長寿の地域といって滋賀県を思い浮かべる人は少ないのではないでしょうか。
それもそのはず。滋賀県はずっと前から長寿県だった訳ではないんです。
こちらは、全国平均寿命順位の滋賀県の推移です。

長寿全国一が滋賀県って、なんでなん!?
去年12月に発表された平均寿命の全国都道府県ランキングで男性1位、女性2位に輝いたのは沖縄県でも長野県でもなく「滋賀県」!
滋賀県民が長寿になったのはなんでなん!?
滋賀県が長寿県になるまで


昭和50年の時点では、男性22位、女性37位でした。
それが、どんどん順位を上げていき、今回の結果となりました。
その秘けつを取材すると3つの「えん」が浮かび上がってきました。
それが、どんどん順位を上げていき、今回の結果となりました。
その秘けつを取材すると3つの「えん」が浮かび上がってきました。
秘けつ1=「塩」…減塩(げんえん)
滋賀県の長寿の秘けつを探るため、訪れたのは東近江市で開かれていたある研修会。

参加しているのはボランティアの「健康推進員」です。滋賀県ではおよそ3200人が登録しています。
この健康推進員はコロナ禍前までは、各家庭を回って食事のアドバイスなどをしていました。
中でも重視しているのが「塩」の摂取量です。
この健康推進員はコロナ禍前までは、各家庭を回って食事のアドバイスなどをしていました。
中でも重視しているのが「塩」の摂取量です。

塩分の過剰摂取は高血圧や脳卒中につながります。各家庭のみそ汁の塩分をはかり、ふだん摂取している塩分量を自覚してもらうねらいがあります。
実は今回、私たち取材班も、家で作ったみそ汁の塩分を測ってもらいました。
理想は0.8%以下です。
実は今回、私たち取材班も、家で作ったみそ汁の塩分を測ってもらいました。
理想は0.8%以下です。

なんと結果は1.2%…。取材班の家庭のみそ汁、だいぶ塩分が濃かったようです。

滋賀県の食塩摂取量は全国平均を下回り、厚生労働省の平成28年の調査では男性で5番目に少なくなっています。
健康推進員による、こうした草の根の活動で減塩が普及し、食生活の改善につながったと言われています。
健康推進員による、こうした草の根の活動で減塩が普及し、食生活の改善につながったと言われています。
秘けつ2=「煙」…禁煙(きんえん)
2つ目はタバコです。
実はもともと男性の喫煙率が高かった滋賀県。
肺がんなどのリスクを減らそうと、県は、2001年、当時としては異例の「喫煙率の半減」という目標を掲げました。
実はもともと男性の喫煙率が高かった滋賀県。
肺がんなどのリスクを減らそうと、県は、2001年、当時としては異例の「喫煙率の半減」という目標を掲げました。
草津市のカフェを訪れると店内には受動喫煙ゼロの文字がありました。
滋賀県は、まだ、タバコが吸える飲食店が多かった2004年から、受動喫煙ゼロを呼びかけ、店を登録する取り組みを行ってきました。
この店は、営業を始めた20年ほど前から禁煙にしているといいます。
滋賀県は、まだ、タバコが吸える飲食店が多かった2004年から、受動喫煙ゼロを呼びかけ、店を登録する取り組みを行ってきました。
この店は、営業を始めた20年ほど前から禁煙にしているといいます。

店員
「やっぱり健康にもよくないかなという思いもすごくありまして、自分が吸っていないのに吸ってしまう状況は避けたいなという思いがありました」
「やっぱり健康にもよくないかなという思いもすごくありまして、自分が吸っていないのに吸ってしまう状況は避けたいなという思いがありました」

地道な取り組みの結果、喫煙率は男女ともに低下。特に男性は56%から29%にまで低下しています。

滋賀県健康医療福祉部 角野文彦理事
「わかりやすいですよね、半分にすると言われたら県民の多くの人たちがそういう意識を持って取り組んで来られたということかなと」
「わかりやすいですよね、半分にすると言われたら県民の多くの人たちがそういう意識を持って取り組んで来られたということかなと」
秘けつ3=「縁」…えん、つながり
3つめの「えん」は、つながりの「縁(えん)」
それを象徴するのが滋賀県が設立した「レイカディア大学」です。
それを象徴するのが滋賀県が設立した「レイカディア大学」です。
ずらりと並んで講義を受ける高齢者たちは健康や地域活動について学んでいます。

部活動として書道や卓球もあります。県が中心となって高齢者を孤独にしない取り組みを広げているのです。
参加者
「ここに出てくる気力があるっていうことがやっぱり長生きの秘訣になると思いますね」
ここで新たな縁が生まれた人もいます。
「ここに出てくる気力があるっていうことがやっぱり長生きの秘訣になると思いますね」
ここで新たな縁が生まれた人もいます。

参加者
「集合写真の時に、たまたま横にいて、そこからが一緒に活動し始めました。縁があったんでしょうね」
「集合写真の時に、たまたま横にいて、そこからが一緒に活動し始めました。縁があったんでしょうね」
こうした心身両面の総合的な対策が滋賀県の長寿につながっていると公衆衛生に詳しい専門家は、指摘します。

滋賀医科大学 三浦克之教授
「心が前向きになっていけば新しいことに取り組んだり、いい生活習慣にしていこうというようなことになっていくと思いますね。全国のモデルになるような取り組みを滋賀県としてもさらに、進めていっていただきたいと思います」
「心が前向きになっていけば新しいことに取り組んだり、いい生活習慣にしていこうというようなことになっていくと思いますね。全国のモデルになるような取り組みを滋賀県としてもさらに、進めていっていただきたいと思います」
次は「野菜摂取量」
滋賀県が、さらなる高みを目指して取り組んでいることがあります。
それは野菜摂取量の増加です。
それは野菜摂取量の増加です。

こちらは、草津市のスーパーで滋賀県が主催したイベント。
手の平を機械にあてて、野菜の摂取量が足りているかどうかが計測しようというものです。
厚生労働省は、1日350グラムの野菜の摂取を推奨していますが、滋賀県の摂取量は280グラム。350グラムに届くようイベントを県内各地で開催し、県民の意識を高めようとしています。
手の平を機械にあてて、野菜の摂取量が足りているかどうかが計測しようというものです。
厚生労働省は、1日350グラムの野菜の摂取を推奨していますが、滋賀県の摂取量は280グラム。350グラムに届くようイベントを県内各地で開催し、県民の意識を高めようとしています。

ちなみに、取材した記者が計測してもらったところ、野菜の摂取量は150グラム未満。
「見たこともない少ない数値」だということで、にんじんや小松菜などの緑黄色野菜をもっと取るようアドバイスしていただきました。
「見たこともない少ない数値」だということで、にんじんや小松菜などの緑黄色野菜をもっと取るようアドバイスしていただきました。

滋賀県の長寿の背景には、生活習慣病と高齢者の孤立を防ぐ3つの「えん」がありました。今回の取材を通してびわ湖畔をウオーキングする方やレイカディア大学の講義に参加する方など、皆さん一様に、長寿を目指すことを楽しんでいてとても元気というのが印象的でした。地域の人がつながって、いい循環が生まれていることも、とても大きいと感じました。
近江八幡市の長命寺にて
NHK大津放送局のマスコットキャラクター びわッピーと
取材
大津放送局記者 門脇誉幸
大阪放送局ディレクター 西崎洋平
近江八幡市の長命寺にて
NHK大津放送局のマスコットキャラクター びわッピーと
取材
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