ロシア ゲラシモフ参謀総長“前例ないレベルの軍事行動展開”

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから24日で11か月となります。
今月、侵攻の総司令官に就いたゲラシモフ参謀総長は、ロシアの新聞のインタビューで、前例のないレベルの軍事行動を展開しているとしたうえで、「あらゆる手段を講じる」と述べ、ウクライナ側は警戒を強めています。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は今月、制服組トップのゲラシモフ参謀総長が軍事侵攻の総司令官に就き、大規模な攻撃に向けた準備を進めているという見方が出ています。

ゲラシモフ参謀総長は24日、ロシアの新聞「論拠と事実」の電子版に掲載されたインタビューで、軍事侵攻について「現代のロシアでこれほどの軍事行動のレベルと激しさは前例がない。ロシアは事実上、西側諸国の全体から敵対行為を受けている」として、前例のないレベルの軍事行動を展開しているという認識を示しました。

そのうえで、「最高司令官が定めた目標を成し遂げ、国の軍事的な安全を確保するために、あらゆる手段を講じる」と述べ、プーチン大統領の指示に従って、作戦をさらに進めていく構えを強調しました。

ウクライナ国防省 “ドンバス地域で戦闘一層激しくなる”と警戒

一方、ウクライナ国防省の情報総局の幹部は23日、ウクライナメディアに対して、ロシア軍が再編成される中で、来月から3月にかけて東部ドンバス地域でロシア軍が大規模な攻撃を仕掛け、戦闘が一層激しくなるという見通しを示し、警戒を強めています。

ゼレンスキー大統領は23日、ロシアによる軍事侵攻の開始から24日で11か月になることについて、「ウクライナの勝利のために力を結集する日だ」と述べ、国民に改めて結束を呼びかけたうえで、欧米諸国にさらなる軍事支援を求めました。

軍事侵攻の長期化 子どもたちの心のケア一層重要に

ロシアによる軍事侵攻の長期化に伴って、ウクライナの子どもたちの心のケアが一層重要になっています。

首都キーウにある学校では、子どもたちの異変を察知し、支援につなげようという取り組みが進められています。

およそ200人の子どもたちが学ぶ私立学校では、防空警報が出た際も授業が続けられるよう教室も兼ねたシェルターが地下に整備されています。

また学校では、ロシア軍の攻撃が続くなかでストレスを感じる子どもが急増しているとして、心のケアを重視しています。

心理学を学んだ専門のカウンセラー5人が常駐し、去年5月から子どもたちの心の状態を把握するため「アートセラピー」の講座を開いています。

絵を描くことで心をいやす効果が期待されるほか、どのような絵を描くかで心理状態を把握することにもつながるということです。

カウンセラーは黒など暗い色を多く使って絵を描いた子どもなどに対しては異変がないか話を聴くようにしています。

学校によりますと、絵を描いた子どもたちのうち、およそ50人について心理状態に問題がある可能性があるとして、カウンセリングを行ったということです。

このうち4人については、PTSD=心的外傷後ストレス障害などの可能性もあるとして、医師の診察を受けるよう助言したとしています。

学校では、侵攻から1年となる来月からはドイツのNGOとも協力し、こうしたセラピーを週2回、ウクライナ国内の別の場所からキーウに避難してきている子どもたちにも受けてもらえるようにするということです。

カウンセラーのクズメンコさんは、「絵を描いている間は、感情を発散して、いくらかリラックスできると思いますが、本当の意味でよくなるには、長い時間が必要です。また、絵だけでは戦争との結びつきが分からなくても、話してみると不安を抱えていることがわかることもあります」と話していました。

またティホノワ校長は、「子どもは国の未来であり、外の世界で何が起ころうと、教育は絶対に止めてはいけないと考えています。心のケアのためには、絶え間ないコミュニケーションとサポートが必要です」と話していました。