【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(23日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる23日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア大統領府報道官 日本との平和条約交渉 対話の可能性否定

ロシア大統領府のペスコフ報道官は23日、日本との平和条約交渉について「日本はわれわれに対する非友好的な国のグループに非常に積極的に参加している。2国間関係についても建設的な対応は示していない。現時点で意味のある対話はなく、このような状況で、対話の可能性について話すことは、ほぼ不可能だ」と述べました。

これに先立ち、岸田総理大臣は通常国会初日の23日行った施政方針演説のなかで、日ロ関係について「ウクライナ侵略により厳しい状況にあるが、引き続き領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針を堅持する」と述べていました。ロシア政府は、ウクライナへの侵攻後の去年3月、北方領土問題を含む日本との平和条約交渉を中断する意向を一方的に表明しています。

ポーランド ウクライナに戦車供与の許可 ドイツに求める考え

ロイター通信などによりますと、ポーランドのモラウィエツキ首相は23日、自国が保有するドイツ製の戦車「レオパルト2」についてウクライナに供与する許可をドイツに求める考えを示しました。

ポーランドは、「レオパルト2」を保有するほかの国とともにウクライナへ供与したいという意向を示していますが、供与に必要なドイツの許可を求める方針を示すのは初めてとみられます。

これに関連してドイツのベアボック外相は、前日の22日、フランスのメディアのインタビューで「ポーランドから許可を求められてはいないがもし求められたら阻むことはしない」と述べています。

一方モラウィエツキ首相は、「ドイツの許可がなくてもウクライナに対してほかの国とともに戦車を供与する」と述べ、ドイツが許可しなくても供与する構えも示しています。

ドイツでは今月20日にウクライナへの軍事支援について欧米各国が話し合う会合が開かれ、焦点となっていたドイツ製の戦車の供与について、ドイツは判断を先延ばしにしています。

ロシア外務省 エストニア大使に国外退去を通知

ロシア外務省は23日、バルト三国のエストニアの大使を呼び、エストニアとの外交関係を格下げし、2月7日には大使がロシア国外に退去するよう通知したとする声明を発表しました。

これに先立ち、エストニア外務省は今月11日、エストニアの首都タリンに駐在するロシアの外交官の人数を2月1日までに減らす必要があるとロシア側に通知していました。

ロシア外務省は「エストニアの指導者はロシアとの関係を意図的に破壊している。ロシア嫌いが国の政策にまで高まっている」として、対抗措置だと主張しています。

ウクライナへ軍事侵攻したロシアに対し、エストニアなどバルト三国は一段と警戒を強めていて、今月21日には、バルト三国の外相たちが声明を発表しドイツ政府に対して、ドイツ製戦車「レオパルト2」をウクライナに供与するよう促しています。

ロシア 友好国との関係強化の動き 活発化

ロシアのラブロフ外相が南アフリカを訪問し、23日には外相にあたるパンドール国際関係・協力相と会談します。

ロシアはことし7月にロシア第2の都市、サンクトペテルブルクでアフリカ諸国との首脳会議や経済フォーラムを開催する予定で、BRICS=新興5か国のメンバーでロシア寄りとされる南アフリカとの関係強化を図るねらいがあるものとみられます。

プーチン大統領の側近でロシア議会下院のボロジン議長をはじめとする議員団がイランを訪問し、イランの国営通信は議会関係者の話として、23日に議会の議長と会談したあとライシ大統領とも面会する予定だと伝えました。

ウクライナで電力インフラなどへの攻撃を繰り返すロシアは、イランから無人機を獲得するなど軍事面での連携を強めているとみられ、ウクライナへの軍事支援を進める欧米に対抗した関係強化の動きを活発化させています。

ウクライナ 東部に加え南部でも戦闘激化し一進一退の攻防か

ウクライナ東部では、22日も各地で激しい戦闘が続きました。

ウクライナ軍は、ドネツク州のウクライナ側の拠点バフムトに向かってロシア軍が攻撃を繰り返しているという認識を示したほか、ルハンシク州のハイダイ知事も地元メディアに対し「非常に激しい戦闘が続いているが、一歩ずつ解放されている」と述べました。

また、ロシア国防省は22日、ウクライナ南部のザポリージャ州で部隊を前進させているなどと主張しました。

これに対しウクライナ軍は、ロシア側のミサイルや少人数の部隊による攻撃にさらされ、一部でロシア側の前進を許したものの、多くの場所で押し返しているとしており、東部に加えて南部でも戦闘が激化し、一進一退の攻防が展開されているとみられます。

戦車供与 ドイツ首相“明言避ける” 仏大統領“可能性排除せず”

ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領は22日、パリで首脳会談を行ったあと、共同で記者会見しました。この中で、ショルツ首相は、焦点となっているウクライナへのドイツ製戦車「レオパルト2」の供与をめぐる判断の時期について問われましたが、明言を避けました。
そのうえで、アメリカやフランスなどと足並みをそろえて軍事支援を進めていると強調するとともに「これまでうまくいってきた原則は今後も重要だ」と述べ、新たな支援についてもアメリカなどと調整して決める考えを示しました。
一方、マクロン大統領は、フランスとしても戦車を供与するのかどうか質問されたのに対し「国防相に検討作業を進めるよう指示した」と述べ、フランス製戦車「ルクレール」をウクライナに供与する可能性を排除しないという立場を示しました。そして、供与に必要な条件としては、事態のエスカレートにつながらないことや、ウクライナ側が使いこなせる状況になること、それにフランスの国防力が低下しないことなどを挙げました。

ロシア メドベージェフ氏「武器供与はわれわれを破壊する行為」

ロシアの前の大統領で安全保障会議のメドベージェフ副議長は「ウクライナへの武器の供与は、われわれを破壊しようとする行為にほかならない」などとSNSに投稿し、欧米側を改めてけん制しました。