性被害受けた元自衛官の女性 十分な調査や対応せず 国など提訴

陸上自衛隊で性被害を受けた元自衛官の女性が、被害を申し出たにもかかわらず、十分な調査や対応がとられなかったなどとして、国と加害者に対し、合わせて750万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。

元陸上自衛官の五ノ井里奈さん(23)は、去年まで所属していた福島県郡山市にある部隊で、複数の隊員から性被害を受けたと訴え、防衛省は先月、性暴力を行ったとして、上司だった隊員5人を懲戒免職の処分にしました。

五ノ井さんは30日、日本記者クラブで会見を開き、被害を申し出たにもかかわらず、十分な調査や対応がとられず、精神的な苦痛を受けたなどとして、国と加害者5人に対し、合わせて750万円の損害賠償を求める訴えを横浜地方裁判所に起こしたことを明らかにしました。

五ノ井さんは、国を訴えたことについて「被害を申告したときに、ちゃんと調査していれば、退職しないで今も自衛官として勤務できたと思っているので、調査をおろそかにした責任はあると思う」などと話しています。

防衛省は訴えについて「訴状が届いた時点で関係機関と検討の上、適切に対応して参りたい」とコメントしています。

松野官房長官「訴状届いた時点で適切に対応」

松野官房長官は、午後の記者会見で「現時点では訴状が届いておらず、コメントは差し控えたい。届いた時点で関係省庁で内容を検討のうえ、適切に対応していく。現在、防衛省では特別防衛監察や有識者会議において、ハラスメント防止対策の抜本的な見直しを行っていて、それらの取り組みをしっかり進めていくことが重要だ」と述べました。