【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(13日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる13日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア “ウクライナの拠点バフムト近郊の町を掌握“ と発表

ウクライナに侵攻するロシアの国防省は13日、東部ドネツク州でウクライナ側の拠点のひとつバフムトの近郊の町ソレダールを12日夜に掌握したと発表しました。

ロシア国防省は「ソレダールを掌握したことで、バフムトでウクライナ軍の補給路を遮断し、封鎖できる」などと強調していて、バフムトへの攻勢を強めたい狙いがあるとみられます。

これに先立ってウクライナ側は、抵抗を続ける姿勢を示していました。

イギリス国防省 “ロシア 受刑者を利用し兵器増産か”

イギリス国防省は13日に発表した分析で、ロシアの軍需企業が兵器などの製造に対応するため、刑務所に服役する受刑者を利用している可能性が高いと指摘しました。

すでにロシアで最大級の戦車メーカーが受刑者を雇用すると伝えられているとしたうえで「こうした企業はモスクワから製造を増やすよう強い圧力を受けている」と分析し、兵器の増産など対応に乗り出しているという見方を示しています。

ロシアでは民間軍事会社のワグネルが受刑者から戦闘員を募り、ウクライナの戦地に派遣していると伝えられていますが、軍事侵攻が長期化する中、ロシア国内でも多くの受刑者を雇用し、深刻化する兵器不足に対応したい思惑があるとみられます。

米シンクタンク「プーチン大統領 スケープゴートを探すか」

ロシアではプーチン大統領が、11日に行った政府の会議で、軍用機を含む航空機関連の調達が遅れているとして、産業貿易相を兼務するマントゥロフ副首相を強く叱責し「われわれが置かれている状況を理解していないのではないか。1か月以内に終わらせよ」と指示しました。

プーチン大統領の発言はロシアの新聞も大きく伝えていてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は12日、「プーチン大統領は装備品などの不足に対し、スケープゴートを探している可能性が高い」と指摘しました。

そして、クレムリンは今回、プーチン大統領が厳しい反応を示したことを国営メディアなどを通じて公開することを選択したと指摘し、兵器不足を批判する軍事評論家などロシア国内の世論に対応しようとするねらいもあるという見方を示しています。

国連安保理 公開討論 “法の支配重要”意見相次ぐもロシア反論

国連の安全保障理事会では、議長国の日本が主催して「法の支配」をテーマにした公開討論が開かれました。

公開討論では冒頭、国連のグテーレス事務総長がロシアによるウクライナ侵攻に言及し、「武力の行使や威嚇によって他国の領土を併合することは、国連憲章や国際法違反だ」と指摘したうえで、「法の支配を保つことがこれまで以上に重要だ。すべての加盟国に責任がある」と訴えました。

続いて日本の林外務大臣が法の支配の理念のもと国際社会が結束するよう呼びかけ、各国からも力ではなく国際法に基づく秩序こそが重要だという意見が相次ぎました。

このうちアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「ロシアによる軍事侵攻に国際法上の根拠はない。主権や領土を尊重しない人々が責任を問われるように、ロシアにも責任を負わせなければならない」と訴えました。
これに対してロシアのネベンジャ国連大使は、軍事侵攻を改めて正当化した上で「欧米各国こそ過去にイラクや旧ユーゴスラビアを一方的に攻撃し、国際法に違反してきた」と反論しました。

また中国の張軍国連大使も「一部の国に対して一方的に制裁を科すことは国際法上の根拠がない」として、ロシアや北朝鮮などに対する欧米側の制裁を非難しました。

安保理の公開討論には国連のすべての加盟国が参加でき、今回は70か国以上が発言することになっています。

米国防総省 “ロシア軍総司令官の任命 士気低下など解消狙いか”

ウクライナへの軍事侵攻の指揮を執る新たな総司令官にロシア軍の制服組トップ、ゲラシモフ参謀総長が任命されたことについて、アメリカ国防総省のライダー報道官は12日の記者会見で「ロシアが軍事侵攻を開始して以来、直面し続けている問題を反映している可能性が高い」と述べ、ロシア軍が抱える士気の低下や指揮系統の混乱などを解消する狙いがあるのではないかとの分析を示しました。

また、アメリカ国務省のプライス報道官は記者会見で「ロシアは流れを変えようとしているのかもしれない」と述べ、思うように侵攻が進まない状況を打開したい思惑があるのではないかとの見方を示しました。

ロシア軍副司令官がベラルーシを訪問

ロシアでは軍の制服組トップのゲラシモフ参謀総長がウクライナへの軍事侵攻の指揮を執る新たな総司令官に任命され、今後の大規模な攻勢に向けて軍の指揮統制を立て直す思惑もあるとみられます。
また、副司令官として任命された3人のうち、ロシア陸軍トップのサリュコフ氏が12日、同盟関係にあるベラルーシを訪問しました。

ロシアとベラルーシの国防省によりますと、サリュコフ氏は、ベラルーシ国内に駐留しているロシア軍と、ベラルーシ軍による合同部隊を視察したということです。

両国は今月16日から来月1日にかけて空軍の部隊が合同演習を実施するとも明らかにしていて、ロシアは、ウクライナに対して隣接するベラルーシから攻撃する可能性をちらつかせ、軍事的なゆさぶりをかけているものとみられます。

ゼレンスキー大統領「ウクライナ軍は陣地を維持」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、12日に公開した動画で東部のウクライナ側の拠点、バフムトの近郊ソレダールなど最前線の状況について軍の幹部らと協議したとして「今後、どのような決定や支援が必要かを分析した。部隊への武器や弾薬の供給状況についても議論した」と述べ、反転攻勢に向けて対応を検討していることを明らかにしました。

そのうえでソレダールについて「ウクライナ軍は陣地を維持し、ロシア軍に大きな損失を与えている」と強調し、前線部隊の兵士たちに感謝の意を示しました。

米シンクタンク「ロシア軍がバフムト掌握できる可能性低い」

ウクライナ東部では、ロシア軍がウクライナ側の拠点の掌握を目指して近郊の町で攻勢を強めていてウクライナ軍との間で依然として激しい攻防が続いているものとみられます。

ロシア軍は、ウクライナ東部ドネツク州でウクライナ側の拠点のひとつバフムトを掌握しようと、近郊の町ソレダールで攻勢を強めていて、地元の親ロシア派の指導者は11日、町全体を掌握したと主張しました。
これに対し、ウクライナのマリャル国防次官は12日の記者会見で「厳しい状況だがウクライナ軍は必死に戦っている」と述べ、依然として激しい攻防が続いているとしています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は11日、ロシア側はソレダールを完全に掌握できていないと指摘するとともに、「ソレダールを掌握したとしてもロシア軍が拠点のバフムトを掌握できる可能性は低い」とする見方を示しています。