大学入学共通テスト2日目 不正行為で2人が試験結果無効に

全国で51万人が出願している大学入学共通テストは15日、理科と数学の試験が行われ、2日間の日程が終了しました。15日は、定規を使う不正行為があったとして、東京などで2人の受験生の試験結果がすべて無効となりました。

大学入学共通テストは15日まで2日間の日程で全国679の試験場で本試験が行われ、2日目の15日は理科と数学の試験が行われました。

15日午前、東京 目黒区の東京工業大学には受験生が次々と集まり、ノートや参考書を確認したり、高校の教員から激励を受けたりしながら試験場に入っていきました。

試験を1分早く終わらせるミス 70人が再試験に

大学入学共通テストを実施する大学入試センターによりますと、東京 目黒区の東京大学の会場では、試験を1分早く終わらせるミスがあり、70人が再試験の対象となりました。

東京 武蔵野市にある日本獣医生命科学大学の会場では、交通機関の遅れのため、受験生1人の試験開始が20分繰り下げられました。

2人が定規を使う不正行為

今回の試験で大学入試センターは、15日に定規を使う不正行為があったとして、東京都と静岡県の会場であわせて2人の受験生の試験結果をすべて無効としました。

一方、ことしはスマートフォンを使った不正行為は15日の時点で確認されていないということです。

ことしの大学入学共通テストでは、遅刻できない受験生の心理につけこむ痴漢が問題となるなか、警視庁が駅などで警戒にあたりました。

また、去年、東京大学の門の前で受験生など3人が切りつけられた事件や、試験中にスマートフォンで問題を外部に送る不正行為があったことを受け、各試験場では警備や対策が強化されました。

新型コロナの感染拡大が続くなか、受験できなかった人のために、今月28日と29日には追試験が設けられています。

共通テスト3年目 出題された問題は

大学入学共通テストでは新型コロナウイルスやヤングケアラーなど、ニュースやインターネットで話題になった身近な題材が多く出されました。

「世界史A」では、人や物の流れをテーマにした問題文の中で「新型コロナウイルス」ということばが、共通テストとして初めて使われました。

「政治・経済」では、去年4月、成人年齢の引き下げと合わせて施行された改正少年法で、特定少年が何歳以上なのかを問う問題が出ました。

「現代社会」では、子どもの貧困について考える問題の解答の選択肢として、「ヤングケアラー」を説明する文がありました。

英語のリーディングでは、過酷な環境でも生き延びることからインターネットなどで“地上最強の生き物”とも言われる「クマムシ」を紹介する英文が出されました。

大手予備校の河合塾は、問題に示された会話文と複数の資料を結びつけて答えを導き出す問題が多いなど、これまで2回と同様、思考力や判断力が重視されているとしています。

河合塾教育企画開発部の浅野晴久部長は「共通テストになって3年目となり、内容が安定してきた印象がある。授業で身につけた知識を活用し、発揮してほしいという出題者のメッセージが読み取れる。難易度については、去年は数学が予備校業界でもセンセーショナルに受け止められるほど難しかったが、ことしはそこまでではなく、去年ほど平均点が低くなることはないのではないか」と分析しています。その上で受験生に向けては「結果を引きずらず、2次試験や私立の試験に切り替えることが重要だ。自己採点によっては志望校を考え直す人もいると思うが、本当に行きたい大学かどうかをよく考えて、後悔のない選択をしてほしい」と話していました。