札幌 オミクロン株に感染し死亡 9割近くが70代以上 市が分析

札幌市では、新型コロナウイルスの流行がオミクロン株に置き換わったあとの去年7月以降、死亡した感染者の9割近くが別の病気を抱えていたり、体力が衰えたりしている70代以上の高齢者であることが分かりました。札幌市は、オミクロン株は感染力が高く、若い世代で感染が広がるほど、死亡のリスクが高い高齢者が感染するケースも増えてしまうとして、すべての年代で、ワクチン接種を含めた対策の徹底が改めて求められていると強調しています。

札幌市は、オミクロン株の流行の特徴を見極めようと、流行が本格化した去年7月1日から11月30日までの5か月間の死者の数と感染者全体に占める割合を年代別にまとめて分析しました。

その結果、感染したのは27万2444人で、このうちの0.15%にあたる418人が亡くなり、死亡した人の9割近くが別の病気を抱えていたり、体力が衰えたりしている70代以上の高齢者であることが分かりました。

年代別の死亡者の数を見ると、
▽90代以上が135人、
▽80代が164人、
▽70代が76人、
▽60代が28人、
▽50代が11人、
▽40代が2人、
▽30代が2人、
▽20代以下が0人で、
死亡者に占める年代の割合を70代以上で見ると89.7%、さらに60代以上だと96.4%を占めていました。

このデータをアルファ株が流行していたおととし4月からおととし6月30日までの期間と比較すると、感染者全体に占める死亡の割合は、アルファ株が3.51%、オミクロン株は0.15%で、およそ20分の1に下がったということです。

年代ごとに死亡の割合をアルファ株とオミクロン株で比べると、
▽20代以下は、0%で変わらなかった一方、
▽30代は、アルファ株が0.20%だったのに対しオミクロン株が0.00%、
▽40代は、0.26%だったのが0.00%、
▽50代は、0.86%だったのが0.04%、
▽60代は、3.78%だったのが0.16%、
▽70代は、14.16%だったのが0.66%、
▽80代は、25.43%だったのが2.16%、
▽90代以上は、30.53%だったのが3.59%、
▽全年代では、3.51%だったのが0.15%になりました。

これについて、札幌市保健所の山口亮感染症担当部長は、アルファ株に比べてオミクロン株の病原性が低いとみられることや、アルファ株が流行したころはワクチンの接種が進んでいなかったことなどを挙げています。

その一方で、オミクロン株は感染力が高いために感染者の数は大きく増えているとしていて、
3か月という同じ長さの期間で比べると、
▽10代以下が20倍、
▽20代が8倍、
▽30代が12倍、
▽40代が12倍、
▽50代が10倍、
▽60代が8倍、
▽70代が6倍、
▽80代が5倍、
▽90代が5倍に増えていて、
全年代で11倍、その中でも10代以下と、その親の世代にあたる30代や40代の感染が最も増えているとしています。

そして、社会活動が活発な若い世代で感染が広がるほど、高齢者施設や医療機関をはじめ、家庭内でも感染が広がり、死亡のリスクが高い高齢者が感染してしまうケースが増えるとしています。

このため、山口部長は「リスクが高い高齢者のみならず、周囲の人も含めて、基本的な感染対策と、ワクチンの接種でコロナを遠ざける努力をすることが必要だ」と指摘し、すべての年代でワクチン接種を含めた対策の徹底が改めて求められていると強調しました。

そして、50代以下の年代については「死亡のリスクは低くなったが、合併症や後遺症の問題も指摘されていて、さらなる調査が必要になっている。自身を守るためにもワクチン接種などの対策を徹底してほしい」と呼びかけています。