中国 「ゼロコロナ」抗議活動広がり 感染対策大幅緩和の動きも

中国で「ゼロコロナ」政策に対する大規模な抗議活動が体制への批判にも発展する中、地方政府の中には厳しい感染対策を大幅に緩和する動きも出ていて、中国政府として国民の不満がこれ以上広がらないよう対応に乗り出した形です。

「ゼロコロナ」政策に対する大規模な抗議活動は首都・北京や上海、それに南部の広東省・広州など各地に広がり、ところによっては共産党や習近平国家主席への批判にも発展しました。

また、感染対策で封鎖された地区の中には封鎖の解除を求める住民と警察との衝突に発展したところも出るなど、国民の不満が高まっていました。

こうした中、衝突が断続的に起きていた広州では、感染者が確認された周辺の広い地域を対象としていた封鎖の範囲について、感染者が確認された建物に限るなどとした感染対策の大幅な緩和を、30日に地元政府が発表しました。

これを受けて、封鎖が1か月以上続いていた地区では食料の買い出しに向かう住民や出身地に帰る出稼ぎ労働者の姿が見られました。

中には「ここから一刻も早く離れたい」とか「自由に食事もできず、本当に苦しかった」といった声も聞かれました。

中国政府は国内の一部の地域で過剰な感染対策が行われていることを認めていて、国民の不満がこれ以上広がらないよう対応に乗り出した形です。

東京でも「ゼロコロナ」に抗議活動

中国各地で「ゼロコロナ」政策に対する大規模な抗議活動が起きる中、30日夜、東京・新宿でも日本に住む中国人などが当局の対応を批判する抗議活動を行いました。

抗議活動はJR新宿駅周辺で行われ、参加者らは「習近平は退陣せよ。共産党は退陣せよ」などと中国語や日本語で抗議の声をあげていました。

また参加者の中には「封鎖はいらない。必要なのは自由だ」などと書かれた紙や「ゼロコロナ」政策に抗議の意思を示す白い紙を掲げる人もみられました。

2時間ほど行われた抗議活動には数百人以上が集まったとみられ、身元を特定されないよう帽子やマスクなどで顔を隠している参加者もみられました。

抗議活動を呼びかけた20代の男性は「今後もこうした活動を続け、『ゼロコロナ』政策の問題点を広く訴えていきたい」と話していました。

抗議活動はアメリカなど世界各地でも

中国の「ゼロコロナ」政策に対する抗議活動はアメリカ・ニューヨークにある中国総領事館前でも29日、行われました。

抗議活動にはおよそ400人が集まり「中国に自由を」とか「『ゼロコロナ』政策を終わらせろ」と書かれた看板を掲げ、「人権を守れ」などと声を上げていました。

参加した男性は「中国政府のコロナ政策や、それに抗議する人たちへの対応など、今の政府への不満を示すことが大切だと思って来ました。『ゼロコロナ』政策は政治的な意図によるもので適切だとは思いません」と話していました。

抗議活動はカナダのトロントでも29日に行われたほか、これまでにオーストラリアのシドニーやイギリスのロンドンなど世界各地で行われています。