ドイツ ウクライナに戦車供与を発表 ロシアは強く反発

ドイツ政府はウクライナに対してドイツ製の戦車「レオパルト2」を供与すると発表するとともに、戦車を保有している国がウクライナへ供与することを認める方針も示しました。ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは強く反発しています。

ドイツ政府は25日、ウクライナに対してドイツ製の戦車「レオパルト2」を供与すると発表しました。

2個大隊を速やかに編成することを目標に、第1段階としてドイツ軍から14両をウクライナに供与する方針で、ピストリウス国防相は25日、最初の戦車を3か月後に届けられるという考えを示しました。

またドイツのメディアは国防省の報道官の話として来月にもウクライナ軍の兵士向けの訓練が始まると伝えています。

さらに発表ではポーランドなどヨーロッパ各国が保有する「レオパルト2」についても、ウクライナに供与することを認める方針をあわせて示しました。

攻撃能力が高いことで知られる「レオパルト2」のウクライナへの供与についてドイツは慎重姿勢から転じた形で、ショルツ首相は議会の演説で「われわれは国際社会と連携し、戦車の供与がドイツにとってリスクにはならないよう行動している」と国民に理解を求めました。

ドイツ政府の発表についてウクライナのイエルマク大統領府長官は25日「最初の一歩が踏み出された」とSNSに投稿して歓迎した上で、各国から多くの戦車が供与されることに期待を示しました。

これに対してウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは強く反発していて、ドイツに駐在するネチャエフ大使は25日、声明を出し「極めて危険な決定は紛争を新たな対立のレベルにまで引き上げるものだ」と主張しました。

ロシア専門家「ロシアにとって極めて深刻」

「レオパルト2」をはじめとする欧米からの戦車の供与について、安全保障に詳しいロシアの専門家、ドミトリー・ソロンニコフ氏は25日、NHKのオンライン取材に応じ「ロシアにとって極めて深刻で、かなり真剣に対応する必要がある。ロシア軍にとっては困難な挑戦で、最大限集中して対応すべき課題となる」と述べ、これまで同じ旧ソビエト製の戦車を相手にしてきたロシア軍は厳しい戦いを強いられるという見方を示しました。

その上で戦車の供与が戦況に与える影響については「ウクライナ軍は明らかに、春の終わりから初夏にかけて攻撃に打って出ようとしている。南部の都市メリトポリやクリミアの方面に向かうことが目標だ」として、ウクライナ軍が戦車を活用し、ロシア軍が掌握している南部の都市の奪還などに向け、反転攻勢を強めようとすると分析しました。

また今後のロシア側の対応については「ウクライナへの兵器の供与を止めるため、作戦を変える必要がある。ロシアはこれまでのところウクライナの輸送インフラを破壊できていない」として、欧米からの戦車の供与を妨害するため、ロシア軍がウクライナ国内の鉄道など戦車の輸送ルートへの攻撃を強めていく可能性があると指摘しました。