【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(30日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる30日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシアの民間軍事会社「ワグネル」 戦闘員の死傷者拡大か

ロシアの民間軍事会社「ワグネル」をめぐり、ロシア南部のクラスノダール地方の墓地で戦闘員の墓が急速に増えていると、ロイター通信が伝えています。

この墓地はワグネルの代表のプリゴジン氏が訪れたこともあり、ロイター通信は人工衛星の画像をもとに、去年夏までは未使用だった区画が、今月24日の時点ではすべて埋まっている様子が確認できたとしています。

また、イギリスの有力紙ガーディアンは、アメリカ政府の当局者の話として、今月上旬までにワグネルの戦闘員が4100人以上死亡し、1万人以上が負傷したという見方を伝えました。

ウクライナの戦闘では、ロシア軍の劣勢もみられる中、ワグネルはおよそ5万人の戦闘員を送り込み、プリゴジン氏が存在感を誇示しているとも指摘されてきました。

一方、ロシアでは今月、ゲラシモフ参謀総長が軍事侵攻の総司令官に就いて、指揮統制の立て直しを図っているとみられ、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、ロシアはワグネルへの依存度を下げつつあり、プリゴジン氏の影響力も弱まっている可能性が高いと分析しています。

ロシア外務省次官“停戦交渉できる状況にない”

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は29日、欧米の軍事支援に関する分析を発表し、ウクライナが国家として生き残るためには不可欠となっていると指摘して、欧米の戦車供与の決定も重要だと評価しました。

一方で「長距離の砲撃システムや高度な防空システム、そして戦車の供与の遅れは、ロシアの作戦の失敗でもたらされていた大規模な反撃作戦の機会をウクライナが利用することを制限している」とする見方を示し、戦車供与の決定の遅れで、ウクライナ軍がこの冬の反撃の機会を失った可能性があると指摘しています。

これに対し、戦車の供与を決定した欧米側にロシアは反発を強めていて、ロシア外務省のリャプコフ次官は30日、国営のロシア通信とのインタビューで「こうした状況では、ウクライナだけでなく、ウクライナを操る国々とも話すことは無意味だ」と述べ、停戦交渉ができる状況にはないと批判しました。

ウクライナ東部 集合住宅にミサイル 1人死亡 けが人複数

ウクライナ東部のハルキウで29日夜、4階建ての集合住宅にミサイルが着弾し、ハルキウ州のシネグボフ知事によりますと1人が死亡し、複数のけが人が出ているということです。

現地の映像では、4階建ての建物の最上階の部分が大きく壊れ、白い煙が立ちのぼっています。

また、建物の周辺では一面にがれきが散乱する中、消防隊員が明かりを照らしながら活動する様子が確認できます。

集合住宅の2階に住んでいるという女性は「ベッドにいたところ突然、強い衝撃が私を押し上げました。どうして死なずにすんだのか私にはわかりません」と震えながら話していました。

ウクライナ軍兵士 イギリスに到着 戦車の訓練へ

イギリス国防省は29日「ウクライナ軍の戦車部隊の兵士が訓練を開始するためイギリスに到着した」とSNSに投稿し、兵士たちが航空機から降りてくる写真を掲載しました。

イギリス政府はドイツやアメリカに先立って主力戦車「チャレンジャー2」のウクライナへの供与を決め、国防省の高官は30日からイギリス国内で戦車の操縦や整備についての訓練を開始する見通しを示しています。

ウクライナ南部で砲撃 3人死亡と発表

ウクライナ南部のヘルソン州の当局は29日、ロシア軍が州都ヘルソンに向けて砲撃を行い、病院や学校が被害を受けて3人が死亡し、看護師など少なくとも6人がケガをしたと発表しました。

ロシア国防省 ウクライナのミサイル着弾で14人死亡と発表

ロシア国防省は28日、東部ルハンシク州の支配地域にある病院にミサイルが着弾して14人が死亡したと発表し、ウクライナ軍の高機動ロケット砲システム=ハイマースによる攻撃だと主張しました。

これについてウクライナ政府からの反応は出ていませんが、ロシア側は外務省も29日、声明を発表し、ウクライナと、軍事支援を行う欧米を一方的に非難していて、ロシア軍が再び大規模な攻撃を仕掛ける可能性も指摘されています。

ゼレンスキー大統領「新たな武器の供給を加速」

ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、新たに公開した動画で東部ドネツク州のバフムトなどでウクライナの防衛部隊が激しい攻撃にさらされていると述べました。そして、ウクライナ南部のヘルソンでロシア軍による砲撃で病院や学校が被害を受け3人が死亡したことについてロシア側を強く非難しました。

そのうえで「ロシアは戦争を長期化させ、われわれの戦力を疲弊させようとしている。ウクライナに必要な新たな武器の供給を加速させなければならない」と訴えました。

またゼレンスキー大統領はIOC=国際オリンピック委員会がロシアの選手の国際大会への復帰を検討していることに関連して、来年パリオリンピックを開催する予定のフランスのマクロン大統領に書簡を送ったと明らかにしました。そして「オリンピックなどのスポーツイベントを利用して、ロシアに、侵略や排他的な愛国主義を助長させてはならない」と述べ、ロシアの選手を国際大会に復帰させないよう訴えています。