【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(25日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる25日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 ロシア兵の母親と面会

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は25日、戦地に派遣されたロシア兵の母親たちと面会しました。
この中で、プーチン大統領は兵士の母親たちに対し、「息子さんたちが戦地にいるみなさんは不安を抱いていることでしょう。わが子を失った人たちの気持ちもわかっているのであらゆる支援をしていく」と述べました。

ロシア兵をめぐっては、訓練や装備品が不足したり、多くの犠牲者が出たりするなど深刻な実態も伝えられていて、プーチン大統領としては兵士や家族に寄り添う姿勢を強調し、国民に理解を求めるねらいがあるとみられます。

NATO事務総長 インフラ施設攻撃を強めるロシアを非難

NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は25日、ベルギーの本部で会見し、ロシア軍がウクライナのインフラ施設への攻撃を強めていることについて「プーチン大統領は劣勢に立たされているのでさらに残忍な対応に出ている。民間のインフラ施設を意図的にねらったミサイル攻撃で、ウクライナの人たちは暖房や照明、そして食料を奪われている。ウクライナにとって過酷な冬の始まりだ」と述べロシアを非難しました。

そのうえで「NATOは必要なかぎりウクライナへの支援を続ける。引き下がることはしない」と強調しました。

そしてストルテンベルグ事務総長は来週、ルーマニアで開く外相会議で軍事支援に加え、すでに提供している燃料や医薬品、冬用の装備などの支援の強化も打ち出す考えを示しました。

ロシア兵訓練、装備など不十分か イギリス国防省

イギリス国防省は25日、ロシアのプーチン政権がことし9月に踏み切った予備役の動員について、招集されたロシア兵の訓練が十分でなく、装備品が不足していることや、健康状態が十分に確認されないまま、兵役に就いている可能性を指摘しています。

さらに、動員された兵士は、ウクライナ東部のルハンシク州やドネツク州でロシア側の防衛線を築くためにざんごうを掘るなど前線で任務につき、多くの犠牲者が出ている可能性があるとしていてプーチン政権は兵士の家族から抗議の声が高まることを懸念していると分析しています。

プーチン大統領が兵士の母と面会へ

ロシア大統領府は27日のロシアの「母の日」を前にプーチン大統領が25日、ウクライナの戦地に派遣された兵士の母親たちとクレムリンで面会する予定だと明らかにしました。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は「彼女たちの訴えについてすべて話し合われるだろう」と述べていて、ロシア兵の深刻な実態も伝えられるなか、プーチン大統領としては兵士や家族に寄り添う姿勢を強調し、国民に理解を求める狙いがあるとみられます。

ゼレンスキー大統領「電気使用ほとんどすべての地域で困難」

ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、新たな動画を公開し、各地でインフラ施設への攻撃が続けられる中「電気の使用はほとんどすべての地域で困難な状況が続いている。しかし、少しずつだが電気が無い状態から脱しつつある」と述べ、国民が結束して復旧作業を進めていると強調しました。

また、通信手段の確保についても警戒しているとして「ロシアは、ウクライナの人々から光や熱をなくすだけではなく、互いの存在を感じさせないよう、孤立させたがっている」と述べたうえで「占領者たちが追加の部隊をどう再配備しようとしているのかわれわれは注視している」と指摘し、徹底抗戦する姿勢を改めて鮮明にしました。

プーチン大統領 G7によるロシア産石油価格上限設定をけん制

G7=主要7か国がロシアへの制裁強化として来月から導入を目指すロシア産の石油の取引価格の上限について、ロシア大統領府によりますとプーチン大統領は24日に行ったイラクのスダニ首相との電話会談の中で「こうした行為は市場の原則に反し、世界のエネルギー市場に重大な結果を招くだろう」と述べ、けん制したということです。

価格の上限設定はロシア産の石油価格を強制的に引き下げることで、ロシアの収入を減少させるとともに、エネルギー価格の高騰を抑えるねらいがあるとみられ、導入を前にEU=ヨーロッパ連合の各国が価格水準の協議を続けています。

ロシアは上限を設定する国に石油を輸出しない方針を示していて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は24日、現時点でこの方針に変わりはないとしています。

IAEA事務局長 ウクライナの全原発が電力供給喪失 深刻な懸念表明

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は24日、声明を発表しウクライナのすべての原子力発電所が23日に外部からの電力の供給を失ったことについて深刻な懸念を表明し、原発の安全を脅かす軍事行動を直ちに止めるよう訴えました。

声明では、23日に電力の供給が失われたザポリージャ原発は24日、復旧したとしています。

同じく23日に周波数の低下で緊急保護システムが作動して送電網から切り離されたほかの3つの原発についてウクライナの原子力発電公社が復旧を急ぐとともに、発電機で原子炉の冷却などに必要な電力を確保しているとしています。

IAEAはウクライナの原発の安全のため外部からの安定した電力供給の確保を訴えていますが、グロッシ事務局長は23日はロシアの軍事侵攻が始まって以降原発に対する最大規模の電力供給の喪失が起きたとして「今回の事態は原発での深刻な事故を防ぐ行動を強化する必要性を示している」として対策を急ぐべきだと訴えました。

ウクライナ 停電や断水の復旧作業急ピッチ

ロシア軍に各地のインフラ施設が攻撃されたウクライナでは、停電や断水の復旧に向けた作業が急ピッチで進められています。

このうち停電の状況について、ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官は、現時点ではウクライナのすべての州で電力の供給が行われていると、24日、SNSに投稿しました。

副長官は「まずはインフラ施設への電力供給を再開した。次の段階として、今は一般家庭への供給再開に向けて作業を進めている」として、復旧を急ぐ考えを示しました。

また断水の状況については、首都キーウのクリチコ市長が24日「首都の全域で水道が復旧した」とSNSに投稿しました。

一方、高層ビルの上層階など一部では水圧が低い状態が続いている可能性があり、完全な復旧までにはなお時間がかかるとしています。

ロシア「モスクビッチ」新モデル 部品の多くは中国製

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて欧米や日本の自動車メーカーが相次いで撤退する中、首都モスクワでは、旧ソビエト時代に人気だった自動車ブランドの一つ「モスクビッチ」の新しいモデルの生産が始まり、23日、地元メディアなどに公開されました。

生産現場となったのは、ロシアから撤退したフランスの自動車大手ルノーの旧モスクワ工場です。

モスクワのソビャーニン市長は23日、SNSで「歴史的な出来事だ。前の所有者の撤退が生産復活のきっかけとなった」と述べ、外国企業の撤退がロシアの産業発展につながっていると主張しました。

一方、部品の多くには、中国企業の名前が書かれ、自動車産業の復活を主張しながら、中国製の部品に頼らざるをえない実情がうかがえます。

ロシアの有力紙、コメルサントによりますと、ロシアの自動車市場はことし、前の年と比べておよそ6割縮小し、プーチン政権としては、友好国・中国の協力も得て、ロシアの製造業を維持したいねらいがあるとみられます。

ウクライナ国防省「ロシアの大規模攻撃はおおむね1週間おき」

ウクライナ国防省の情報総局は24日「ロシアは依然として精度の低いミサイルを多く保有している。大規模攻撃はおおむね1週間おきだ」と分析し、ロシア軍が今後も東部や南部を中心に、インフラ施設や病院への攻撃を繰り返す可能性があると警戒しています。

ロシア国防省 ウクライナ各地のインフラ施設への攻撃を正当化

ウクライナ各地のインフラへの攻撃について、ロシア国防省は24日「ウクライナ軍の指揮系統と、関連するエネルギー施設に対して大規模な攻撃を行った」と発表し、攻撃を正当化しました。

その一方、「キーウ市内では一度も攻撃を行っていない。ウクライナ側の防空システムが発射したミサイルが住宅街に落下したものだ」と主張しました。

また、ロシア大統領府のペスコフ報道官は24日、記者団に「ウクライナは、ロシア側の要求に応えることで状況を正常化させ、住民の苦しみを終わらせるチャンスがある」と述べ、ウクライナ側に非があるとする一方的な立場を繰り返しました。