【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(14日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる14日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ大統領府「キーウの重要インフラにミサイル攻撃」

ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官は日本時間の14日午後4時半すぎ、現地時間の14日午前9時半すぎにSNSに投稿し「キーウの重要インフラにミサイル攻撃が行われた。詳細は調査中だ」としたうえで、市民に対し、シェルターに避難するよう呼びかけました。

NHKの取材班が滞在しているホテルでは日本時間の14日午後4時半ごろ、現地時間の14日午前9時半ごろ、少なくとも3回、「ドーン」という音が聞こえました。

これについてキーウのクリチコ市長は「市内で爆発があり対応している。シェルターにとどまるように」とSNSに投稿しました。

ゼレンスキー大統領「ソレダール 戦いは続いている」

ウクライナのゼレンスキー大統領は13日に公開した動画で、「ドネツク州での激しい戦いは続いている。バフムトやソレダール、そして東部の町や村をめぐる戦いは続いている」と述べ、ロシアがバフムト近郊の町ソレダールを掌握したと発表するなか、いまもこの地域で防衛を続けていると主張しました。

そのうえで、「敵はこの方面で最大の戦力を集中させているがウクライナ軍が国を守っている。ソレダール付近で敵を撃破するために重要な働きをしている部隊に感謝をしたい」と述べました。

イギリス政府 ウクライナに主力戦車の供与を検討

イギリス政府が、ウクライナへの軍事支援を強化するため、主力戦車の供与を検討していることが分かりました。スナク首相がウォレス国防相に供与を検討するよう指示し、今後数週間のうちに方向性が示される見通しです。

イギリスメディアは、候補となっているのは120ミリ砲を搭載する陸軍の主力戦車「チャレンジャー2」で10両程度の供与が検討されているとしています。

イギリスの首相官邸は、NHKの取材に「われわれはこの戦争でウクライナを勝利に導く次世代軍事技術の支援を加速させる。戦車の供与は、形勢を一変する能力をウクライナに与えることになる」と、その意義を強調しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、攻撃力の高い戦車の供与を各国に求めていて、隣国ポーランドは1月11日、保有するドイツ製戦車を供与する意向を表明し、ドイツがこれを認めるかどうかが焦点となっています。

一方で、各国の間では攻撃力の高い戦車の供与は戦闘のさらなる激化を招くとして慎重な意見があり、アメリカ、フランス、ドイツは今月、装甲車の供与を表明しています。

IAEAグロッシ事務局長 来週ウクライナ訪問

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は13日声明を発表し、来週ウクライナを訪れ、安全性への懸念が広がっているザポリージャ原子力発電所を巡り、ウクライナ政府の高官と協議を行うと明らかにしました。

ザポリージャ原発は施設周辺への砲撃により原子炉の冷却に必要な外部からの電力供給が失われる事態が相次いで起きていて、IAEAは、原発周辺を安全が確保された区域に設定するための協議をウクライナとロシア双方と続けています。

グロッシ事務局長は声明で「双方との協議は求められるほどのスピードではないが前進している。すみやかに合意できることを願っている」として協議に意欲を示しました。

ウクライナの人権担当者「人道回廊設置でトルコが調整」

ウクライナ議会の人権保護委員会の委員長、ルビネツは、NHKの取材に応じ、今月12日までアンカラで3回にわたり、ロシア議会で人権問題を担当するモスカリコワ氏と協議してきました。

ルビネツ氏は、ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領がトルコの仲介で「人道回廊」の設置に合意した場合、ロシア側と詳細を詰めた上で、両国が連絡を取り合う事務所をトルコに設置したいという考えを示しました。

ルビネツ氏は「去年の侵攻開始以来、2万人以上の市民がロシアの人質になっている。家族のもとに帰せるようロシア側と協議したい」と話していました。

ウクライナでの戦闘が長期化する中、今後、具体的な成果に結びつくのかが焦点となります。

米シンクタンク「ロシアはソレダールの重要性を誇張」

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は12日、ロシア軍がソレダールの大部分を掌握したとみられると指摘する一方で「ソレダールの占領は、軍事作戦上、重要な進展ではなく、バフムトの包囲に即座につながりそうにない。ただ、ロシアはソレダールの重要性を誇張している」という見方を示しています。

ウクライナ軍の報道官「ロシア軍はソレダールを掌握していない」

ウクライナ軍の報道官は13日、地元メディアに対し「ロシア軍はソレダールを掌握していない。彼らの発表は事実ではない」と述べ、ロシア側の主張を否定しています。

ロシア国防省 ソレダールを掌握したと発表

ロシア国防省は13日、激しい戦闘が続いていた東部ドネツク州で、ウクライナ側の拠点の1つバフムトの近郊の町ソレダールを12日夜に掌握したと発表しました。

国防省は、ロシア軍の精鋭とされる空てい部隊が軍事作戦を展開したなどとしたうえで「ソレダールを掌握したことで、 バフムトでウクライナ軍の補給路を遮断し部隊を封鎖できる」と主張していて、バフムトへの攻勢を強めたいものとみられます。

ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」は、ロシア軍が新たな町を掌握するのは去年7月以来だと指摘しています。

ロシア軍としては、去年の夏以降、ウクライナ側の反転攻勢を受けて劣勢が続き、ロシア国内でも強硬派などから軍部への批判が強まる中、重要な戦果だと誇示したい思惑もあるとみられます。