首相 東南アジア歴訪「日本を守る大事な一歩」と強調

岸田総理大臣は訪問先のタイで記者会見し、8日間に及んだ東南アジア歴訪について、国際情勢が厳しさを増す中「日本を守る大事な一歩になった」と強調したうえで、来年はG7の議長国として自身が先頭に立って国際社会の課題に対応していく考えを示しました。

この中で岸田総理大臣は、一連の対面外交について「ウクライナ侵略や東アジアにおける地域情勢の緊迫化で、世界の平和秩序は大きな曲がり角を迎え国民の不安も大きくなっている。日本を守り、国民の安心を保つという政治の最大の使命を推し進めていくうえで大事な一歩を踏み出すことができた1週間だった」と振り返りました。

そのうえで日米首脳会談について、強固な日米同盟の役割を確認し、抑止力と対処力の一層の強化につながる機会になったという認識を示しました。

また、いずれもおよそ3年ぶりとなった中国、韓国との首脳会談について「さまざまな課題はあるものの、じっくりと建設的な意見交換を行うことができた」と述べました。
具体的に、日中首脳会談では、両国間の懸案について突っ込んだ議論を行い関係の立て直しに向けて意思疎通の継続を確認できたことや、ウクライナ情勢をめぐり核兵器の使用を許さないという見解で一致できた点を成果として強調しました。
また日韓首脳会談についても、両国間の懸案の早期解決で一致できたとしたほか、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携を確認したと説明しました。

さらに18日の北朝鮮によるICBM=大陸間弾道ミサイル級のミサイル発射を受けて、日米韓3か国にオーストラリアとカナダ、ニュージーランドを加えた6か国の枠組みで急きょ会合を開いたことに触れ、北朝鮮への対応での結束を図れたと意義を示しました。
一方、一連の国際会議について岸田総理大臣は、ロシアも参加したG20サミット=主要20か国の首脳会議でほとんどの国がウクライナでの戦争を強く非難し、ロシアによる核の威嚇は断じて受け入れられないことなどが首脳宣言に盛り込まれたことを「高く評価する」と述べました。

このほか各国の首脳に対して、北朝鮮による前例のない頻度と態様での弾道ミサイル発射や東シナ海・南シナ海での一方的な現状変更の試みなどへの強い危機感を伝え、対応の必要性を訴えたと強調しました。

そして来年、日本がアジア唯一のメンバーとしてG7=主要7か国の議長国などを務めることに触れ「私自身が先頭に立って、わが国自身の安全と繁栄のためにも、『自由で開かれたインド太平洋』の推進などを通じて、アジアの繁栄、国際経済および地球規模課題をはじめとする国際社会の諸課題に対応していく」と決意を述べました。

岸田首相 帰国の途に

岸田総理大臣は8日間にわたる東南アジア歴訪での一連の外交日程をすべて終え、日本時間の午後6時前、政府専用機でタイを出発し帰国の途につきました。
19日夜にも日本に帰国する予定です。