米 ニューヨーク市 重度の精神疾患ホームレスを強制入院の方針

アメリカ ニューヨーク市は、数が増えているホームレスの人のうち、重度の精神疾患のある人を強制的に入院させる権限を警察などに与える方針を発表しました。
必要な治療を受けられるようにすることは道義的な義務だとしていますが、人権団体からは、問題の解決にはならないとして、反発の声が相次いでいます。

ニューヨーク市では、コロナ禍などの影響でホームレスの人たちの数が6万人に上っていて、中には犯罪につながるケースもあり、早急な対応が求められています。

こうした中、ニューヨークのアダムズ市長は29日、記者会見を開き、警察官や救急関係者などに重度の精神疾患のあるホームレスの人を強制的に入院させる権限を与える方針を発表しました。

アダムズ市長は「精神疾患のあるホームレスの人は介入や支援が必要なことに気付いていない。介入がなければ社会から孤立してしまう。必要な治療を受けられるようにすることは道義的な義務だ」と説明しています。

これについて、人権団体からは反発の声が相次いでいて、ACLU=アメリカ自由人権協会は、「人々を強制的に治療に連れて行くことは長期的な治療につながらず、誤った方針だ。問題を市民の目から見えなくすることは、政治家にとっては都合のよいことかもしれないが問題の解決にはならない」という声明を発表するなど波紋が広がっています。