【動画】マリウポリから届いたSOS 孤児がロシアに強制連行か

「このままでは市民の命が危ない」。
私たちのもとに届いたSOSのメッセージです。
発信元はウクライナ東部のマリウポリ。
ロシアによる占領が長引き、その実態が見えづらくなっているいま、いったい何が起きているのか。現地からの報告です。

(動画は7分1秒です。データ放送ではご覧になれません)。

映像を送ってきた男性が訪れたのは、一人暮らしの高齢者。気温は5度以下。80代の女性は一枚の布団で寒さをしのいでいました。インフラが破壊されたままのため市内ではたびたび停電が発生。この夜も暖房が一切使えない状態でした。

ロシア軍との間で激しい戦闘が行われたマリウポリ。侵攻前に40万だった人口は5月の陥落以降、12万に。高齢者など多くの生活弱者が取り残されました。
ロシア政府は占領地で手厚い生活支援を行っていると発表していますが、多くの市民が支援を受けられない事態になっているといいます。

またロシア側は公的な生活支援を受けるためには身分を証明するID提示を求めています。
男性が見回りに訪れている先ほどの80代の女性は「すべての身分証明書は燃えてしまった」と男性に伝えました。

たとえIDがあったとしても、提示できずにいる市民も少なくないといいます。身内にウクライナ兵がいると知られることや、パスポートを取り上げられることを恐れているからです。
特に深刻なのは、医療の崩壊です。避難生活を送る人たちの多くが高齢で、疾患を抱えています。

ウクライナ側に避難しているマリウポリ市議会は11月14日、「市内で毎週150人が亡くなっている。戦前に比べて死亡率が5倍に急増している」と公表しました。
男性の自宅近くにあり、爆撃を受けた孤児院です。ここには多くの孤児が暮らしていましたが、その行方が分からなくなったといいます。指摘されているのは、ロシアが保護の名目で子どもたちをロシア領内に強制連行し、愛国教育を強要している可能性です。その数はウクライナ全土でおよそ26万人に上ると、今年7月にアメリカのブリンケン国務長官が発表しました。
なぜ国際社会からの支援が届かないのか。

赤十字国際委員会は支援を届けたくても現地の安全が保障されない限りは難しい。また中立な組織としてウクライナ、ロシア双方に許可を取る必要があり人道支援の空白が生まれているとしています。