中国 入国者の隔離措置を撤廃 往来の拡大で経済の回復なるか

中国では、新型コロナウイルスの感染対策として入国者に義務づけてきた隔離措置などが8日から撤廃され、上海の空港では日本からの渡航者が隔離なしで入国する姿が見られました。

最大の経済都市、上海にある空港では8日朝、早速、日本や韓国などからの航空便の渡航者が隔離施設に向かうことなく、出迎えた人と再会を喜ぶ姿が見られました。国際便の搭乗率の制限も8日の便から撤廃されていて、成田空港から上海に到着した便はほぼ満席だったということです。

上海に駐在する60代の男性は「隔離がなく、うれしいです。人の交流が増えることによってビジネスも活発化すると思います」と話していました。

中国では、これまでの厳しい感染対策で経済が停滞していて、政府としては入国後の隔離措置などを撤廃することで往来を拡大させ、経済の回復につなげるねらいがあるとみられます。

ただ、中国の航空当局の計画によりますと、去年10月下旬からことし3月下旬に中国を発着する国際旅客便の数は、感染拡大前の同じ時期と比べて5%にも満たないうえ、感染が広がる中国からの入国を各国が警戒する中、往来の本格化には時間がかかるとみられます。

香港との往来も緩和

一国二制度のもと、独自の新型コロナウイルス対策がとられてきた香港では中国本土との往来もおよそ3年にわたって厳しく制限されてきました。

8日から中国本土での隔離措置がなくなり、人の往来の制限が緩和されました。

広東省・深セン※に近い香港側にある落馬洲の境界では香港から中国本土へ向かう大勢の家族連れなどが長い列を作りました。(※セン=土へんに川)

一方で、中国本土から香港へ向かう人たちの数は少なく、ビジネスや留学などのために訪れたという人たちがスーツケースを持って鉄道の改札を通っていきました。

香港で開かれる見本市に出展するという浙江省から来た男性は「直接、お客さんと会えるので以前よりも便利です」と話していました。

香港では中国本土からの観光客がこの3年間激減し、経済に大きな打撃となっていて、地元の小売店などでは中国本土からの客足が戻ることに期待が高まっています。

一方で、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念する人もいます。

香港の北部に暮らす男性は「往来が再開することで親戚と会える人もいてよいことですが、感染状況はまだ厳しいので、ちょっと怖いです」と、話していました。