【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(20日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナへのドイツの戦車 供与の判断は先延ばしに

ドイツのピストリウス国防相は20日、ウクライナに対するドイツ製の戦車「レオパルト2」の供与について「いつ決定できるかはわからない」と述べ、現時点では判断を先延ばしました。

「レオパルト2」は攻撃能力が高く、世界で最も優れた戦車のひとつとしてヨーロッパ各国が保有しています。

ウクライナへの軍事支援をめぐっては今月、イギリスが欧米製の戦車としては初めて「チャレンジャー2」の供与を決めていて、ドイツ西部にあるアメリカ軍の基地で開かれている会合では、ドイツ政府が「レオパルト2」の供与に踏み切るか注目されていました。

ドイツのピストリウス国防相は会合の合間に報道陣の取材に応じ「いつ判断をするか、どのような判断になるか、今は明言できない」と述べ、現時点では判断を先延ばしたことを明らかにしました。

また、ほかの国にウクライナへの供与を認めるかについても「賛成、反対ともに正当な理由があり、慎重に検討しなければならない」と述べるにとどめました。

専門家「防衛線突破するため戦車や装甲車必要」

ウクライナの軍事専門家、オレクサンドル・ムシエンコ氏は20日、NHKの取材に応じ、ドイツ製の戦車「レオパルト2」について「ウクライナ軍が前進しロシアが支配した領土の防衛線を突破するためにより多くの戦車や装甲車が必要だ」と述べ、供与が決まればロシア軍に支配された地域の解放に向けて極めて重要な兵器になるという考えを示しました。

その上で「もっとも有効なのは南部での反転攻勢で利用することだ。ロシア側が掌握する南部の都市メリトポリとクリミアをつなぐ道を分断できる。そうすればロシア軍にとって大きな敗北になる」と述べレオパルト2で戦況を変えることができると供与に期待を示しました。

また、ウクライナ軍はこれまで欧米から供与されてきたさまざまなタイプの兵器に対応してきたとして、「2か月もあれば運用できるようになる」と述べ、できるだけ早い供与が必要だという認識を示しました。

ロシア大統領府報道官「目標達成に変わりない」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は20日、欧米側のウクライナへの軍事支援について「NATO=北大西洋条約機構のこの紛争への間接的、時には直接的な関与が強まっている。紛争が悪化し、緊張をさらに高めている」と批判しました。

また、ウクライナへの戦車の供与が議論されていることについて「戦車の効力は過大評価すべきでない。戦車はメンテナンスや修理が必要なので、ウクライナにとって追加の問題となるが、ロシアが軍事作戦の目標を達成するうえで何の変化ももたらさない」と述べ、強気の姿勢を示しました。

ウクライナ軍事支援会合 始まる

ドイツ西部にあるアメリカ軍の基地で20日午前、日本時間の20日午後6時15分過ぎからアメリカのオースティン国防長官やドイツのピストリウス国防相などおよそ50か国の代表が参加して、ウクライナへの軍事支援について話し合う会合が始まりました。

会合の冒頭、オースティン国防長官は「この会合でわれわれの決意と結束が示される。ウクライナが必要とするかぎり支援していく」などと述べ、各国が一致して支援を続ける方針を強調しました。

また、会合にはウクライナのレズニコフ国防相が出席したほか、ウクライナのゼレンスキー大統領はオンラインで演説し「勝利につながる戦車や装甲車などの支援を加速させて欲しい」と訴えました。

ウクライナへの軍事支援を巡っては今月、イギリスが欧米製の戦車としては初めて「チャレンジャー2」の供与を決めていて、会合ではドイツ製の戦車「レオパルト2」についてドイツが供与を表明するかどうかが焦点となっています。

「レオパルト2」は攻撃能力が高く、世界で最も優れた戦車のひとつとしてヨーロッパ各国が保有していますが、そうした国がウクライナに供与する場合もドイツ政府の許可が必要となっています。

ただ、ドイツ政府は、戦車を供与すれば戦闘がいっそう激化するという国内の懸念などを背景に慎重な姿勢を示してきただけにその判断に注目が集まっています。

中国 ロシア原油の輸入8%余増加

中国の税関当局が20日、公表した統計によりますと、去年のロシアからの原油の輸入は、量にして8.2%、金額では43.9%、それぞれ前の年から増加しました。

また、LNG=液化天然ガスの輸入は量にして43.9%、金額では2.4倍の大幅な増加となっています。

中国とロシアの間では去年1年間の輸出と輸入をあわせた貿易総額が1900億ドルと、前の年から29%あまりの大幅な増加で過去最高になり、ウクライナ侵攻後もエネルギーを中心に活発な貿易が続いています。

一方、12月の原油の輸入量は647万トンと、前の年の同じ月を10.5%下回り、9か月ぶりに減少に転じました。

G7=主要7か国などが先月、ロシアから海上輸送される原油に対して国際的な取り引きの上限価格を設定する措置を適用するなど、制裁を強化する中、中国のロシアからの原油の輸入量の減少傾向が今後も続くかが焦点となります。

JICA ウクライナに地雷探知機を供与へ

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに残された地雷や不発弾の除去を支援しようと、日本政府は、ウクライナの担当者を招いた研修を実施するとともに、地雷探知機をウクライナに供与することになりました。

ウクライナでは、ロシアに占領された地域などに地雷や不発弾が数多く残され、ウクライナの国家地雷対策局によりますと、国土のおよそ4分の1にあたる16万平方キロメートルの土地が地雷などによって汚染されているということです。

今後の復興に向けて地雷などの除去が課題となっているなか、日本政府は、JICA=国際協力機構を通じて、除去作業への支援を行うことになりました。

JICAは、これまでカンボジアやラオスなどに対して過去の内戦などで設置された地雷の除去への支援を行ってきた経験があり、こうしたノウハウを生かしていくということです。

今月16日からは、地雷の除去作業を行うウクライナ非常事態庁の担当者をカンボジアに招いて、初めて研修を実施しました。

また、東北大学が開発した地雷探知機「ALIS」4台をウクライナ側に供与する予定です。

JICAの平和構築室の室谷龍太郎室長は「戦争が続いている中、急速に新しい地雷や不発弾が増えている状況だ。長く時間がかかる地雷対策をいかに効率的に、かつ人々の生活に被害をうまないような形で進めていくか、蓄積したノウハウを発揮したい」と話していました。

ゼレンスキー大統領「今もっとも必要なのは戦車だ」

ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、新たに公開した動画で「いまのわが国とパートナーの重要な仕事は、テロ国家のロシアがウクライナでなにも達成できないという感情を日々高めていくことだ」と述べました。その上でロシアとの戦闘について、「今もっとも必要なのは戦車だ。西側の近代的な戦車の供給について交渉している」として戦車の供与を強く訴えました。

また、ゼレンスキー大統領は「私はドイツのリーダーシップの強さは変わらないと信じている」と述べ、ドイツが主力戦車「レオパルト2」を供与することに強い期待感を示しました。

20日には、アメリカが主導して欧米各国のウクライナへの軍事支援について話し合う会合が開かれることになっていて、ドイツが戦車の供与を決めるかどうかが焦点となっています。

“CIA長官 ゼレンスキー大統領と会談か” 米報道

アメリカの有力紙、ワシントン・ポストは19日、アメリカ政府当局者や関係者の話として、CIA=中央情報局のバーンズ長官が先週、極秘にウクライナを訪れ、ゼレンスキー大統領と会談したと報じました。

会談で、バーンズ長官は野党・共和党がアメリカ議会下院の主導権を握り世論調査でウクライナ支援への支持の低下が見られる中、今後支援が難しくなる可能性があることを認めたとしています。

これに対し、ゼレンスキー大統領は、バイデン政権のウクライナに対する支持は依然として強固だとの印象を持った一方、今後、アメリカ議会がウクライナ支援のために数十億ドル規模の予算を認めることについてはあまり確信がないと受け止めたということです。

一方、CNNテレビはアメリカ政府当局者などの話として、バーンズ長官がこの春のロシア軍の計画についてゼレンスキー大統領に対し、アメリカ側の見方を伝えたとしています。

米 ウクライナに装甲車など約3200億円相当の軍事支援へ

アメリカ国防総省は19日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対し25億ドル、日本円にしておよそ3200億円相当の軍事支援を行うと発表しました。

それによりますと、軍事支援では、
▽装甲車「ストライカー」を初めて90両供与します。「ストライカー」は兵士を運ぶ機動性にすぐれていて、ウクライナ軍の部隊の迅速な展開を後押しするのがねらいです。

また、
▽機動力と火力を兼ね備えた装甲車「ブラッドレー歩兵戦闘車」も59両、追加で供与するとしています。

このほか、ウクライナ各地でロシア軍によるミサイル攻撃が続いている状況を踏まえ、
▽防空ミサイルシステム「ナサムス」の追加の砲弾や、
▽移動式の防空システム「アベンジャー」8基なども供与します。

一方、ウクライナが欧米各国に供与を求めている戦車については、今回の軍事支援には盛り込まれませんでした。

アメリカ国防総省によりますと、去年2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以降、ウクライナへの軍事支援は総額で267億ドル、日本円にして3兆4000億円余りに上るということです。

ドイツ西部では20日、アメリカが主導してウクライナへの欧米各国の軍事支援を話し合う会合が開かれる予定で、アメリカからはオースティン国防長官が参加して各国に支援の継続を呼びかける予定です。

アメリカ “主力戦車「エイブラムス」供与 理にかなっていない”

ウクライナが欧米各国に戦車の供与を求める中、アメリカ国防総省のシン副報道官は19日の記者会見で、アメリカの主力戦車「エイブラムス」を供与するかどうかについて「現時点で供与するのは理にかなっていない」と述べて慎重な姿勢を示しました。

その理由についてイギリスが供与を決めた戦車「チャレンジャー2」やドイツの戦車「レオパルト2」と比べて維持管理が簡単ではないと説明しました。

また、シン副報道官は焦点となっているドイツの戦車をウクライナに供与するかどうかについて「最終的にドイツが決めることだ。どのような支援を提供するかは彼らの主権的な判断による」と述べるにとどめました。

ロシア外相「NATO拡大は軍事的緊張が高まり 深い懸念」

ロシアのラブロフ外相は19日、同盟関係にあるベラルーシを訪問し、ルカシェンコ大統領やアレイニク外相と会談しました。

会談のあと、ラブロフ外相は会見で「アメリカなどNATO=北大西洋条約機構は加盟国を拡大させて破滅的な道を歩み、政治的、軍事的な緊張が高まっていてわれわれは深い懸念を表明する」と批判しました。

ベラルーシでは今月16日からロシアとベラルーシの空軍の合同演習も行い、ウクライナに軍事的な揺さぶりをかけていて、ロシアはイランやベラルーシと連携し欧米に対抗する構えを示しています。

プーチン大統領 再びイラン大統領と電話会談

ロシア大統領府によりますとプーチン大統領が19日、イランのライシ大統領と電話で会談し、エネルギー分野などの協力を話したとしています。

両首脳は今月11日にも電話で会談したばかりで、ウクライナ情勢をめぐって欧米との対立が深まる中、ロシアはイランから無人機を獲得するなど軍事面の結びつきを強めているとみられています。

ロシア「紛争の性質を新たなレベルに引き上げる」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は19日、ウクライナへの軍事支援をめぐり欧米側が戦車の供与などを議論していることについて「紛争の性質を新たなレベルに引き上げることを意味する。世界やヨーロッパの安全保障にとって良い兆しとはならない」と述べ、強くけん制しました。

ヨーロッパ11か国 共同声明「前例ない軍事的供与していく」

イギリスやポーランド、それにバルト3国の国防相などヨーロッパの11か国の代表は19日、エストニアの首都タリンで会合を開き、「ウクライナを防衛するため、前例のない軍事的供与をしていく」とする共同声明を発表しました。

「タリンの誓い」と名付けられた声明では、20日にドイツで開かれる各国が軍事支援を話し合う会合を念頭に「ほかの同盟国やパートナーにもなるべく早くそれぞれの支援を実行に移すよう要請する」と強調しています。

このうちロシアと国境を接するエストニアは、りゅう弾砲や弾薬などおよそ1億1000万ユーロ、150億円を超える軍事支援を発表し、政府によりますとウクライナへの軍事支援の総額はこれを含めてGDP=国内総生産の1%を超えるということです。

11か国のほかに北欧のスウェーデンも、高性能な歩兵戦闘車CV90をおよそ50両、最新鋭の自走式りゅう弾砲「アーチャー」を12門、それに携帯式の対戦車ミサイルなど合わせて43億クローナ、日本円でおよそ540億円分の供与を発表し、ヨーロッパの多くの国が軍事支援を強化しています。

米独国防相 ドイツ製戦車「レオパルト2」供与を協議か

アメリカのオースティン国防長官とドイツのピストリウス国防相は19日、首都ベルリンで会談し、会談では攻撃能力の高いドイツの戦車「レオパルト2」をウクライナに供与するかどうか協議したものとみられます。

20日には、ドイツ西部で欧米各国がウクライナへの軍事支援を話し合う会合が開かれる予定で、ドイツ側が供与を決めるかどうかが焦点となります。