林外相 外交演説「広島サミットで国際秩序守り抜く意思示す」

林外務大臣は外交演説を行い、ロシアによるウクライナ侵攻などを踏まえ、G7=主要7か国の議長国として5月の「広島サミット」で、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く意思を示すと強調しました。

冒頭、林外務大臣は今の世界情勢について、ロシアによるウクライナ侵攻が引き続き国際秩序の根幹を揺るがし、中国は政治、経済、軍事などさまざまな面で影響力を増し、難しい問題を提起していると指摘しました。

そのうえで、G7の議長国として5月の「広島サミット」で「力による一方的な現状変更の試みや、核兵器による威嚇、使用を断固として拒否し法の支配に基づく国際秩序を守り抜くという意志を力強く示す」と強調しました。

また、国連安全保障理事会の改革をめぐっては「議論のための議論ではなく行動が必要だ」と述べ、関係国と意思疎通を図りながら早期の進展を目指す考えを示しました。

そして、二国間関係について、アメリカとは日米同盟の抑止力と対処力の強化に取り組むとしたうえで「反撃能力」の効果的な運用に向けて協力を深化させ、宇宙やサイバー分野での協力などを重点的に進める方針を示しました。

また、中国との関係については建設的かつ安定的な関係構築を双方の努力で加速することが重要だと述べ、韓国とは太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題などを念頭に、日韓関係を健全な形に戻し発展させていくため意思疎通を図る考えを示しました。

さらに、日ロ関係についてはウクライナへの侵攻を踏まえ「平和条約交渉の展望を語れる状況にはないが、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持する」と述べました。

一方、核・ミサイル開発を活発化させている北朝鮮への対応をめぐっては、引き続き日米韓3か国で緊密に連携していく考えを強調しました。