【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(25日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる25日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ドイツ政府 ウクライナに戦車「レオパルト2」供与と発表

ドイツ政府は25日、声明を発表し、ウクライナに対してドイツ製の戦車「レオパルト2」を供与すると発表しました。

それによりますとドイツ政府はウクライナに向けた「レオパルト2」の2個大隊を速やかに編成することを目標にしていて、その第1段階としてまず、ドイツ軍から14両をウクライナに供与するとしています。

また、「ヨーロッパのパートナー国からも順次、『レオパルト2』が引き渡される」として、「レオパルト2」を保有している国が、ウクライナへ供与することを認める方針も示しました。

そのうえで声明ではウクライナ軍の兵士に対する訓練を、ドイツ国内で速やかに行うとしています。

「レオパルト2」は攻撃力が高い戦車としてポーランドやフィンランドなどヨーロッパ各国が保有しています。イギリスのシンクタンク国際戦略研究所は戦闘で大きな効果を得るにはおよそ100両は必要だと分析していて、今後、各国が連携し、まとまった数が供与されるかどうかが焦点になります。

ドイツ ショルツ首相「われわれは国際社会と連携」

ドイツのショルツ首相は25日、議会で演説し今回の決定に関し多くの国民が懸念を抱いているとしたうえで「私と、ドイツ政府に信頼を寄せてほしい。われわれは国際社会と連携していて、戦車の供与がドイツにとってリスクにはならないよう行動している」と国民に呼びかけました。

ゼレンスキー大統領「重要な決定 心から感謝」

ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、SNSで、ドイツのショルツ首相と電話で会談したと明らかにし、「ドイツの主力戦車や防衛支援と訓練のさらなる拡大、それに同様の兵器の供与をパートナーに許可するといった重要な決定について話があった。ショルツ首相やドイツの友人には心から感謝している」として謝意を示しました。

ウクライナ 大統領府長官「最初の一歩が踏み出された」

ウクライナのイエルマク大統領府長官は、ドイツ政府の発表を受けてSNSに投稿し「最初の一歩が踏み出された。次は『戦車の連合だ』。多くのレオパルトが必要だ」として、ドイツの決定を歓迎しました。

ロシア大使「紛争を新たな段階に引き上げる」

ベルリンに駐在するロシアのネチャエフ大使は、ドイツ政府の発表を受けて声明を出し「この極めて危険な決定は紛争を新たな対立のレベルにまで引き上げるものだ。ドイツ政府はウクライナ危機の外交的な解決に関心がなく、これをエスカレートさせ、ウクライナに多くの兵器を無制限に送りこむ決意が改めて確認された。ベルリンの決定は、第2次世界大戦後のロシアとドイツの和解という困難な道のり、ナチスドイツの恐るべき犯罪に対する歴史的な責任を最終的に拒否したことを意味する」などと強く批判しました。

NATO各国も歓迎

ポーランドのモラウィエツキ首相は、発表を受け「『レオパルト2』をウクライナに供与することを決断したことはロシアを止めるための大きな一歩になる」とツイッターに投稿しました。ポーランドは24日、自国が保有する「レオパルト2」をウクライナに供与するための許可を正式にドイツ側に求めていました。


イギリスのスナク首相はツイッターに「NATOの同盟国や友好国がウクライナに主力戦車を送るという正しい決定をした」と投稿しました。そのうえで「われわれは共に、ウクライナがこの戦争に勝利し、永続的な平和を確保するための努力を加速している」としています。イギリスは今月、ウクライナに追加の軍事支援の一環として陸軍の主力戦車「チャレンジャー2」を供与することを発表しています。

フランス大統領府は「フランスはドイツの決定を歓迎する。この決定は、我々が装甲車を供与する支援を後押しするものだ」とするコメントを出しました。

NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長はツイッターに投稿し「ロシアによる戦争におけるこの重要なときに、ドイツ製の戦車はウクライナの自衛と勝利を助けるだろう」として歓迎しました。

ロシア “独と米が戦車供与の方針”を強くけん制

ウクライナへの軍事支援をめぐり、複数のメディアはドイツやアメリカ政府が、焦点となっていた主力戦車を供与する方針を固めたなどと伝えています。
これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は24日、ドイツ政府が供与を決定した場合、「将来の両国関係にとって良いことにはならず、必ず、避けられない傷を残すことになる」として、強くけん制しています。

また、ワシントンに駐在するロシアのアントノフ大使も、「供与が決まれば、アメリカの戦車は、ほかのNATO=北大西洋条約機構の兵器と同様、破壊されるだろう」としています。

ゼレンスキー大統領「われわれはもっと多くの戦車が必要」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、24日公開した動画で「ロシアは新たな攻撃を準備していて、バフムトなどではすでに圧力を強めている。ウクライナは、戦争の主導権を維持しなければならない」と述べ、ロシア軍が、東部ドネツク州のウクライナ側の拠点バフムトなどで攻撃を繰り返していると指摘し、徹底抗戦を続けていくことを強調しました。

そして「われわれは、5両や10両、15両ではなくもっと多くの戦車が必要だ。同盟国は必要な数の戦車を持っている。テロリストに対する防衛を真に強化するための決断が求められる」と述べ、各国に対して攻撃能力の高い戦車の速やかな供与を訴えました。

アメリカも主力戦車を供与検討 複数メディア伝える

アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルなど複数のメディアは24日、アメリカ政府当局者の話として、バイデン政権がアメリカの主力戦車「エイブラムス」をウクライナに供与する方向で検討していると相次いで伝えました。早ければ今週中にも発表する可能性があるとしています。

アメリカ国防総省のライダー報道官は24日、記者会見で、現時点で発表することはないとした上で「ウクライナが緊急に必要とする安全保障上の支援についてウクライナや同盟国などと緊密に連絡を取り合っている」と述べました。
ドイツやアメリカはこれまで戦車の供与に慎重な姿勢を示していたことから両国が供与に踏み切れば足並みをそろえた可能性があります。

ウクライナ 州知事5人の退任も発表

ウクライナでは、ゼレンスキー大統領の側近で大統領府のティモシェンコ副長官が解任されたほか、24日、州知事5人の退任も発表されました。

退任することになったのは、南部ヘルソン州のヤヌシェビッチ知事、南部ザポリージャ州のスタルフ知事、首都近郊キーウ州のクレバ知事、北東部スムイ州のジビツキー知事、それに東部ドニプロペトロウシク州のレズニチェンコ知事です。
退任の理由などは明らかにされていません。

このうち、キーウ州知事だったクレバ氏は、解任されたゼレンスキー大統領の側近のティモシェンコ氏の後任として、大統領府の副長官に任命されました。

5つの州は、ロシア軍の侵攻開始以降、地上部隊やミサイルの攻撃などで大きな被害を受けてきたほか、一部は現在もロシア軍に支配されています。

“ドイツ政府「レオパルト2」供与方針固める” ドイツメディア

ドイツのDPA通信や有力誌シュピーゲルなど複数のメディアは、24日、ドイツ政府が、ウクライナにドイツ製の戦車「レオパルト2」を供与する方針を固めたと一斉に伝えました。

「レオパルト2」は攻撃能力が高く、世界で最も優れた戦車のひとつとして、ヨーロッパ各国が保有していて、ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナが供与を求めています。
ドイツ政府は、今月20日にドイツで開かれた欧米各国がウクライナへの軍事支援について話し合う会合で供与の判断をせずその対応が焦点となっていました。また、24日には、ポーランドが、自国が保有する「レオパルト2」をウクライナに供与するための許可を正式にドイツ側に求めていますが、報道では、ポーランドのように、「レオパルト2」を保有している国が、ウクライナへ供与することも認める方針だとも伝えています。

ドイツは、これまで攻撃能力の高い戦車を供与することで戦闘がいっそう激化するという国内の懸念などを背景に、供与に慎重な姿勢を示してきましたが、アメリカなどとの協議を踏まえて供与の方針を固めたとみられると伝えています。

ポーランド ドイツに戦車供与許可申請 ドイツは迅速対応方針

ポーランドの国防相は24日、自国が保有するドイツ製の戦車「レオパルト2」をウクライナに供与する許可を正式にドイツに求めたことを明らかにしました。

ドイツのメディアは、ポーランドが14両の「レオパルト2」を供与する許可を求めたと伝えています。ドイツ製戦車をウクライナに供与する場合、保有する国がドイツの許可を得る必要があり、これまでも供与の意向を示してきたポーランドのモラウィエツキ首相は24日「ドイツは理解に苦しむ方法で判断を遅らせ、はぐらかしてきたので、今回は速やかに回答を得られることを期待する」と述べました。

ポーランドの申請に対し、ドイツ政府は「緊急性を持って審査する」として、速やかに対応する方針を示していて、その判断が焦点となっています。

ロシア メドベージェフ前大統領 軍需工場で兵器増産求める

ロシアの前の大統領で、安全保障会議のメドベージェフ副議長は24日、ロシア中部のイジェフスクにある軍需工場を視察しました。そして、欧米などがロシア軍の兵器不足を指摘しているのに対し「彼らを失望させたい。すべてが十分にそろっていて、年初から兵器や弾薬などは部隊に供給されている」と強調した上で、特に無人機の需要が高まっているとして兵器の増産を求めました。

イギリス国防省「ウクライナ軍がおよそ54%を解放」

ロシア軍のウクライナへの侵攻から11か月となるなか、イギリス国防省は23日、ロシア軍が侵攻以降に掌握した領土のうち、ウクライナ軍がおよそ54%を解放したと指摘しました。また、クリミアなど国際的に承認されたウクライナの領土のおよそ18%が、いまもロシア側の支配下に置かれているとしています。

G7外相らオンライン会合 ウクライナに越冬支援など継続で一致

G7=主要7か国の外相らが日本時間の24日夜オンラインで会合を開き、さらなる越冬支援を含め、ウクライナに対し、必要な支援を継続していくことで一致しました。

会合は、G7の議長国を務める日本の林外務大臣とアメリカのブリンケン国務長官の呼びかけで開かれ、ウクライナのクレバ外相やヨーロッパの関係国の外相らも参加しました。
そして、ロシアによる攻撃でウクライナの電力施設などに被害が出ていることから、インフラの維持や復旧をめぐって意見が交わされ、さらなる越冬支援を含め必要な支援を継続していくことで一致しました。

また林大臣は、日本が、発電機およそ300台と太陽光で充電できる「ソーラーランタン」8万3500台の供与を順次進めていることを説明しました。

そのうえで、G7の議長国としてこれまで以上に国際社会による強力な支援を主導していく意向を示しました。

これに対し、クレバ外相は、ウクライナへのエネルギー分野の支援についてG7が議論していることに謝意を伝えました。