【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(24日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が始まって24日で10か月となります。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる24日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア 人権活動家を“外国の代理人”指定

ロシア法務省は23日、人権活動家のスベトラーナ・ガンヌシキナ氏を外国のスパイを意味する「外国の代理人」に指定しました。

ガンヌシキナ氏は旧ソビエトの政治弾圧の記録などに取り組み、ことしのノーベル平和賞を受賞した人権団体「メモリアル」の創設者の1人であるとともに、移民や難民を支援する団体も設立し、活動に携わってきました。また、2012年まで人権などに関する大統領の諮問機関の委員を務めています。

すでに「メモリアル」は「外国の代理人」に指定されていて去年、最高裁判所が解散を命じる判決を言い渡していますが、今回、ガンヌシキナ氏個人も指定を受けました。

ガンヌシキナ氏は24日、発表した声明で「指定された理由はわからないが、驚きはない。力があるかぎり活動し続ける」と述べ、圧力がいっそう強まる中でも支援活動を続けていく姿勢を示しました。

ウクライナ奪還の南部ヘルソンに攻撃 7人死亡

ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官は24日に行ったSNSへの投稿で、ウクライナ軍が先月、奪還した南部の要衝ヘルソンにロシア軍の攻撃があり、少なくとも7人が死亡し、58人がけがをしたと発表しました。

ヘルソン州の検察当局も24日朝、ヘルソンの中心部で住民が多く住んでいる地域を標的にした攻撃があったと主張し捜査を始めたと発表しました。

この攻撃について、ゼレンスキー大統領はSNSに「攻撃があったのは軍の施設ではない。テロ行為だ」などと投稿し、クリスマスを迎える時期にも市民への攻撃が続いているとしてロシアを非難しました。

ゼレンスキー大統領は攻撃を受けた場所だとする写真もSNSに投稿していて、路上で複数の人が倒れている様子や炎が上がる車両などが写っています。

ロシア外務省次官「大惨事に近づく」モルドバをけん制

ロシアの駐日大使を先月まで務め、現在は旧ソビエト諸国でつくるCIS=独立国家共同体を担当するロシア外務省のガルージン次官は24日に公開された国営のロシア通信とのインタビューのなかで、ウクライナの隣国モルドバについて言及しました。

このなかでガルージン次官は「モルドバがNATO=北大西洋条約機構と軍事分野で協力を強化すればモルドバ自体の安全を損なう要因となる。逆に大惨事に近づくことになる。ウクライナの悲しい経験はモルドバからもはっきりと見えていると思う」と述べ、ウクライナ侵攻を念頭にモルドバ政府を強くけん制しました。

これに先立ち、モルドバの情報機関の高官は、地元メディアのインタビューに対し、来年の早い時期にロシア軍がモルドバに侵攻する可能性があると述べていました。

モルドバ東部の沿ドニエストル地方は一方的な分離独立を宣言してロシア軍の駐留が続いていて、モルドバのサンドゥ政権は、ウクライナに侵攻したロシア軍の動向に対して警戒を強めています。

ゼレンスキー大統領「アフリカの国々と関係の再構築」

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、外交官を集めた会議で「数十のアフリカの国々と関係の再構築を進めており、来年はこれをさらに強化しなければならない」と述べ、アフリカ諸国との関係強化を進める方針を明らかにしました。

具体的には、来年、アフリカの10か国に大使館を新たに開設し貿易事務所などの開設もあわせると30か国との関係強化に取り組むとしています。

アフリカでは、ロシアが資源開発や武器の輸出などを通じて影響力を強めてきましたがウクライナ侵攻を受けて欧米との関係が一段と悪化する中、国連加盟国の3割近くを占めるアフリカとの関係をこれまで以上に重視しています。

国連総会でロシアを非難する内容の決議案の採決では、棄権に回るアフリカの国は少なくなく、ロシアへの配慮だと受け止められています。これに対してウクライナとしては侵攻を受け続ける現状に対する理解と支持をアフリカ諸国に訴えていく考えとみられます。

ウクライナ 軍事侵攻10か月 ロシア軍 ドネツク掌握に意欲

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから24日で10か月となります。

ウクライナへ侵攻を続けるロシア軍は、ことし10月からウクライナ各地の発電所などインフラ施設を標的にしたミサイルや無人機による大規模な攻撃を繰り返しています。

また、ロシア軍は東部ドネツク州内のウクライナ側の拠点の一つ、バフムトの掌握を狙い、激しく攻撃を続けていて、ロシア軍の制服組トップ、ゲラシモフ参謀総長は22日「ドネツク州の解放を完了させることに集中している」と述べました。

ウクライナでは厳しい冬が訪れる中、停電などによる市民生活への影響が深刻化しているほか、国内外に避難した人は、避難先での年越しを余儀なくされます。

ウクライナ側 大規模攻撃に警戒

ウクライナ側は、アメリカが供与を表明した地対空ミサイルシステム「パトリオット」など、欧米側の軍事支援も受けてロシアの攻撃に対抗するとともに、領土奪還に向けた反転攻勢を続ける構えです。

また、ウクライナ側は、ロシア軍が来年2月など早い時期に首都キーウなどに対し、大規模な攻撃を仕掛けてくるのではないかと警戒を続けています。

ウクライナで少なくとも6826人の市民が死亡

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から12月18日までに、ウクライナで少なくとも6826人の市民がミサイル攻撃や砲撃などで死亡したと発表しました。

このうち428人は子どもだとしています。

地域別では、東部のドネツク州とルハンシク州で4036人、首都のあるキーウ州などそのほかの地域で2790人の死亡が確認されているということです。

また、けがをした市民は1万769人に上るとしています。

国連人権高等弁務官事務所は、激しい戦闘が続いた東部マリウポリなどでの死傷者の数についてはまだ正確に確認がとれていないとして、実際は発表された人数を大きく上回るという見方を示しています。

ウクライナ関連の支援 約6兆円 米議会下院で歳出関連法案可決

アメリカの議会下院は23日、1兆7000億ドル、日本円にしておよそ225兆円規模となる2023年度の歳出関連法案を賛成多数で可決しました。

このうち
▽国防費は過去最大となる8580億ドル、日本円にしておよそ110兆円、
▽ウクライナ関連の支援は450億ドル、およそ6兆円などとなっています。

また、中国政府への情報漏えいに対する警戒を背景に、連邦政府が所有する端末で中国企業が運営する動画共有アプリ、TikTokを利用することを禁止するとしています。

このほか、去年1月にトランプ前大統領の支持者らが議会に乱入した事件を受けて、再発防止策として、副大統領に大統領選挙の結果を覆す権限がないことを明確化するなど、法的手続きの強化も盛り込まれています。法案はすでに上院でも可決されていて、近くバイデン大統領の署名を経て成立する見通しです。

マウリポリ幹部「ロシア側ががれき撤去 住民殺害の隠蔽か」

ロシアが支配するウクライナ東部ドネツク州の港湾都市マリウポリの幹部、ペトロ・アンドリュシェンコ氏は市のシンボルだった劇場でロシア側が重機を入れてがれきの撤去作業を始めたとする動画を23日、SNSに投稿しました。

劇場では、ことし3月にロシア軍の爆撃で避難していた女性や子どもなど少なくとも300人以上が死亡した可能性があると伝えられていて、アンドリュシェンコ氏は「がれきの撤去はウクライナ人を殺害した証拠を隠すことにほかならない。ロシア側は新たな劇場をマリウポリの人たちの骨の上に建てようとしている」と強く非難しています。

ロシアのメディアは、マリウポリなどの支配地域でロシア側が港のインフラ整備を進める計画だと伝えていますが、ウクライナ側は、都市の再開発を名目に、ロシア側が住民の殺害などの戦争犯罪を覆い隠そうとしていると批判しています。

プーチン大統領 兵器工場を視察

ロシアのプーチン大統領は23日、首都モスクワの南にあるトゥーラの兵器工場を視察し、ミサイルや装甲車、防空システムなどについて、担当者から説明を受けました。

このあと、プーチン大統領は軍需産業の関係者との会合に臨み「最も重要な課題は、前線の部隊に兵器や弾薬など必要なものすべてを最短の期間で供給することだ」と述べました。

そのうえで、ウクライナへの軍事侵攻に参加している部隊の意見を参考に兵器の性能を向上させるよう求めました。

ロシア側は、ウクライナでの戦闘の長期化で兵器不足に直面しているとも指摘される中で、前線に兵器を安定的に供給させる姿勢を示すねらいもあるとみられます。