サッカーW杯 西野前監督 クロアチア戦へ期待 【QAで詳しく】

サッカーのワールドカップ カタール大会に臨んでいる日本が、初のベスト8入りをかけてクロアチアと戦う決勝トーナメント1回戦について、前の代表監督、西野朗さんに聞きました。

Q.試合の展望は?

A.今のチーム状況は抽象的ですけどいいムードで、目標としていたベスト8というところをしっかりフォーカスできている。

勝ち上がり方がですね、ドイツ、スペインへの逆転勝ちというところとか、内容的にはいろいろありますけれど、結果をしっかり出せた中で、ベスト16を迎えられる。

クロアチアという相手よりも、自分たちの今置かれているチーム状態にかなりの手応えを感じていると思いますし、確かにクロアチアに対してはしっかりリスペクトした戦いをしなければいけないとは思いますけども、今のチーム状態は、けが人もかなり回復して復帰していますし、しっかりとしたゲーム、決して勝ちきれない相手ではないと見ていますのでいいゲームをやってくれると思っています。

Q.クロアチアはどういうチーム?

A.あまり強いインパクトを与えていないと思うんですね、日本のサッカー界に。

それでも毎回いい戦いをし、少し地味だけども、地力がしっかりあって組織的に戦ってコンスタントに成績を出しているチームだなとは思いますし、前回大会はフランスが優勝したという強いイメージがありますけど、ファイナルで戦っているのはクロアチアで、その印象は薄いんですけど、実力はしっかりありました。
4年たった今回もですね、真ん中にユーロがあり、そこでベスト16でスペインに敗退したというところを受けて、国内のサッカーに対する意識というものを、世代交代がはっきりいま現れているわけではないですけど、キャリアを積んだ選手たちと若手が台頭して、強化・育成というものもしっかり融合できて今大会に臨んでいる。

非常に安定感のある、組織力のある、ベースにはしっかりとした技術力が高い、そういうオーソドックスなチームだと思いますけど、ドイツ、スペインと同等のレベルにあると思うので、インパクトは薄いチームに見えますけど、決して侮れない強豪チームだと思っていますね。

Q.決勝トーナメントの1次リーグとの戦いの違いは?

A.はっきりノックダウン方式に入っていく戦いですので、両チームもはっきり勝敗を決めた中で、ラウンドが上がっていく試合になっていきますし、いろんな駆け引きがお互いの中にあると思います。

きっ抗したゲームも想定されますし、日本がいま自信を持っているいろんなゲームへの対応力ですよね。

ベンチワークの采配とか選手起用とかというものに対して選手がしっかりとプレーでその戦略にあったパフォーマンスをやってですね、ゲームの流れを変えたり、決定的な仕事ができる選手を途中起用して、今、戦略と選手のパフォーマンスが合致した非常に積み上げてきたチーム力というものを発揮できているので、おそらくドイツ、スペインに対して戦えてきた戦略、戦術的なところをベースに、クロアチアに対しても対応してくるんじゃないかと思います。

Q.次の試合の采配のポイントは?

A.ある程度、クロアチアに対してもボールを保持される時間帯は増える可能性あります。

ただ、逆にボールを保持させるという中での戦略というものを考えられると思うんですね。
今、チームに、フォーバックからスリーバック、時にファイブバック的な形でシステムを今大会変えて、大会仕様に秘めてとっておいた戦略なのかもしれないですけど、それに手応えをかなり感じて戦っていますし、それをベースにですね、しっかりとしたディフェンス力からスピーディーな展開というものにシフトチェンジしているような感じがします。

従来であればフォーバックでハイプレスをかけてショートカウンターという形、それがなかなかドイツ、スペインには通用しなかったというところの中で、相手のキーマンをしっかりじゃあターゲットに抑えていこうという、そういうディフェンスに切り替えて、キーマンに対するディフェンスからスピーディーに入っていく、そこができているので、クロアチアに対してもですね。
中盤、不動の中盤で形成されてますし、かなり構成力があるミッドフィルダー、モドリッチ中心にコバチッチあたりのそういう中盤でのアタックアンドディフェンスで主導権をどうとって、誰をターゲットにディフェンスを入っていくかというところ、そこをベースにして、前線のドリブル突破でいい状態をつくっていくとか、スピーディーに相手の背後をねらっていくとかというところの、守備から攻撃に切り替える、そういう中で勝機を見いだせる。

十分、ベースは多少、全体が自エンドに落ちながら、エリアを作りながら連続してディフェンスに入っていったうえでボールを奪取して攻撃に入る。

いまそれがいちばん効果的に変化によって相手を崩しているので、その戦略的なところはグループステージ突破したあの戦い方と同じ形で入っていくのではないかと思います。

Q.攻守の中心のモドリッチ抑えるためには?

A.すべてが彼にボールが集まっているわけではないですし、ブロゾビッチとか、アンカー的、中盤の底にいる選手からもかなりボールの配球がありますし、中盤の3人に対する圧力というもの、モドリッチだけではないと思うんですよね。
彼がゾーン的に低いところでプレーする分にはあまり怖くはないんですけど、日本陣内に入って彼が前線の選手たちと絡んでくるような、そういう高い位置のポジションで彼がプレーし出すと、ラストパスを始めてきだすと、それが多用されるとかなり厳しい状況を作られる。

早い段階でその前の、モドリッチの前のパスの出どころですね、スペイン戦で前線がハイプレスをかけるよりも、中盤のブスケツあたりに圧力をかけて出どころを抑えていく、そのディフェンスのポイントというのをはっきり流れの中で対応していけば、すべてがモドリッチにボールがあってそこから起点になってというわけではないので、そういう対応力というか、日本選手たちのねらい所とか、全体で共有したプレーというのはしっかりできると思うので、まずは全体を中盤でコンパクトにして、連続してディフェンスをしていく、で、中心になるボールの出どころに対するプレッシャーというのを、前線の選手から中盤の選手入る。
そういう選手たちでブロックを作って、連続連動してディフェンスしていくことはできると思うので、きっ抗したゲームが入っていけば、後半またシフトチェンジしたりメンバーチェンジの中で、変化の中で崩していける、そういう展開に持ち込めればと思います。

Q.攻撃面の活路は スペイン戦やドイツ戦とどう変える?

A.今の選手のコンディションにもよります。

見かけはなんとなくみんないい状態に見えますけど、相当疲弊はしていると思います。

前回大会も非常にいい形でグループステージ突破して、さあこれから、この1試合というときに、かなり選手ですね、気持ちの面では非常に高揚していますし、いいように見えますけど、相当1次リーグでダメージを負っていると思うので、まずコンディションが、選手個々の、気になるところですし、ステージを通過するにあたってやっぱり攻撃陣の、通用している部分と、まだまだワールドカップのプレーに順応できていない選手もいると思うんですよね。

やはり感覚的なもので、自分の特徴をしっかり発揮できている選手、そして、ラッキーボーイ的に決定力を発揮できている選手がいます。
そういう選手たちを見極めたうえでのスタートになると思うんですけど、今の流れですと、変化というものが日本の強みでもあるので、後半から入ってきて、今は三笘ですとか堂安がやはりチャンスメーク、決定力という部分で変化をもたらせる選手なので、そのパターン的、勝利の方程式ではないですけど、今、通用している部分というのは、相手に対して変化で崩せている選手を、後半投入とか途中交代で、相手が非常に対応しづらい選手だと思うので、有効に、5人交代枠ということも、非常に効果的にいまプランとして戦略的なところにしっかりバックアップの選手が応えている状況があるので、ベースとするのはそう大きくは変えないでというところが考えられると思います。

Q.重要になりそうなのは名前があがった堂安や三笘?

A.いま非常にインパクトがあるというか、世界のトップでも通用できている、試合にしっかり流れ、結果をもたらせている選手なので、浅野とか前田のスピードも、こういう試合には生きてくると思うし、なかなか最終ライン、相手のディフェンスラインの背後に飛び出していける、そういう状況とうのはなかなか作り切れていないんですね。

ドイツ戦で浅野がありましたけど、流れの中で相手の嫌なエリアへどんどん入って、そういうスピードを生かした展開というのも、こういう一発勝負の中では必要なことなので、彼らにも期待したいと思います。

Q.板倉が次の試合出場停止 スリーバックかフォーバックか?

A.こうしてみると、代表チームの伝統的にフォーバックで入ってきたわけなんですけど、森保監督はかねてからスリーバックでずっと彼は成功してきているし、そのプラン、戦略的なところは強く持っていましたし、4年間かけてどこかでスリーバック、時にファイブバック的な形の中で戦いも何度もやってきているわけなんです。
ただ非常に基本的にフォーバックでやってきた、でもなかなかそれが機能しないというものをドイツ戦の前半に感じてですね、思い切ってスリーバック、リスクはありましたけど使用した、これも自信のある形で選手がそれにしっかり応えている、そういう対応力も日本チームに感じるんですけど、本来はそういう理想の、自分のチーム作りの形というのがスリーバック、ファイブバック的な形は森保監督にはあったので、それにうまくいま合致して選手たちも機能していますし、おそらくスリーバックで入っていくのではと思います。

板倉の出場停止は非常に大きいですけども、バックアップの選手、冨安も復帰の可能性があるので、どうでしょう。

Q.ハイプレスとビルドアップは次の試合でどう見せるか?

A.よく使い分けているなとは思います。

ハイプレスでいける状況の時にはいっているんですよ、かなり前線のファーストディフェンダー入ってからセカンドライン、最終ラインと連動して、ハイプレスをかけている瞬間もありますし、ただやはりドイツ、スペインあたりではなかなかそれが敵エンドでボール奪取ところまではいけてないですよね。

アジアでは通用してましたけど、ワールドカップではなかなか通用しないという中で、それから切り替えて相手のターゲットに、ボランチあたりのパスの出どころに対して、前線と中盤で連携してディフェンスに入っていくことに切り替えたり、ハイプレスと、中盤をコンパクトにして相手のキーマンを抑えていく、そこを使い分けてディフェンスをしているので、それは今の形でいいと思います。
だいたい、6割7割くらいは、強豪国にはやっぱりボールは保持されるんですけど、全員が連続して1つ2つ3つあたりまで、アプローチをしかけて次のラインと連携をして、何とか低いですけど奪えている。

そういう状況がクロアチアに対しても強いられる時間帯があると思うので、それでも今の使い分けの中の、全体をコンパクトにして対応していくことを継続していけば、ハイプレスに関して、プレスに関してはいいと思います。

全体でボールのつかみどころを共有しないと、やはりクロアチアのビルドアップとか、どうしても対応しきれないところがあると思います。

日本のビルドアップに関しては、決してロングフィードで展開するというよりは、キーパーから最終ライン、しっかり自信を持ってボールをつなぐというところも森保監督のチームスタイルでもあるので、そこは決してぶれずに自信を持ってやっているところだと思いますし、そうイージーなミスで相手に奪われているというシーンは見ていないので、継続して自信を持ってロングフィード多用ということではなくて、しっかり自分たちで保持して組み立てていく、それができればいいなと思います。

Q.勝てば初のベスト8 どういった意味のある試合になる?

A.そうですね、過去3度、この景色は見てきていますし、今回の戦い方で16に上がれた。
ドイツ・スペインと勝負したということで、これもまた新しい景色を見た感じがしますけれど、日本サッカー界とすれば悲願に、目標にしてきたベスト8というところがしっかりとフォーカスできている。

今までの3大会とは違って、かなり余力があるように僕は感じて、まだまだ日本の力というものが出せる、引き出せる、クロアチアに対して自信持って入れる状況が今あると思うので、選手本当に自信にみなぎっていると思うので、それが結束して力になって入っていければベスト8は必ず、また違った景色を見せてくれるんではないかと期待しています。

Q.個人的に期待する選手は?

A.この選手というわけではないですよね、チームに対して期待するだけで、今この当面の直近の相手に対してチームプランと、いろんな采配とか選手起用とかそれに選手たちがスタートメンバーもそうですけど、バックアップの選手たちの準備が非常にいいのに驚いていますし、これだけ充実してチームの目標を達成するためにチーム全体が一丸となっているこの様というのが、歴史的なこともあると思います。

何度もここまで来て、ここを突破できないということ、経験していますし、それをしっかり踏んで戦っている、で、間違いなく今回ははっきりとベスト8っていうのが見えている状態だと思うので、しっかり足元見てですね、自信もって入ってもらえれば必ず本当に新しい違う世界が見えてくると思います。

Q.スリーバックについて なぜ今大会で使った?

A.試しているというわけではないと思うんです。

時々会って話すとそういうこともスリーバックももちろん準備しているし、あとフリーキックもなかなか取れないねという話をしても、いや実は、たくさん練習してるんですよ、本大会でというようなことも監督は言っていましたので、試す時が今来たのかなというところで、あたためていたとしか僕には思えないんですけど、自信持ってやっていると思います。
なんかばくち的な形で、何か変化をもたらすために起用してるるわけでもないと思いますし、しっかり準備したうえでやっていることだと思いますし、これからフリーキックだとか、また違う今まで見たこともないことも披露してくれるかもという期待もありますし、いろいろワールドカップ仕様というものがチームにあるのかもしれないです。

Q.スリーバックのメリットは フォーバックとどう違う?

A.システム的な問題ではなくてやっぱり選手のスタイルとか能力的なところだと思います。

後ろ3枚で必然的に68メートルを3人でカバーしなきゃいけないとかっていうことになりますし、1対1に対人に強いとかスペースに強いとかっていうことになると思います。
そういう能力を持った選手がいれば、スリーバック、ライン的にボールに対して強いディフェンス能力のある選手だったらラインをコントロールしてフォーバック的で対応できる、ボールに強いディフェンダーのタイプか人に強いディフェンダーのタイプかっていうところの選手がいるかいないかっていうところにもなりますし、最終的にやはりスリーバックといえどもほとんどファイブバック的な感じでシステムを組まざるを得なくなる状況であればスリーバックというよりはファイブバックといったほうがいいと思いますし、逆に両サイドしっかり攻撃的なポジションに上げながら有効にサイドを攻略していく、そういうシステムにシフトチェンジできればスリーバックも有効だと思いますし、選手の能力、スタイル、によって形成されるシステムだと思います。

Q.スリーバックが攻撃のスイッチに 後ろ3人が大きいのか?

A.それが理想ですね。

しっかりスリーバックで、68メートルをカバーしつつ、両サイドの選手が有効に前線の選手と連携して相手のアタッキングサイドに入る機会が増えていく形ができれば有効なシステムだとは思いますね。