れは、ロシアの作戦の失敗でもたらされていた大規模な反撃作戦の機会を、ウクライナが利用することを制限している」とする見方を示し、戦車供与の決定の遅れで、ウクライナ軍がこの冬の反撃の機会を失った可能性があると指摘しています。

これに対し、戦車の供与を決定した欧米側にロシアは反発を強めていて、ロシア外務省のリャプコフ次官は30日、国営のロシア通信とのインタビューで「こうした状況では、ウクライナだけでなく、ウクライナを操る国々とも話すことは無意味だ」と述べ、停戦交渉ができる状況にはないと批判しました。

さらにアメリカとの核軍縮条約「新START」についても、条約が失効する3年後の2026年以降、米ロ間の新たな核軍縮条約が存在しなくなる可能性に触れ「大いにありうるシナリオだ。その準備ができている」と述べて、強くけん制しました。