ロシア軍兵器不足 軍需企業 受刑者雇用し兵器増産か 英国防省

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、兵器や装備品の不足が深刻化していると指摘されています。こうした中、戦況を分析するイギリス国防省はロシアの軍需企業が刑務所に服役する受刑者を雇用し、兵器の増産など対応に乗り出しているという見方を示しています。

ウクライナ東部では、ロシア軍がウクライナ側の拠点の1つ、バフムトを掌握しようと、近郊の町ソレダールへの攻勢を強めていて、これに対しウクライナ側は抵抗を続けていることを強調しています。

一方、ロシアではプーチン大統領が11日に行った政府の会議で、軍用機を含む航空機関連の調達が遅れているとして、産業貿易相を兼務するマントゥロフ副首相を強く叱責し「われわれが置かれている状況を理解していないのではないか。1か月以内に終わらせよ」と指示しました。

プーチン大統領の発言はロシアの新聞も大きく伝えていて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は12日「プーチン大統領は装備品などの不足に対し、スケープゴートを探している可能性が高い」と指摘しました。

そして、クレムリンは今回、プーチン大統領が厳しい反応を示したことを国営メディアなどを通じて公開することを選択したと指摘し、兵器不足を批判する軍事評論家などロシア国内の世論に対応しようとするねらいもあるという見方を示しています。

また、イギリス国防省は13日に発表した分析で、ロシアの軍需企業が、兵器などの製造に対応するため、刑務所に服役する受刑者を利用している可能性が高いと指摘しました。

すでにロシアで、最大級の戦車メーカーが受刑者を雇用すると伝えられているとしたうえで「こうした企業はモスクワから製造を増やすよう強い圧力を受けている」と分析し、兵器の増産など対応に乗り出しているという見方を示しています。

ロシアでは、民間軍事会社のワグネルが受刑者から戦闘員を募り、ウクライナの戦地に派遣していると伝えられていますが、軍事侵攻が長期化する中、ロシア国内でも多くの受刑者を雇用し、深刻化する兵器不足に対応したい思惑があるとみられます。