ウクライナ東部 ロシア軍が一日に400回に上る砲撃 戦闘が激化

ウクライナ軍は領土の奪還を目指して反転攻勢を続けているのに対し、ロシア軍は支配を維持するために防衛陣地を築いているとみられます。
こうした中、東部では一日当たりのロシア軍の砲撃が400回に上ると指摘されるなど戦闘が一段と激しくなっています。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、ウクライナ軍の反転攻勢を受けて南部の拠点ヘルソンから部隊を撤退させたあと、支配地域を維持するために一部の部隊はヘルソン州内で防衛陣地を築くとともに、他の部隊は東部の前線に移動しているとみられています。

こうした中、ウクライナの東部で戦闘が激しくなっていて、ゼレンスキー大統領は20日「最も激しい戦闘が続いているのは、これまで同様、ドネツク州だ。ロシア軍は依然として極めて多くの砲撃を行っている」として、東部での砲撃が一日当たり400回程度に及んでいることを明らかにしました。

また、イギリス国防省は21日に発表した分析で、ウクライナ軍が反転攻勢を続ける東部ルハンシク州のスバトベの周辺で、過去1週間、激しい砲撃戦が続いているとしていて、ロシアの指導部は州内で人口が密集するスバトベの支配を、政治的な優先事項としてみている可能性が高いと指摘しています。

ロシア軍は支配地域で防衛陣地を築くことを優先しているとしていますが、訓練が十分でない予備役の動員兵が配備されていると指摘していて、ロシア軍の攻撃と防衛の能力は軍の物資や熟練の兵員が深刻に不足していることで、妨げられていると分析しています。

一方、冬が到来するなか、ロシア軍はエネルギーのインフラ施設を標的にしたミサイル攻撃などを続けていて、ウクライナのエネルギー省は19日、国民に落ち着いて行動するよう呼びかけるとともに、各家庭にエネルギーの消費を少なくとも25%削減するよう求めました。

ゼレンスキー大統領も20日、エネルギー不足の解消に向けて首都キーウを含め24時間態勢で送電網の復旧などを進めているとしています。