生物兵器禁止条約 再検討会議 ウクライナ情勢めぐり紛糾

細菌やウイルスを利用した生物兵器を禁止する条約の再検討会議が始まり、新型コロナウイルスの感染拡大の教訓を踏まえ、ウイルスなどが兵器に転用されるのを防ぐ議論が行われる見通しです。
一方でウクライナ情勢をめぐるロシアと欧米などの対立も表面化し、会議は初日から紛糾しています。

生物兵器の開発や貯蔵を禁止する生物兵器禁止条約の再検討会議は28日、スイスのジュネーブにある国連ヨーロッパ本部で6年ぶりに始まりました。

会議では、新型コロナウイルスのパンデミックを踏まえ、細菌やウイルスに関する最新の科学的な情報の共有や、兵器への転用が疑われる場合の検証の方法などをめぐって、議論が行われる見通しです。

冒頭、国連の軍縮部門のトップを務める中満泉 事務次長が「パンデミックは感染症が壊滅的な被害をもたらすことを示し、生物学的な脅威が注目された。条約の50年の歴史を通じて、各国は地政学的な困難に直面しながらも成果を上げてきた」と述べ、協力を呼びかけました。

これを受けて、各国の代表からは「生物分野の開発が悪用されないかを調べる国際機関を設立すべきだ」などといった意見が出されました。

一方で、ロシアの代表は「アメリカとウクライナが条約に違反して合同で生物兵器の開発を進めているというわれわれの懸念に、何ら回答が示されていない」と主張し、これに対してヨーロッパ諸国や日本などの代表は「条約を利用して根拠のない主張を行っている」と強く反論しました。

会議は来月16日まで開かれますが、ウクライナ情勢をめぐり各国の対立が続く中、条約の強化に向けた最終文書を採択することができるのか、予断を許さない情勢です。