【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(27日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア大統領府報道官 戦車供与決定のアメリカを批判

アメリカ政府によるウクライナへの軍事支援をめぐってロシア大統領府のペスコフ報道官は27日に「アメリカの大統領がこの紛争を終わらせたければ、ウクライナの政権に指示を出すだけですぐにできるはずだ。しかしいまの指導者はそれを望んでいないようだ。それどころかさらに兵器を送り込む道を選んでいる」と述べ、主力戦車「エイブラムス」の供与を決めたバイデン政権を一方的に批判しました。

また、日本政府がウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対する追加の制裁措置を閣議で了解したことについて、「われわれは制裁のもとでの生活に適応している。新たな決定は何の効果もない」と強気の姿勢を示しました。

そのうえで「当然、自国の利益を最優先に対抗策を検討することになる」と述べ、制裁への対抗措置を講じる考えを示唆しました。

ロシアの攻撃 インフラも被害 原発の安全性への懸念再び

ウクライナでは26日、首都キーウや南部オデーサなど各地でロシア軍によるミサイルや無人機の攻撃があり、ウクライナ国営の電力会社によりますと各地の電力インフラも被害を受け、オデーサなど南部では電力の供給に影響が出ているということです。

一方、IAEAのグロッシ事務局長は26日、声明を発表し、南部にあるザポリージャ原子力発電所の周辺で25日から26日にかけて大きな爆発音が相次いで聞こえたと、常駐させている専門家から報告を受けたことを明らかにしました。

ロシア軍が占拠を続けるザポリージャ原発では周辺で戦闘が激しくなる中で安全性への懸念が再び高まっていて、グロッシ事務局長は、安全を確保する区域の設定を急ぐ必要性を強調しました。

バイデン大統領 ロシアの軍事侵攻1年でヨーロッパ訪問か

アメリカの複数のメディアは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻開始から1年になるのに合わせて、来月、バイデン大統領がヨーロッパ訪問を検討していると伝えました。

このうちNBCテレビは複数の政府高官の話として、訪問先はポーランドなどが議論されているとしているほか、同じタイミングで新たな大規模な軍事支援の発表も検討しているとしています。

一方、CNNは政府関係者の話として、ヨーロッパは訪問するもののウクライナへの訪問はセキュリティ上の観点から難しいだろうと伝えています。

カナダも戦車4両をウクライナに供与へ

欧米各国がウクライナに対する戦車の供与を表明するなか、カナダのアナンド国防相も26日、保有するドイツ製の戦車「レオパルト2」4両を供与すると明らかにしました。

アナンド国防相は「きょうの発表はウクライナに永続的に関わっていくことの証しだ。カナダは自由と民主主義を守るためウクライナとともにある」と述べました。供与は、数週間以内に行われる予定で、兵士を派遣して運用訓練などを行うほか、他国と調整したうえでさらなる供与も検討する可能性があるということです。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、26日公開した動画の中で「ロシアの侵略は、適切な兵器によってのみ、阻止することができる」などと述べ、カナダを含め、戦車への供与を表明した国などに対し感謝の意を示しています。

ウクライナ軍 ソレダールから撤退 ウクライナメディアが伝える

ウクライナメディアは25日、ウクライナ軍の報道官の話として、激しい戦闘が続いていた東部ドネツク州の町ソレダールから、ウクライナ軍が撤退したと伝えました。報道官は、ウクライナ軍はソレダールから撤退したものの徹底抗戦した結果、ロシア側の部隊を消耗させることができたと強調したということです。

ソレダールは、ウクライナ側の拠点のひとつ東部ドネツク州のバフムトの近郊にあり、ロシア国防省が13日、町を掌握したと発表していました。

東部の戦況をめぐってイギリス国防省も18日「ウクライナ軍がソレダールから撤退し、西側に新たな防衛線を構築した可能性が高い」と指摘していました。

英国防省 “ロシア軍部隊の訓練 ベラルーシで恒常的に行われる”

イギリス国防省は26日、ロシア軍が2022年秋から同盟関係にあるベラルーシ国内で訓練を行ってきた部隊の大部分がロシアに戻っていて、今後、ウクライナにほぼ確実に投入されるだろうとする分析を発表しました。

この部隊は、ロシア軍の第1親衛戦車軍に所属する「第2親衛自動車化狙撃師団」です。侵攻の初期段階で大きな打撃を受けたものの、現在は主に動員によって招集されたロシア兵で構成され、数週間、ベラルーシで訓練をうけたと指摘しています。

イギリス国防省は「今後、他の部隊もベラルーシ国内で順番に同じような訓練を受ける可能性があり、ロシアは、このかたちを継続して、ウクライナで戦うロシア軍を維持するための部隊を準備している」として新たな攻撃に向けた部隊の訓練がベラルーシで恒常的に行われるだろうと分析しています。

米財務省 ワグネルを「国際犯罪組織」に指定

アメリカ財務省は26日、ウクライナなどで活動するロシアの民間軍事会社、ワグネルを「国際犯罪組織」に指定したと発表しました。また、ロシアなどのあわせて18の団体や個人を制裁の対象にするとしています。

これによって、アメリカ国内の資産が凍結されるほか、アメリカの個人や企業との取り引きが禁止されることになります。

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は今月20日、ワグネルがおよそ4万人の受刑者を含む5万人の戦闘員をウクライナに送り込んでいると非難していて、戦闘を継続するためにロシア軍がワグネルへの依存を強め、その役割をいっそう増しているとの見方を示しています。

オデーサ 給水装置に「ヨコハマはオデーサとともにあります」

ウクライナ各地で相次いだロシア軍による攻撃で住宅や生活インフラに被害が出ています。このうち南部オデーサで26日に撮影された映像では、多くの人が給水所に列を作り、水をくむ様子が確認できます。

給水装置の一部には英語で「ヨコハマはオデーサとともにあります」と書かれたプレートも掲げられています。横浜市の発表によりますと、横浜市とオデーサ市は姉妹都市で、移動式の浄水装置などを供与しているということです。

一方、首都キーウ近郊で26日撮影された映像では、住宅が大きく破壊されそばの地面に大きな穴があいていることがわかります。

攻撃を受けたとき寝室にいたというこの家の住民は「最初にごう音が聞こえ、そのあと飛び上がるほどの非常に大きな衝撃がありました。私にはもうなにも残っていません」と涙を流しながら話していました。

ドイツとイギリスが供与する戦車 いずれも3月末にも届く見通し

ドイツのピストリウス国防相は、ドイツ製の戦車「レオパルト2」のウクライナへの供与を巡って26日、東部にある軍の演習場で報道陣に対し「ことし3月末あるいは4月のはじめまでには送ることを目標としている」と述べ、3月末にもウクライナに届く見通しだと明らかにしました。

ドイツ政府は25日、「レオパルト2」の2個大隊をウクライナへ供与することを目標に、第1段階としてドイツ軍から14両を供与し、ヨーロッパ各国が保有する「レオパルト2」の供与も認める方針を発表しました。

ドイツは、それまで供与に慎重な姿勢を示してきましたが、ピストリウス国防相は「ためらっていたのではない。同盟国などと現時点での最善の策は何か話し合っていた。そのために時間が必要だった」と述べ、判断を避けてきたのではなく、各国との協議に時間がかかったためだと強調しました。

また、イギリス国防省の高官は26日、議会で陸軍の主力戦車「チャレンジャー2」について、3月末にもウクライナに届く予定だと明らかにしました。

イギリス政府は今月14日、「数週間以内に14両が供与される」としていました。

ウクライナ各地でロシアのミサイルや無人機攻撃 11人死亡

ウクライナでは、26日、首都キーウをはじめ南部オデーサや西部ビンニツァなど各地でロシアによるミサイルや無人機の攻撃が相次ぎました。

各地に防空警報が出されウクライナの非常事態庁は、一連の攻撃によりあわせて11人が死亡し、11人がけがをしたほか、住宅などに被害がでたと発表しました。

このうちキーウのクリチコ市長はSNSで「市内で爆発があった。これまでに1人が死亡、2人がけがをした」と投稿しました。

一方、ウクライナ軍は、ロシア側が発射した55発のミサイルのうち、47発を撃ち落としたとしています。

ドイツやアメリカなど欧米各国が25日、主力戦車をウクライナに供与すると相次いで発表したのに対してロシアは強く反発していました。