【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる12日(日本時間)の動きをお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

G7議長国のドイツ政府 G7首脳会合開催 ゼレンスキー大統領も

ドイツ政府の報道官は、12日の記者会見で会合はドイツの現地時間12日午後4時、日本時間の13日午前0時から開かれ、ウクライナのゼレンスキー大統領も一部、オンラインで参加すると明らかにしました。

会合では、ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナへの支援の継続などについて話し合うということです。そして、会合のあとショルツ首相が現地時間の午後5時半、日本時間13日の午前1時半から記者会見をして内容を説明する予定だということです。

ルハンシク州知事「反撃やめれば時間与える」 冬も領土奪還強調

激しい戦闘が続いているウクライナ東部ルハンシク州のハイダイ知事は10日、NHKのインタビューに対し、ルハンシク州の西側で一部の集落が跡形もなくなるほどの激しい戦闘が行われたと明らかにした一方で「これまでに13の集落を解放した」と述べ、ロシア側がことし7月に全域の掌握を宣言したルハンシク州でも一部を奪還していると主張しました。

また、厳しい寒さが続く中でのウクライナ軍の戦い方に関して、ハイダイ知事は「われわれが反撃をやめればロシア側に防御を固める時間を与えてしまうため、攻勢を弱めることはない」と述べました。

そして「冬の寒さは厳しく大変だが、兵士は防寒着や暖房器具を備えており、士気は高い。冬に土が凍ると戦車などが走行しやすくなり、戦いを継続できる」と述べました。

さらにハイダイ知事は、パルチザン組織が鉄道の線路を破壊してロシア軍の補給活動を妨害するなど市民たちによる抵抗運動がウクライナ軍の作戦を支援していると明らかにし、冬の間も反撃の勢いを維持して領土を奪還し続けていくと強調しました。

ロシア「解放されるべき領土 ある」依然 東部4州支配がねらいか

ウクライナ軍が先月南部の要衝ヘルソンを奪還するなど、各地で反転攻勢を続ける中、ロシア大統領府のペスコフ報道官は今月8日「新しい地域では解放されるべき領土がまだ残っている」と述べました。

戦況を分析しているイギリス国防省は12日、この発言について「戦争におけるロシアの最低限の政治的な目標が変わっていないことを示唆している」と指摘し、プーチン政権が一方的に併合したと主張するウクライナ東部ドンバス地域など4つの州全域の支配を依然としてねらっているという見方を示しました。

その一方で「軍の地上部隊が今後数か月以内に作戦上重要な前進をすることはないだろう」として、現状ではその目的を達成する可能性は低いと分析しています。

東部ドネツク州 学校がロシア軍の砲撃で破壊

ウクライナ東部では連日激しい戦闘が続いていて、ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官は12日、ドネツク州のウクライナ側の拠点のひとつ、バフムト近郊にある学校がロシア軍の砲撃で破壊されたとSNSに投稿しました。

ゼレンスキー大統領 支援めぐり米仏大統領と電話会談

ウクライナではロシア軍による発電所などを標的にした大規模な攻撃で深刻な電力不足が続いています。

ゼレンスキー大統領は11日、アメリカのバイデン大統領と電話で会談し、ホワイトハウスによりますと、バイデン大統領はロシアの攻撃に対抗するための防空能力の強化に向けた支援に優先的に取り組んでいることや安定した電力供給のための支援を進めていることを強調したということです。

ゼレンスキー大統領は同じ日、フランスのマクロン大統領とも電話会談を行い、エネルギー問題などについて意見を交わしたということで、深刻な電力不足が続くなか、国際社会のさらなる支援を要請したものと見られます。

ゼレンスキー大統領「南部の電力供給は部分的に回復」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、11日に公開した動画で、ロシア軍の無人機による攻撃で大規模な停電が発生した南部・オデーサ州について「電力供給を回復させるために全力をあげて復旧作業に取り組んでいて、その結果、部分的に回復することができた」と述べました。

一方で、オデーサ州は依然としてウクライナの中で最も規模の大きい停電が発生している地域のひとつだということで「もっと電力を供給できるよう関係者で協力し状況の改善に努めている」と述べ、復旧を急ぐ姿勢を強調しました。

ウクライナ軍 ヘルソン奪還から1か月

ウクライナ軍が南部の要衝、ヘルソンをロシア軍から奪還して、11日で1か月です。ヘルソンを含むウクライナ南部では今も激しい戦闘が続いているほか大規模な停電によって市民生活への深刻な影響が出ています。

ヘルソン州の知事によりますと、州都ヘルソンでは、ウクライナ軍の奪還後、破壊された暖房施設の修復や携帯電話の基地局の設置など復旧作業が進められていて、電力も需要の90%まで供給できるようになったとしています。
一方、ロシア軍はドニプロ川の東側地域からヘルソンを含む西側の地域を連日のように砲撃していて、10日も住宅地などへ45回の砲撃があり、2人が死亡、5人がけがをしたとしています。

また、ウクライナ側によりますと同じ南部のオデーサ州ではイラン製の無人機を使ったロシア軍の攻撃で一時、州内の150万人以上に影響する大規模な停電が発生したとしています。アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は先月、ロシア軍がドニプロ川の東岸地域で大規模な防衛陣地を築いていると指摘していて、川をはさむ形での激しい戦闘が今後も続くことになりそうです。

ヘルソンの住民「いまは自由を感じている」

ヘルソンの住民、アンドリーさんが9日、NHKのオンラインでのインタビューに応じました。ウクライナ軍による奪還後の様子について、アンドリーさんは「占領されているとき私たちは恐怖のなかで生きていた。いまは自由を感じている」と述べ、ロシア軍の支配から解放された喜びを表していました。

また、生活面ではロシア軍によるインフラ攻撃でたびたび停電が起きているものの海外の支援団体などによって電気や水については最低限の供給が受けられているということです。

今後についてアンドリーさんは「ここは私のふるさとであり、望むことはロシアがヘルソン州から出ていくことだ」と述べ、今後もヘルソンにとどまる意志を示していました。

キーウに避難の元軍人「最後の厳しい冬に」

一方、ヘルソン奪還の際にウクライナ軍に協力し、現在は首都キーウに避難しているマクシムさんが当時の状況を証言しました。

元軍人のマクシムさんはことし3月、ロシア軍に拘束された後、解放され、その後はヘルソンでロシア軍の兵士や車両の位置などあらゆる情報を集めウクライナ軍に伝えていたと明らかにしました。

マクシムさんは「この冬はウクライナの歴史にとって最後の厳しい冬となるだろう」と述べ、今後も軍への協力を続ける考えを示しました。