【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(28日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる28日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア ラブロフ外相「ウクライナが屈服するまで侵攻継続」

ロシアのラブロフ外相は27日に公開された国営のタス通信のインタビューの中で、ウクライナへの軍事侵攻について「アメリカとNATO=北大西洋条約機構の戦略的な目標は、ロシアを著しく弱体化させ、戦場でロシアを打ち負かすことだ」と述べ、対立するアメリカなどに問題があるとする主張を展開しました。

そして「ウクライナ政府の非軍事化と非ナチ化や、ウクライナの4つの州とロシアの安全保障への脅威を排除するというわれわれの提案を敵国はよくわかっている。ウクライナがこれらの提案を受け入れない場合、ロシア軍が問題を解決する」と述べました。

ラブロフ外相の発言についてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は27日「ウクライナ政府がロシアの要求に屈するまで、クレムリンは戦争による軍事行動で問題を解決するとしている。ロシアに抵抗するウクライナの能力を排除し、ゼレンスキー政権の転覆を要求している」と指摘しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、これまで、和平に向けて▽ロシア軍のウクライナからの撤退や▽ウクライナの領土保全の回復など10のポイントを提言していますが、ラブロフ外相の主張は、侵攻を続けるプーチン政権の強硬姿勢を改めて示したものです。

一方、ロシアと欧米などとの対立が深まる中、ロシア国防省は12月21日から27日にかけて、東シナ海でロシアと中国の合同軍事演習が行われたと発表しました。

演習では、敵と想定した潜水艦に対する訓練などが行われたとした上で「合計10回以上の訓練が共同で行われた」として、両軍の部隊の連携を強調しています。

ロシアと中国は11月にも日本海や東シナ海などの上空で合同パトロールを行い、軍事分野での連携を深めていて、対立するアメリカなどへのけん制を繰り返しています。

ゼレンスキー大統領「来年は重要な一年に」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、27日に公開した新たな動画で「きょうも会議を行ったが、議題ははっきりしている。バフムト、クレミンナ、そしてドンバスについてだ」とウクライナ東部の激戦地を挙げました。そして「われわれは、来年に向けて防衛部隊の準備を進めており、重要な1年になる」と強調しました。

また、ゼレンスキー大統領は、復興に向けた投資をめぐって、世界最大規模のアメリカの資産運用会社「ブラックロック」のトップと意見を交わしたとしたうえで、来月,
スイスで世界の政財界のリーダーを集めて開かれる「ダボス会議」にウクライナ政府の代表が参加するという見通しを示しました。

さらに「来年を迎えるにあたって、国家目標についての共通認識を持たなければならない」と述べ、領土の解放や復興などの課題の解決に向けた見解を近く議会で明らかにする考えを示しました。

プーチン大統領 原油制裁に対抗する大統領令

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対しては、12月に入って、G7とオーストラリア、それにEU=ヨーロッパ連合が、ロシア産原油の国際的な取り引きの上限価格を1バレル=60ドルに設定するなどとした新たな制裁措置を始めました。

これに対抗して、ロシアのプーチン大統領は27日、ロシア産の原油や石油製品を、制裁を科した国に輸出することを禁止する大統領令に署名しました。

この措置は、2023年の2月1日以降に実施し、7月1日まで続けるとしていて、対立している欧米などをけん制する狙いがあるとみられます。

これに先立って、ロシアのシルアノフ財務相は記者会見で、来年の財政赤字がGDP=国内総生産の2%を上回る可能性があるとして、欧米などによる制裁が強まっている現状に警戒感を示しました。

プーチン大統領 旧ソビエト諸国や中国と連携強化の動き

プーチン大統領は、27日までの2日間、第2の都市サンクトペテルブルクで、旧ソビエト諸国でつくるCIS=独立国家共同体の非公式の首脳会議を開きました。

これに合わせて27日に行われたベラルーシのルカシェンコ大統領との会談で、プーチン大統領は「重要な課題について話すにはよい環境だ。われわれには必要な決断を下す機会が常にある」と述べ、両国関係のいっそうの強化に期待を示しました。

また、ロシア大統領府は、今週、プーチン大統領と中国の習近平国家主席との会談を調整しているとしていて、欧米などに対抗するため友好国との連携をさらに強めたい考えです。