【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(28日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる28日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 カザフスタンの大統領と会談 関係を強調

ロシアのプーチン大統領は28日、首都モスクワでカザフスタンのトカエフ大統領と会談し「あなたが再選してから最初の外国訪問でロシアを訪れたことは、両国関係にとって特別な意味がある。われわれは高く評価している」と述べ、みずからの勢力圏とみなす旧ソビエトのカザフスタンとの関係を強調しました。

トカエフ大統領は今月20日に行われた大統領選挙で再選し、26日に就任したばかりですが、ウクライナに軍事侵攻したプーチン政権とは、一定の距離を置く構えを見せています。

ロシア政府系ガス会社 天然ガスのモルドバ向け供給継続を発表

ロシアの政府系ガス会社「ガスプロム」はウクライナの隣国モルドバに向けた天然ガスの供給について、問題が生じたとして、今月22日、供給量を削減する可能性を警告していましたが、28日、供給を継続すると発表しました。

理由については「モルドバ側が支払いをめぐる障害を解消した」とし、詳細は説明していません。

一方で、今後もモルドバ側の支払いに問題が生じれば、ガスの供給を削減または停止すると主張し、天然ガスをロシアに依存するモルドバに対して、引き続き揺さぶりをかける思惑もあるとみられます。

ロシア軍 ウクライナが奪還したヘルソンに激しい攻撃

ウクライナ南部ではロシア軍が11月、要衝ヘルソンから部隊を撤退させたあと、ウクライナ側のさらなる反転攻勢に対応するため、ドニプロ川の東岸地域に防衛陣地を築いているとみられています。

イギリス国防省は28日の分析で、ロシア軍はドニプロ川の東岸地域から州都ヘルソンに向けて毎日のように砲撃を行い、24日にはウクライナ側で10人が死亡、27日には砲撃の回数が1日で54回にものぼったと指摘しました。

ウクライナが奪還に成功したヘルソンでも、依然としてロシア軍による激しい攻撃が続いていることが浮き彫りとなっています。

ザポリージャ原発から撤退準備「事実ではない」

ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」のコティン総裁が「ここ数週間、ロシア軍がザポリージャ原発から撤退する準備を進めている兆候があるとの情報が入ってきている」と述べたことに対して、原発が立地するエネルホダル市の当局者は28日、SNSで「原発はロシアの支配下にあり、事実ではない」と反論しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は27日の分析で、ザポリージャ州でウクライナ軍の差し迫った反撃は確認できないとする一方、ウクライナ軍が原発を奪還する準備を進めているというロシアの軍事専門家などの見方を指摘しています。そのうえで、こうした論調を踏まえ、ロシア側が将来的な原発からの撤退を見据えて、情報面での環境を整え始めている可能性があると分析しています。

ロシア軍 ザポリージャ原発から撤退準備の情報

ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」のペトロ・コティン総裁は27日、ウクライナ国営テレビの取材に対して、ロシア軍が占拠を続ける南部のザポリージャ原子力発電所について「ここ数週間、ロシア軍がザポリージャ原発から撤退する準備を進めている兆候があるとの情報が入ってきている」と述べました。

ザポリージャ原発をめぐっては先週も、敷地内で砲撃が相次いでいてIAEA=国際原子力機関が懸念を示していました。

ゼレンスキー大統領 インフラ施設へのさらなる攻撃に危機感

ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、「テロリストが新たな攻撃を準備していることは把握している。彼らがミサイルを持っているかぎり、攻撃をやめることはない。これからの1週間はこれまでと同じくらい厳しいものになるだろう」と述べ、ロシア軍がインフラ施設を標的にさらに攻撃を仕掛けてくる可能性があるとして危機感を強めました。

東部ドネツク州で激しい戦闘

ウクライナでは27日もロシア軍が攻撃を繰り返していて、東部ドネツク州のキリレンコ知事によりますと、州の中部にある町で住宅が砲撃を受けて2人が死亡、1人がケガをしたということで「ロシアは一貫して、意図的に民間人を狙っている」とSNSで非難しました。

イギリス国防省は27日、ドネツク州の戦況について、中南部でロシアとウクライナ双方が、かなりの兵力を投入し、ここ2週間ほど激しい戦闘が続く中で、ロシア軍の歩兵部隊に多くの犠牲者が出ていると指摘しました。

そして「ロシアは、この地域が、州の全域を占領するための大規模な侵攻の起点になり得るとみているようだが、その突破口を開くのに十分な、質の高い戦力を集中させることはできそうにない」と分析しています。

被害のインフラ施設で復旧作業もさらに攻撃の可能性も

ウクライナ各地では、被害を受けた発電所などインフラ施設の復旧作業が進んでいますが、国営の電力会社は27日、依然として電力需要の20%が不足していると明らかにし、人々に節電を呼びかけました。

首都キーウのクリチコ市長はSNSに、雪が降る中で撮影した動画を投稿し、白い息を吐きながら、暖房設備の整備など市民生活への影響を最小限に抑える努力をしていると強調しました。

一方、ウクライナ軍は27日「敵が重要インフラをミサイルで攻撃する脅威は依然、残っている」という見方を示しました。

ウクライナ議会の与党幹部も「今後1週間は非常に厳しいものになるだろう」とSNSに書き込むなど、ウクライナ側は、ロシア軍がインフラ施設を標的にさらに攻撃を仕掛けてくる可能性があるとみて警戒を強めています。