【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(17日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

アパートへのミサイル攻撃 死者41人に 行方不明は25人

東部の都市ドニプロの9階建てアパートへのロシア軍のミサイル攻撃について、ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官は17日、これまでに子ども4人を含む41人が死亡し79人がけがをしたとSNSで明らかにしました。

また、非常事態庁は依然として25人の行方がわかっていないとしています。

ロシア大統領府はウクライナ側のミサイルの誤爆の可能性があると一方的に主張していますが、イギリス国防省は17日、ロシア軍の爆撃機から発射された大型の対艦ミサイルの可能性が高いと指摘しました。

そしてこのミサイルは市街地の標的を識別する能力が低いとしたうえで「ロシアの長距離攻撃能力の機能不全がさらに深刻になっていることを示唆している」と分析しています。

ロシア ショイグ国防相 作戦区域の部隊の司令部を視察

ロシア国防省は、ショイグ国防相が作戦区域の部隊の司令部を視察したと17日発表しました。

ロシア語で「東部」を意味する「ボストーク」の部隊本部だとしていますが、具体的な場所は明らかにしていません。

公開された映像では、ショイグ国防相は戦況報告を受けたあと「『勝利の日』を早く迎えるために全力を尽くすように」と述べていて、部隊の士気を高めるねらいがあるものとみられます。

ウクライナ国防相 “ロシアに決して妥協しない”立場強調

ウクライナのレズニコフ国防相は今月、首都キーウでNHKのインタビューに応じました。

この中で、レズニコフ国防相は、ウクライナ侵攻を続けるロシアについて、「彼らとしても『特別軍事作戦』と呼ばれる行動が失敗していることが分かっている中で、政権をどう維持させるかということだけが目的となっている」と述べました。
そのうえで、「ロシアの戦略的な目標は、エスカレーションの段階を上げると脅し続けることで、自分たちに有利な条件で交渉のテーブルにつくことだ。あたかも自分たちが勝者であるかのように面目を保ちたいのだ」と述べ、ロシアは、攻撃のレベルを上げていくと示唆することで、ウクライナや欧米側の戦意をくじき、自分たちの勝利を演出したいと考えているという見方を示しました。

ロシア側が考える勝利に関しては、「ロシアは、国内の有権者に『特別軍事作戦』の成功を訴えるために東部ドネツク州とルハンシク州を完全に支配したがっている」と述べ、ロシア軍は、ドネツク州でウクライナ側の拠点の一つとなっているバフムトの掌握にこだわっていると指摘しました。

一方、レズニコフ国防相は、ウクライナとしては、「ロシアがウクライナの領土から軍を撤退させたあとで交渉の席につくことができる」と述べ、決して妥協しないという立場を強調しました。

ゼレンスキー大統領「戦争犯罪者はすべて特定され裁判に」

ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、公開した動画で、東部の都市ドニプロのアパートにミサイルが着弾したことについて「この攻撃を準備し、実行したロシア軍についてウクライナの保安庁は、情報収集を始めている。戦争犯罪をおかしたすべての人は必ず特定され、裁判にかけられる」と述べ、攻撃を強く非難しました。

そして、「ロシアが戦争の主導権を握るため、新たな動きを準備している」などとしたうえで、「連帯を示すすべての国がウクライナと自由を守るために結集し、意思決定を迅速に行うことが非常に重要になっている」と述べ、各国に対してさらなる支援を呼びかけました。

ロシア軍のミサイル攻撃 少なくとも40人死亡 30人以上行方不明

ウクライナに侵攻を続けるロシア軍が今月14日、東部の都市に行ったミサイル攻撃で、ウクライナの当局は子ども3人を含む、少なくとも40人の住民が死亡したほか、依然として30人以上の行方がわかっていないと発表し、犠牲者が増え続けています。

ロシア ペスコフ報道官 「標的は軍事施設のみ」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は16日、「ロシア軍は住宅や社会的なインフラ設備を攻撃しておらず、標的は軍事施設のみだ」と述べたうえで、今回の被害は、ウクライナ側の対空ミサイルによる誤爆の可能性があるとする主張を一方的に展開しました。

国連事務総長 “市民や民間施設への攻撃は国際人道法違反”

ロシア軍によるミサイル攻撃で、東部の都市ドニプロにある9階建てのアパートにミサイルが着弾したことについて国連のグテーレス事務総長は16日、報道官を通じて声明を発表し、「ドニプロの住宅に対する致命的なミサイル攻撃を強く非難する」としました。

そのうえで、グテーレス事務総長は、「市民や民間施設に対する攻撃は、国際人道法違反だ。そうした攻撃は直ちに中止しなければならない」と訴えました。

国連 “ウクライナで死亡の市民7000人超”

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まった去年2月24日から今月15日までに、ミサイル攻撃や砲撃などによってウクライナで死亡した市民が7000人を超えたと16日、発表しました。

▽東部のドネツク州とルハンシク州で4102人、
▽首都キーウなどそのほかの地域で2929人で、
合わせて少なくとも7031人の死亡が確認されたとしています。

このうち、433人は子どもだということです。

また、けがをした市民は1万1327人に上るとしています。

国連人権高等弁務官事務所は、激しい戦闘が行われた東部マリウポリなどでの死傷者の数が、まだ正確に確認がとれていないとして、実際は発表された人数を大きく上回るとの見方を示しています。

ロシアのミサイル着弾のアパート 多くの人たちが献花

ロシア軍のミサイルが着弾したウクライナ東部の都市ドニプロにある9階建てのアパートの前では、16日、犠牲者を悼んで、多くの人たちが涙を流しながら、花やぬいぐるみなどを手向ける姿が見られました。

近くに住む60代の女性は、「私たちの誰もが、同じように被害を受けていた可能性があります。人々の命が失われたことは非常につらく、残念でなりません」と話していました。

また20代の女性は、「攻撃されたのがアパートだとは信じられませんでした。とてもショックです」と話していました。

ウクライナ 迎撃が難しいロシアのミサイルが脅威に

ウクライナ空軍の報道官は16日の会見で、ロシア軍の攻撃に迎撃が難しいミサイルが使われ、ウクライナ側にとって脅威になっているという認識を示しました。

報道官によりますと、このところの攻撃では、本来、地上から上空の標的を撃ち落とすために開発されたミサイルが頻繁に使われ、このうちの一部は、射程が数百キロに及ぶということです。

報道官は、こうしたミサイルを迎撃するためには、欧米の防空兵器が必要だとしたうえで、「ミサイルが発射される位置で破壊しなければならない」と述べ、ロシア軍が国内やウクライナでの支配地域に配備したミサイルシステムに対する攻撃も辞さない方針を示しました。

一方、ロシア軍が本来、防空を目的とするミサイルを攻撃に使う背景については、「短距離弾道ミサイルが少なくなっているためだ」と述べ、大規模なミサイル攻撃を繰り返してきたロシア軍には、弾道ミサイルが不足していると指摘しました。

ドイツ国防相が辞意 ウクライナ軍事侵攻めぐる不適切な発言など

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって不適切な発言をしたと批判を浴びていたドイツのランブレヒト国防相が16日、辞意を表明しました。

ドイツのランブレヒト国防相は先月末、首都ベルリンで打ち上げ花火の音が響く中、「ヨーロッパの中心で戦争が行われていて、それに関わりすばらしい人たちと出会えた」などとする新年のメッセージをSNSに投稿し、地元メディアや野党から、ウクライナが侵攻を受ける中不適切な発言だと強い批判を浴びていました。

ロシアとトルコの大統領が会談

ロシア大統領府は16日、プーチン大統領がトルコのエルドアン大統領と電話会談したと発表しました。

会談でプーチン大統領は、「ウクライナ政府は破壊的な政策をとり、欧米の軍事支援で敵対行為を激化させている」と主張しました。

さらに今月上旬、ロシア正教のクリスマスにあわせて、ロシア側が一方的に停戦を宣言したことをめぐっても、「ウクライナ側が偽善的な政策によって停戦を拒否した」と非難したということです。

また、ロシアとウクライナの人権担当者が今月、トルコの首都アンカラで会談したことを受けて、プーチン大統領とエルドアン大統領は、負傷した戦争捕虜の交換についても取り上げたとしています。

一方、トルコ大統領府は、エルドアン大統領が和平を仲介する用意があることをプーチン大統領に改めて伝えたとしています。

ウクライナ議会の人権担当者は13日、NHKの取材に対して、捕虜の交換などについて、ゼレンスキー大統領とエルドアン大統領も電話で会談する見通しだと述べています。