新型コロナ感染者が増加 面会制限を再び厳しくする医療機関も

厚生労働省によりますと、19日発表した国内の新たな感染者は、先週の土曜日に比べておよそ13%増えています。40の都道府県で1週間前を上回りました。

新型コロナウイルスの感染が拡大傾向となっていることから、医療機関の中にはいったん緩和した入院患者と家族との面会の制限を再び厳しくする動きも出ています。

面会を再び制限 先月24日に緩和したばかり

千葉県市川市にある国立国際医療研究センター国府台病院では、第7波が落ち着いたあと先月24日から面会の制限を緩和し、入院患者の家族は決められた人数と時間の範囲内で面会できるようにしました。
しかし、感染の再拡大が始まり、千葉県が定める感染のレベルが引き上げられたことから、今月10日から再び面会を制限することになりました。

家族同席で医師が病状を説明する場合などを除いて原則、面会はできないとしていて、制限の緩和から2週間余りで再び厳しい対応を取らざるを得なくなりました。

一方、不安や孤独を感じる入院患者にも配慮しようと、患者と家族が強く希望する場合などは、病棟の出入り口でガラス越しに顔を合わせることは認めることにしています。
青柳信嘉院長は、「免疫力が落ちている、あるいは、基礎疾患を持っている患者がほとんどなので、病院としてはこれらの人たちをコロナから守ることがいちばん重要なことだと考えている。面会制限があると患者も寂しいと思うが、クラスターを起こさないという観点からはやむをえない」と話しています。

そのうえで「希望があればいくつかの手段を使って面会に近い状態で会えるようにしていて、ウィズコロナ、ポストコロナに向けて病院としても取り組みを考えていく必要がある」と話していました。

面会を続けようと模索する高齢者施設も

高齢者施設の中には、感染対策の工夫によって施設の利用者と家族との面会をなるべく続けていこうとするところもあります。

千葉市にある特別養護老人ホーム「とどろき一倫荘」では2年前の感染拡大以降、通常の面会ができたのは1か月程度で、ほかの時期は対面は基本的に禁止しオンラインを活用するなどして対応してきました。

ただ、利用者や家族からの直接、顔を合わせたいという要望を受けて先月からは感染対策を工夫した新しい方法で面会できるようにしました。

施設の窓がある部分を面会場所として外側のベンチに家族が座ります。

そして、窓は開けたうえでフィルムを2人の間に設置し内側にいる利用者と話す方法で、少しでも本来の面会に近づけようと職員が考えたということです。
95歳の母親に会うために訪れた60代の女性は入り口で消毒や検温をしたあとフィルム越しに母親と面会し、「お菓子持ってきたから食べてね」などと声をかけ、母親は「久しぶりに顔が見られてうれしい」と話していました。

施設では時間は10分間で訪問は2人以内に限定するなど感染対策を徹底しながら、できるかぎり面会を続けていきたいとしています。

面会した女性は、「実際に会って話すと安心します。母は耳が遠く目も見えにくくなっていて、WEB面会は難しいので顔を見て話せるだけで助かっています」と話していました。
平野幸一 施設長は、「入所者が家族に会えないと精神的な影響も大きいので面会は重要だと考えている。一方でコロナとインフルエンザの同時流行も心配です。高齢者は感染してしまうと重症化しやすいので、試行錯誤しながら緊張感を持って対応に当たっていきたい」と話していました。