接種どうする?進んでいる? オミクロン株対応ワクチン Q&A

新型コロナのオミクロン株対応ワクチン。

接種はどうしましたか?と街の皆さんに伺うと「重症化しないよう早めに接種しました」という方もいれば「前回、副反応の発熱でつらかったので打ちたくないです」という方もいて、それぞれの考えがあるようです。

感染者の増加傾向が続く中、厚生労働省は年内に希望する人の接種を終えられるよう進めています。

ここまでの接種率はどの程度?効果や副反応の最新情報は?Q&Aでまとめました。
(12月19日時点の情報で更新しました)

Q.オミクロン対応ワクチン 接種は進んでる?

A.ことし9月から始まったオミクロン株に対応したワクチンの接種ですが、政府が12月19日に公表した最新のデータによりますと、接種を受けた人は3758万2513人で、接種率は全人口に対する29.8%となりました。
このうち65歳以上の高齢者に限って見ると、1759万8399人で接種率は49%となっています。
国は1日100万回を目標として接種を進めていますが、土曜日の接種回数は100万回を超える日があるものの、12月の平日の平均は12月19日時点で67万回ほどとなっています。

年代別の接種率は以下のとおりです。
▽100歳以上 33.79%
▽90代 42.07%
▽80代 50.49%
▽70代 51.55%
▽65~69歳 44.07%
▽60~64歳 38.84%
▽50代 38.75%
▽40代 25.32%
▽30代 18.10%
▽20代 14.66%
▽12~19歳 16.38%

70代、80代は50%を超えていますが、特に若い世代の接種率が伸び悩んでいる状況が伺えます。

Q.ワクチンの効果はどのくらいなの?

A.オミクロン株に対応したワクチンは、国内や海外で行われた分析の結果、「BA.5」に対して発症を防ぐ効果が示されています。

さらに専門家は、今後拡大が懸念される「BQ.1」系統などの新たな変異ウイルスに対しても重症化を防ぐ効果が期待できるとしています。

《「BA.5」に対する効果》

国立感染症研究所は、「BA.5」の感染が主流だったことし9月から11月にかけて医療機関を受診した人を対象にワクチンの効果を分析した結果を発表しました。

関東地方の10の医療機関で新型コロナの検査を受けた16歳以上の約4000人を対象に、検査で陽性だった人と陰性だった人のワクチンの接種歴を比べ、従来型のワクチンを2回以上接種した上でオミクロン株対応ワクチンを接種した人の発症を防ぐ効果は、71%だったということです。
また、CDC=アメリカ疾病対策センターは、オミクロン株対応ワクチンの効果を、ことし9月から11月にかけてのデータで分析しました。

その結果、従来型のワクチンを接種してから8か月以上たってオミクロン株対応ワクチンを接種した場合の発症を防ぐ効果は、以下のとおりでした。

▽18~49歳 56%
▽50~64歳 48%
▽65歳以上 43%

《「BQ.1」系統に対する効果》

今後、拡大が懸念される「BQ.1」系統など新たな変異ウイルスに対するオミクロン株対応ワクチンの効果についても報告が出始めています。

また、「メッセンジャーRNAワクチン」を製造、販売している製薬会社は、オミクロン株に対応したワクチンは「BQ.1」系統にも効果が期待できるとするデータを発表しています。
ファイザーは、55歳以上を対象に調べた結果として「BA.5」対応のワクチンを追加接種したあとでは「BQ.1.1」に対する中和抗体の値が8.7倍になった一方、従来型のワクチンを追加接種したあとでは1.8倍だったとして、オミクロン株に対応したワクチンのほうが効果が高いとしています。

モデルナも、「BA.5」対応のワクチンは「BQ.1.1」に対しても強い中和活性を示したと発表しています。

一方、ワクチンの効果が低下する可能性を示唆する研究もあります。

アメリカ・コロンビア大学などのグループが科学雑誌の「セル」に12月に発表した研究によりますと、従来型のワクチンを3回接種し、その後、オミクロン株対応のワクチンを追加で接種した場合の中和抗体の値は、「BQ.1.1」に対しては従来型のウイルスへの値と比べ41分の1になっていたということです。

グループは「感染しやすくなっている可能性はあるが、重症化を抑える可能性や後遺症のリスクを下げる可能性は、引き続き示されている」としています。

専門家 “重症化を抑える有効性のあるワクチン”

臨床ウイルス学が専門でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「抗体のレベルが下がっているからといって、新たな変異ウイルスに対してワクチンの効果がなくなるわけではない。抗体のほかに、細胞性免疫といって感染した細胞をやっつける力もワクチンの接種で押し上げられる。今後、新たな変異ウイルスが増えていく中でも、重症化を抑えるという点で有効性のあるワクチンだと思う」と話しています。

Q.副反応は?

A.12月16日、「BA.1」に対応するワクチンの副反応について従来型のワクチンと比較した分析の結果を厚生労働省の研究班が発表しました。

分析の結果から「副反応が起きる割合に大きな差はない」としています。

研究班は▽「BA.1」対応ワクチンの3回目~5回目の追加接種と▽従来型ワクチンの3回目の追加接種について、接種から1週間までに副反応が起きた割合を比較・分析しました。

結果を副反応の症状ごとにまとめました。
『全身のけん怠感』
▽従来型ワクチン
 ファイザー 69%
 モデルナ 75.6%
▽「BA.1」対応ワクチン
 ファイザー 64.6%
 モデルナ 77.8%

『頭痛』
▽従来型ワクチン
 ファイザー 55.1%
 モデルナ 64.5%
▽「BA.1」対応ワクチン
 ファイザー 43.7%
 モデルナ 60%

『37度5分以上の発熱』
▽従来型ワクチン
 ファイザー 39.7%
 モデルナ 62.9%
▽「BA.1」対応ワクチン
 ファイザー 29.1%
 モデルナ 53.3%

研究班は、「BA.1」対応ワクチンの調査対象者は従来型と比べてまだ少ないものの、現時点では副反応が起きる割合に大きな差はないとしています。

Q.接種会場・予約の空きもある?

A.各地の接種会場を取材すると、週末を中心に予約が埋まる日も増えている一方で、まだ枠に余裕がある日もあるといった状況が伺えます。

東京・千代田区にある自衛隊の大規模接種会場では、月曜から土曜までの6日間で計6000人分の予約枠を設けていて、どこに住んでいる人でも接種を受けることができます。

11月初めごろから予約が増えはじめ、週末を中心に予約が埋まる状況が続いています。

接種に訪れた横浜市に住む40代女性は「年を越す前に受けておこうと思いました。住んでいる場所の制限がないので助かりました」と話していました。

会場では12月19日の週に年内最後の予約を受け付ける予定で、会場の責任者は「月曜日の午後3時に翌週分の予約ができるようになるので早めに予約してほしい」と話していました。

また、都内4か所に設置されている東京都の大規模接種会場では、事前に予約した人と予約していない人をあわせて1日最大7800人が接種できます。

11月から接種に訪れる人が増えたため、予約枠を多めに設定する日が増えているといいます。

12月19日の時点では予約を受け付けるホームページには予約枠が50以上空いている日もまだありました。

都の担当者は「人の移動が多くなる年末年始に備え希望する人が年内に接種できるよう予約枠を調整しています。5分おきに予約状況を更新しているのでこまめにホームページを確認してほしい」と話していました。

Q.接種について街の人たちは?

A.オミクロン株対応ワクチンの接種について、東京・渋谷で聞きました。

打った人、打っていない人、それぞれの考えがあるようです。

60代の会社員男性は「感染して他人にうつして迷惑がかかってはいけないので、ワクチンは半年に1度のペースで毎回打ち、オミクロン株対応のものも接種済みです」と話していました。

29歳の会社員の男性は「ワクチンはこれまで3回接種しましたが、オミクロン株対応はまだ打っていません。副反応で39度を超える熱が数日続いて寝込んだ経験があり、同じようなことは嫌なので、できれば打ちたくありません。年末年始は実家に帰省するつもりでしたが、やめておとなしく自宅で過ごそうかと考えています」と話していました。

18歳の会社員の女性は「ワクチンはこれまで3回打っていますが、それでも最近コロナにかかってしまい、継続して打たないとだめかなと思うようになりました。忙しくてなかなか時間がとれませんが、オミクロン株対応も接種したいです」と話していました。

一方、一緒にいた18歳の女性は「ワクチンは一度も接種したことがありません。父からワクチンの副反応が出た話を聞いて、仕事を休みたくないので今後も打たないと思います」と話していました。

Q.国の接種計画・体制は?

A.オミクロン株対応のワクチンについて、厚生労働省は希望する人が年内に接種を終えられるよう体制の整備を進めています。

ことし9月20日から「BA.1」対応のファイザーとモデルナのワクチンの接種が始まっています。

このあと「BA.5」対応のファイザーとモデルナのワクチンの接種も始まり、接種の対象はいずれも12歳以上からとなっています。

当初は「少なくとも5か月」と定められていた前回の接種からの間隔は「少なくとも3か月」に短縮され、9月までに従来型のワクチンを接種したすべての人が希望すれば年内に打てることになりました。

厚生労働省は対象となる人の数を約1億人と想定し、1億209万人分のワクチンを自治体に配送することにしていて12月19日の週のうちに対象者の接種に必要な量が届く見通しです。

また、大学や企業で接種できる「職域接種」も行われていて、12月14日までに951の会場から申し込みがあったということです。

厚生労働省は全国の自治体に対して、予約状況を踏まえて接種枠を拡大するよう求めるほか、若い世代が接種できるよう夜間・休日の接種や副反応で体調を崩した場合に活用できる休暇制度の周知を進めることにしています。

Q.専門家は?

A.厚生労働省の専門家で作る分科会の委員で、感染症とワクチンに詳しい川崎医科大学の中野貴司教授に聞きました。

中野教授は現在の接種率について「全体の接種率が低いのは事実で、これまでの接種で発熱や頭痛などの副反応が出たことで4回目、5回目の接種をためらう人もいる」と指摘しています。

一方で、ワクチンには重症化予防効果とともに発症や感染を予防する効果もあるとして「年末年始は移動も増えて人との接触が増える時期なので、特に前回の接種からの期間が長くたっている人や接種回数が不十分な人は接種を検討してほしい」と話していました。

そのうえで「接種後に体調が悪くなるケースもあるのが事実で、接種するかどうか判断する際にはかかりつけ医などに相談してほしい」としています。

Q.一方で、従来型ワクチンの接種はもうすぐ終わるの?

A.厚生労働省は今のところ、来年3月までで従来型ワクチンの無料の接種を終える予定だとしています。

オミクロン株に対応したワクチンの接種は従来型のワクチンを少なくとも2回接種した人たちが対象ですが、その従来型ワクチンの供給は年内で終わる予定です。

厚生労働省は自治体に対して希望する人は年内に接種を済ませるよう呼びかけるよう求めています。
東京・江東区では12月17日、従来型ワクチン接種の60人分の予約枠に対して12歳から90代までの59人が訪れて接種を受けていました。

ことし10月にかけては従来型ワクチンの1回目と2回目の接種希望者は減っていたものの11月からは増えていて、予約枠もほぼ満員だということで12月20日からは4日間予約枠を広げて対応することにしたということです。

区によりますと、コロナに感染したため接種を先延ばしにした人や、新たに接種対象の12歳を迎えた子どもなどが接種に訪れているということです。

接種した12歳の男の子の母親は「1回目と2回目のワクチンがもう打てなくなると聞き、打ちに来ました。有料化になったら困るので今打ててよかった」と話していました。

従来型のワクチンはおととし2月から接種が始まりましたが、ことし11月以降、再び接種が増えていて、12月19日時点で1回目と2回目接種で11月15日までの1か月間が平均で1日4000回ほどだったのに対し、12月15日までの1か月間では平均で1日7400回ほどになっているということです。

国は年内に自治体に供給した従来型ワクチンの無料での接種を来年3月までは行うことにしています。