ウクライナ 年明けも攻撃やまず プーチン大統領は国民向け演説

ロシアが軍事侵攻を続けるウクライナでは、年が明けた1月1日も攻撃がやむことはなく、南部ヘルソンで停電が報告されるなど住民は厳しい新年を迎えています。ロシアのプーチン大統領は国民向けの演説を軍の司令部で行い、侵攻を正当化しながら国民に継続した支持と協力を求めました。

ウクライナでは12月31日、ロシア軍による大規模な攻撃があり、首都キーウのクリチコ市長は市内で1人が死亡したほか、日本人のジャーナリスト1人を含む20人がけがをしたとSNSで明らかにしました。

攻撃は年が明けた1月1日もやむことはなく、キーウの市当局がSNSに投稿したところによりますと、未明に複数の攻撃があり、上空で撃墜したものの破片が車に落下するなどの被害が出たということです。

また南部ヘルソン州の知事は、31日に重要インフラが攻撃を受け州都ヘルソンや周辺の村で電力の供給が止まったとSNSに投稿し、住民が停電の中で新年を迎える厳しい状況を訴えました。

一方、プーチン大統領は31日、ウクライナに隣接し、前線に近い南部ロストフ州にある軍の司令部で国民向けのテレビ演説を行いました。

この中でプーチン大統領は「道徳的、歴史的正義はわれわれの側にある」と主張し、軍事侵攻を改めて正当化しました。

そして、ロシアへの制裁を強める欧米を批判しながら「愛する祖国の未来のために前進し勝利しよう」と述べ、国民に軍事侵攻への支持と協力の継続を求めました。

これについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、プーチン大統領がみずからを戦時中の有能な指導者のように演出したものだと指摘したうえで「国民に戦争とそのコストを正当化することに依然として力を注いでいる」という見方を示しました。

攻撃で被害受けたキーウのホテル 片付け作業

31日のロシア軍による攻撃で被害を受けた首都キーウにあるホテルは、建物の一部が大きくえぐられるように破壊されていて、一夜明けた1日午前、現場ではがれきを片付ける作業が行われていました。

また、このホテルから100メートルほど離れた建物でも、窓ガラスが大きく壊れるなどの被害が見られ周辺の道路には、ガラスの破片があちらこちらに散乱していました。
ホテルの近くで働く72歳の男性は「きのうは、着弾の瞬間は見ていませんが、衝撃を感じました。攻撃してきた彼らは人間ではない。私たちは、必ず勝つ」と話していました。

また、ホテルの前を通りかかった29歳の女性は「きのうは、お互いのことを思いやる大事な日なのに、ロシアは休日も祝日も気にせず攻撃してきます。こんなことはすべきではありません」と話していました。