【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(7日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる7日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

キーウ市民 “ロシアの一時停戦”に不安の声

ロシアのプーチン大統領がロシア正教のクリスマスにあたる7日、ロシア軍が一時的な停戦に入ったと主張したのに対し、ウクライナの首都キーウの市民からは冷ややかな声や攻撃を心配する声が聞かれました。

このうち21歳の女性は「これまでうそをつき続けてきたロシアが言っていることは信用できず、ばかげていて、きょうも攻撃するかもしれないと思っています。いつもロシアの攻撃を心配しながら過ごしています」と話していました。

また、28歳の会社員の男性は「きのう、停戦表明の時間帯に入ってから小さい子どもを含め家族と一緒にショッピングモールにいましたが、防空警報が鳴ってとても不安な気持ちになりました。ロシアのことばは信じられません」と話していました。

プーチン大統領 モスクワでクリスマスの礼拝に参列

ロシアのプーチン大統領は首都モスクワのクレムリンにある大聖堂で、7日のロシア正教のクリスマスにあわせて行われた礼拝に参列しました。

国営テレビが7日、放送した映像では、大聖堂の中でプーチン大統領がろうそくを供えたり、司祭のことばに合わせて十字を切ったりする様子が映し出されました。
プーチン大統領は5日、ロシア正教のクリスマスにあわせて停戦するよう命じた上で「ウクライナ側に停戦を宣言し、信者たちが礼拝に参列できるようにすることを求める」としています。

例年、プーチン大統領は1月7日に出身地のサンクトペテルブルクやロシア南部のソチなどの教会で礼拝に参列していて、ことしはウクライナのロシア側が支配する地域を訪れるのではないかという見方もSNS上で出ていました。

ゼレンスキー大統領 米の新たな軍事支援を歓迎

ウクライナのゼレンスキー大統領は6日新たに公開した動画で、アメリカ国防総省が発表したおよそ30億ドルの新たな軍事支援について、「非常に強力な支援だ。戦闘車を初めて手に入れることになる。これこそ、まさに必要とされているものだ」と述べ、M2ブラッドレー歩兵戦闘車の供与を歓迎しました。

そのうえで各国の支援について、「ウクライナやヨーロッパの人々がロシアのいかなるテロ行為からもいっそう守られることを意味する」と述べ、謝意を示しました。

また、ゼレンスキー大統領は6日に行われた岸田総理大臣との電話会談について、「非常に重要な会談だった。日本はG7の議長国として共通する安全保障のためにさらに多くのことをともに行っていけると確信している。実際に、協力のための優先事項について合意に至った」と述べ、会談で成果があったと強調しました。

米国防総省 ウクライナに約4000億円相当の軍事支援

アメリカ国防総省は6日、ウクライナに対し、新たにおよそ30億ドル、日本円にしておよそ4000億円相当の軍事支援を行うと発表しました。

具体的には、機動力と火力を兼ね備えた装甲車「M2ブラッドレー歩兵戦闘車」50両や、兵員を輸送するための装甲車100両、それに射程が長く、精密な攻撃が可能だとされる高機動ロケット砲システム=ハイマースの追加の弾薬などを供与するとしています。

アメリカ国防総省のクーパー国防次官補代理は記者会見で、「ウクライナでの戦闘は重要な局面を迎えている。ウクライナの人たちがロシアの軍事侵攻に抵抗し続けることができるようわれわれができるすべてのことをしなければならない」と述べ、同盟国や友好国に対し、ウクライナへの支援を拡大するよう呼びかけました。

国防総省によりますと、去年2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以降、アメリカのウクライナへの軍事支援は総額で242億ドル、日本円にして3兆1900億円に上るということです。

一方、クーパー次官補代理はロシア軍がプーチン大統領の命令を受けて一時的な停戦に入ったと主張していることについて、「停戦の時間帯に入ったが、ウクライナでは戦闘が起きている。プーチン大統領の発言は疑わなくてはならない」と述べ、懐疑的な見方を示しました。

ロシアの攻撃でキーウ大学の建物に被害 講義はオンラインに

国立のキーウ大学によりますと、12月31日の午後、ロシア軍によるミサイル攻撃がありました。大学のキャンパス内には幅およそ5メートル、深さ数十センチの穴があき、近くにあるフェンスがなぎ倒されていました。

また、周辺にある建物のガラス窓はほとんどが割れ、校舎や学生寮などあわせて21の建物に被害が出たということです。

当時、大学には複数の職員と寮におよそ50人の学生がいたということですが、防空警報が出て全員、避難していたため、けが人はいなかったということです。

施設の復旧には半年ほどかかるということで、大学は講義をオンラインに切り替えるなどして対応することにしています。

“ロシアの一時停戦” 36時間維持は不透明な状況

ロシアのプーチン大統領は、ロシア正教のクリスマスにあたる7日にあわせて、日本時間の8日午前6時までの36時間、停戦するよう命じ、これを受けてロシア軍は停戦に入ったとしています。

ただ、ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官などは、停戦時間帯の直前に東部ドネツク州で病院や住宅がロシア軍による砲撃を受け多くのけが人が出たとSNSに投稿したほか、停戦時間帯にも首都キーウを含むウクライナ全土に防空警報が出されました。

一方、ロシア国防省は停戦時間帯にドネツク州などでウクライナ側から攻撃を受けたなどと主張しています。

親ロシア派の指導者は、ウクライナ側に停戦違反の試みがあれば即座に対抗するとけん制していて、一方的な停戦が維持されるかは不透明な状況です。

米シンクタンク「攻撃再開へ兵士ら休ませる時間確保がねらい」

ロシア側が突然、一時停戦を表明したことについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、前線での攻撃再開に向けて兵士らを休ませる時間を確保するねらいがあると分析しています。

また、「停戦期間中も戦い続けるウクライナ軍を、和平に向けた努力をする気がないと見せる意図があるとみられる」として、ロシア側の情報工作だという見方を示しています。