コロナ第8波に加えインフルも流行期に 薬不足が深刻な薬局も

新型コロナの第8波に加え、インフルエンザが全国的に流行期に入りましたが、処方箋を受け付けている都内の薬局では、のどの痛み止めなどの薬不足が深刻になっていて、種類を変更したり2回に分けて薬を渡すなどの対応を続けています。

医薬品の供給をめぐっては、製造上の不正が発覚したジェネリック=後発医薬品のメーカーへの行政処分が相次ぎ供給不足が続いている一方で、新型コロナの感染拡大で解熱鎮痛薬やせき止めなどの需要が高まり、一部の医療機関や薬局では入手が難しくなっています。

東京 豊島区の薬局では、先月中旬から新型コロナの患者に加えインフルエンザの患者の処方箋の受付が増えましたが、のどの炎症を抑える薬やたんの切れをよくする薬、さらにせき止めが不足していて、中には1人に1週間分として出せる量しか残っていない薬もあります。

契約している複数の問屋に問い合わせて在庫を確保していますが、処方箋どおりに薬を出すことができない場合は、患者や医師と相談したうえで薬の種類を変えたり2回に分けて薬を渡すほか、周辺の薬局に問い合わせて在庫があれば紹介するなどして対応しています。

また、解熱剤など市販薬も販売していますが、こちらも入荷が少ないため購入できる数に制限を設けているということです。

「サン薬局ときわ通り店」の薬剤師、伊原孝子さんは「先日、処方された量の準備ができず、初めて処方を断りました。薬剤師として本当に心苦しい状況です。なんとか処方できるよう薬をかき集めているので、理解いただきたい」と話していました。

現場の医師からは国に支援を求める声

現場の医師からは供給の改善に向けた支援を国に求める声があがっています。

東京 北区のクリニックでは、新型コロナの発熱外来を設けているほか、インフルエンザの検査も行っています。

新型コロナの患者は年末年始のピーク時に比べると落ち着きつつある一方で、年明け以降、若い世代を中心にインフルエンザの患者が増えているということです。

しかし、院内で処方するせき止めや、のどの炎症を抑える薬が入荷できない状態が続いています。

特に、せきやたんなどの症状が長期化している患者を診察する機会が増えてきたということですが、治療に必要な薬を適切なタイミングで出すことができない状況が続いているといいます。

さらに、薬を処方しても薬局に在庫がないため患者が受け取れないケースが相次いでいるといい、手に入る薬を代わりに処方したり、手元に残っている薬を使用頻度を減らして服用するよう助言したりして対応しているということです。

「いとう王子神谷内科外科クリニック」の伊藤博道院長は「いずれも万全の方法ではなく代替策で切り抜けられる問題ではないので、現場の苦しい状態を踏まえて今後、薬の供給が改善に向かうサポートを国にしてほしい」と話していました。

厚生労働省の対応は

医薬品の供給不足が続く中、厚生労働省は医療機関や薬局を対象にした相談窓口を設けていて、薬の在庫が少なく、取引先の卸売業者からの入手が難しい医療機関や薬局から相談を受けた場合には、在庫があるほかの業者に販売を依頼するなど支援に当たっています。

このほか、製薬会社に対し解熱鎮痛薬などを増産するよう要請したり、卸売業者に在庫の少ない小規模な薬局などに優先して供給するよう依頼しているほか、解熱鎮痛薬などが買い占めで供給不足にならないようドラッグストアや薬局に対して1人が購入できる個数を制限することなどを求めています。

厚生労働省は「医薬品の供給が円滑に行われるよう必要な対応を進めていきたい」としています。