【詳しく】新名神高速で立往生 あのとき何が?原因は?

大雪の影響で多くの車が動けなくなった新名神高速道路の立往生。

通行止めから1日以上たってようやく解消されました。

当時、現場では何が起きていたのか?その原因は?

中日本高速道路によりますと、名古屋から関西方面に向かう新名神高速道路の下り線では、立往生が起きる前の24日夜から25日にかけて、のちに立往生の先頭となる滋賀県の甲賀土山インターチェンジのおよそ32キロメートル先にある滋賀県の草津ジャンクション付近で渋滞が発生したということです。
草津ジャンクションから先は、「名神高速道路」と「京滋バイパス」に分かれますが、「京滋バイパス」は24日午後6時前から雪の影響で通行止めとなっていたため、これより手前の滋賀県内で新名神高速道路の交通量が増加したことから、草津ジャンクションで発生した渋滞が甲賀土山インターチェンジ付近まで伸びてきていました。

一方で、新名神高速道路が通る三重県亀山市から大阪方面へと向かう自動車専用道路の「名阪国道」も24日午後7時から大雪による立往生などを防ぐために通行止めになっていました。
この影響で24日深夜から25日未明にかけて、新名神高速道路に流入する車が増えたと考えられるということです。

こうした状況から、中日本高速道路は滋賀県内からの渋滞で走行する車のスピードが落ち、三重県内での後続の車の流入が増えるなか、大雪となって路上で動けなくなる車が次々に出て、立往生につながったとみられるとして調べています。

当事者の女性“眠たくても寝れなかった”

三重県から滋賀県に向かう新名神高速道路下り線で起きた立往生によってパーキングエリアで30時間以上動けないままになったトラック運転手の20代の女性がNHKの電話インタビューで、立往生が始まってから解消するまでの状況を語りました。

千葉県から兵庫県まで荷物を運ぶ予定だったこのトラック運転手の女性は、24日午後10時すぎ、静岡県の浜松サービスエリアに停車した際にSNSを検索し、この時点で新名神高速道路の下り線が渋滞していることを知ったということです。
さらに行き先の関西方面で50キロ以上の渋滞が起きていることを把握したため、新名神高速道路に入ったあと、日付が変わった25日午前1時ごろに三重県の鈴鹿パーキングエリアで様子を見ることにしました。

当時の天候については、「新名神に入ったとたんに雪景色になっていました。ふぶいていて左右の山は真っ白でした」と振り返りました。

パーキングエリアに入った際は本線の道路にはまだ渋滞は見られなかったということですが、駐車場内にも次第に雪が積もり始め、気が付くと本線にはトラックの渋滞の列が伸びていてこれ以上走ることを諦めたといいます。

この間の心境については、「何が起きるか分からない状況だったので、どこか気を張ってしまっている部分があったのか、眠たくても寝れませんでした。ほかのトラックのドライバーさんたちと会話して過ごしていました」と話しました。

この女性がパーキングエリアから出られたのは30時間以上たった26日の午前8時半ごろで、「大阪方面に向かうにつれてだんだん雪がなくなって、大阪には全くなかったので今まで雪国にいたような感じは幻だったのかなと思いました」と当時の心境を語りました。

この女性は、指定の時間までに荷物を運ばなければならないというドライバーの意識によって、悪天候であっても走行を続けてしまった運転手が多かったのではないかとした上で、「『何時までに荷物を届けてください』と言われると行くしかない。行けるところまでは行かなきゃと考えたドライバーさんが多かったと思います」と話していました。

中日本高速道路「除雪作業に時間がかかったのが要因の1つ」

中日本高速道路は、除雪作業に時間がかかったことが、立往生が長引いた要因の1つだと説明しています。

現場付近では除雪作業をしている間にも積雪が増え続けて止まっている車と車の間に雪が積もり、動きにくい状態になったことが、作業の遅れにつながったとしています。

こうした中、立往生した車が道路をふさぐ形となり除雪車を思うように投入できず、中日本高速道路の社員らがスコップを使うなど手作業で除雪を続けたということです。

専門家「通行止めの判断 検証が必要」

渋滞発生のメカニズムやその対策を研究している東京大学の西成活裕 教授は、一般的に立往生が生じる理由について「抜けられるところがないような場所で1台でも車が止まってしまい、ほかの車がそれを避けて通ることができないと、1台の救助の間に雪がどんどん積もるなどして、増幅していき立往生が発生してしまう」と説明しました。

西成教授によると雪のない道路では20キロの渋滞を抜けるのにおよそ1時間かかるとされ、雪がある場合にはこの時間が2倍ほどになり、動きの取れない車が増えた場合はこの時間がさらに延びていくということです。

これまで立往生は、国道などの一般道路で発生することが多かったということで「高速道路上での大規模な立往生は珍しい」と指摘しています。

また、今回のようなケースでは道路管理者や行政が緊急車両や除雪車などの情報を個人に届けることが重要だとした上で、再発防止策については「除雪をどのように行うのかのマニュアルの見直しと、気象の情報と道路の情報をかなり細かくリンクさせていくことが大切だ」としています。

その上で「経済を担っている大動脈である高速道路を止める判断はかなり難しいが、早めの封鎖をすることがトータルで止める時間が短くなることにつながる面もある。通行止めの判断がどのようになされていたのか、検証が必要だ」と指摘しています。