ヤフー LINE PayPay 新サービス開始へ ポイント競争激化

ヤフーやLINE、PayPayの3社は、来年3月から飲料や日用品メーカーなどと提携し、新たなサービスを始めると発表しました。提携先の特定の商品を買うと買い物などに使えるポイントと交換できる仕組みで、「ポイント経済圏」作りで競争が激しくなる中、自社サービスの拡大を図るねらいです。

新たなサービスでは、飲料や日用品などのメーカーや小売店などと連携し、購買履歴などのデータを一元化します。
利用者が店舗やヤフーショッピングなどで提携先の特定の商品をPayPayで購入すると、金額に応じて「マイレージ」がたまり、買い物に使用できるPayPayポイントに交換できる仕組みです。
利用者はサービスを使うたびにポイントに交換できるマイレージが加算され、提携する企業も自社商品の購入履歴などのデータを得られることで、販売戦略に活用できるとしています。
サービスは来年3月から始める予定で、当初は飲料メーカーやドラッグストアなどの小売店が参加するということです。
ヤフーの小澤隆生社長は「ユーザーにとって一番使いやすく、便利でお得という存在を目指している。ユーザーの利用頻度を高めていきたい」と述べました。

ポイントサービスでは、カルチュア・コンビニエンス・クラブの「Tポイント」と三井住友フィナンシャルグループの「Vポイント」が統合協議を進めるなど、利用者の獲得に向けて各社の競争が激化しています。

「ポイント経済圏」囲い込み競争激化

買い物やサービスなどを利用するたびにポイントがたまり、現金の代わりに使うことができるポイントサービス。

スマートフォンの決済サービスの利用拡大もあって生活のさまざまな場面でポイントを使えるようになるいわゆる「ポイント経済圏」の囲い込み競争が激しさを増しています。

矢野経済研究所によりますと、2021年度には、ポイントサービスの市場規模は2兆1001億円と推計されています。
※出典 矢野経済研究所「ポイントサービス市場に関する調査(2022年)」
各社とも顧客基盤の拡大を図っていて、
▼コンビニ大手ローソンの「Pontaポイント」と共通ポイント化したKDDIの「auペイ」はのべ1億人以上。
▼「楽天ポイント」がのべ1億人以上。
▼NTTドコモの「dポイント」の会員数はのべ9000万人余り。
▼一方で「PayPay」の利用者はおよそ5300万人となっています。
▼またカルチュア・コンビニエンス・クラブが手がける「Tポイント」と、三井住友フィナンシャルグループのカード会社などが運営する「Vポイント」の2つが統合を目指すことで基本合意していて、のべ1億2000万人の会員規模となる見込みです。

各社は加盟店に対して手数料を無料にするなどして自社のサービスの導入拡大を図るとともに、利用者に対してはポイント還元などのキャンペーンで利用者の獲得競争を繰り広げてきました。

ただ利用者も加盟店も複数のサービスを並行して利用するケースが多くなっているため、ポイントの事業者にとってはサービス拡充や利便性の向上によって、いかに選ばれる存在になるかが重要になってきています。

ポイントサービス 1990年から2000年代にかけて広がる

日本では1990年に大手家電量販店が販売の促進や顧客の囲い込みのためにポイントサービスを導入したことなどをきっかけに広がっていきました。

スーパーやデパート、ドラッグストアなど多くの小売業者がサービスを開始し、財布に入りきらないほどのポイントカードを持つ人もめずらしくありませんでした。

各社が運営するそれぞれのポイントサービスに対して、複数の企業で利用できる「共通ポイントカード」として注目されたのが、TSUTAYAの運営会社が2003年にスタートさせた「Tポイント」です。

ポイントをまとめられることが支持され、ガソリンスタンドやコンビニエンスストア、飲食店などで加盟店を増やしていきます。

2007年には流通大手が手がけるWAONやnanacoがサービスを開始し、利用者のすそ野が広がります。

その後、NTTドコモなど携帯電話会社がスマートフォン決済の事業を開始して、共通ポイントサービスに乗り出し、現在は主に5つの陣営が利用者の獲得でしのぎを削っています。

各社のキャンペーンなどで利用者や加盟店が拡大するとともに、顧客の購買履歴などのデータの集積も進んでいて、こうしたデータを販売戦略や広告に活用する動きも広がっています。

ポイント利用者は

東京 品川区の戸越銀座商店街では、各社のポイントサービスに対応している店舗が多く見られました。

店先には対応する決済サービスを示すステッカーや案内板が所狭しとあって、買い物客からは、ポイントのお得感や利便性などを考えて各社のサービスを利用し、ポイントをためているという声が聞かれました。

60代の女性は「なるべく現金を使わずに非接触で済むようにスマホ決済を使っています。あまり多くても分からなくなるので1つだけ使っています」と話していました。

20代の女性は「ポイントがたまると得するので、スマホ決済を利用しています。友人と割り勘する時に簡単に送金できるのも便利でよく使っています」と話していました。
別の20代の女性は「登録だけしてほとんど使っていないものもあり、管理が面倒に感じることもあります」と話していました。