欧米各国 ウクライナへ戦車供与の動き広がる ロシアは反発

アメリカやドイツがドイツ製の戦車「レオパルト2」など、主力戦車をウクライナに供与すると表明したことを受けて、欧米各国ではウクライナへの戦車の供与を検討する動きが広がり始めています。

アメリカのバイデン大統領は25日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対して、アメリカの主力戦車「エイブラムス」31両を供与すると発表しました。

また、ドイツ政府も25日、ドイツ製の戦車「レオパルト2」を供与すると発表したことに加え、「レオパルト2」を保有している国がウクライナへ供与することを認める方針を示しました。

こうした中ノルウェーは25日、ウクライナへの戦車の供与を表明しました。

また複数のメディアによりますと、フィンランドもサボラ国防相が25日記者会見で「フィンランドも参加する」と述べるなど、欧米各国の間でウクライナへの戦車の供与を検討する動きが広がり始めています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、公開した新たな動画の中で「すべての同盟国が戦車を進んで供与してくれることに感謝している。今重要なのは戦車供与などのスピードと量だ」と述べ、戦車の供与の重要性を改めて強調しました。

一方、ロシアは戦車の供与に強く反発していて、ドイツに駐在するネチャエフ大使は25日、声明を出し「極めて危険な決定は、紛争を新たな対立のレベルにまで引き上げるものだ」と主張しました。

木原官房副長官「国際社会と連携しウクライナ支援を」

木原官房副長官は記者会見で「ロシアに一刻も早く侵略をやめさせ対話への道筋をつけるためには、国際社会が結束して強力な対ロ制裁措置を講じつつ、ウクライナを支援していくことが必要だ」と述べました。

そのうえで「わが国はウクライナおよび周辺国において、国難に直面するウクライナの人々に対する人道支援を重視し、寄り添った支援を着実に実施している。ことしはG7=主要7か国の議長国でもあり、リーダーシップを発揮しつつ、G7をはじめとする国際社会と緊密に連携しながら、引き続きウクライナ支援を強力に進めたい」と述べました。

専門家「ロシアの大規模攻撃に間に合うか」

アメリカやドイツが主力戦車の供与を表明したことについて、防衛省防衛研究所の兵頭慎治政策研究部長は、「戦況は全体としてはこう着状態で、これが続くと戦闘が長期化して犠牲が拡大していくので、欧米諸国としても早く決着させるために、より一層攻撃的な兵器を供与する必要に迫られたのではないか」と指摘しています。

そのうえで、戦車を供与する時期については、「補修や整備などを行ってウクライナに輸送し、兵士の訓練なども行わないといけないので、実際に戦場で使用できるまでには数か月程度かかるとみられる。ロシア軍は春にも大規模な攻勢を仕掛けてくるのではないかと予想されているが、このタイミングに間に合うかが注目点だ。また、ウクライナ側は戦車は300両入手できないと戦況を大きく変えられないと主張しているので、全体で供与する戦車の数が300両に近づいていくのかどうかも大きな焦点になる」と話しています。

一方、ロシア側の対応については、「今、行おうとしているのは、通常戦力を使った形で、30万人の部分動員の戦力化が完了するタイミングでの大規模な攻勢とみられている。最新鋭の欧米製の戦車が投入されることに対して、警戒感を高めていると思われるので、大規模攻勢を早めることが考えられるほか、戦車はポーランドなどから鉄道などを使って輸送されるとみられているので、そこに対する攻撃などもありうるのではないか」と指摘しています。