ウクライナ ロシアのミサイル攻撃でエネルギー施設の半分被害

ウクライナでは、ロシア軍による大規模なミサイル攻撃によって国内のエネルギー関連施設のおよそ半分が被害を受けていて、ゼレンスキー大統領は「首都キーウと17の州で電力の供給が困難な状況になっている」として、復旧作業を急ぐ考えを改めて強調しました。

ロシア国防省は18日、ウクライナのエネルギー関連施設などをねらった大規模なミサイル攻撃を17日に行ったと発表し、本格的な冬が迫る中、電力などインフラ施設を標的にした攻撃を強めています。

ウクライナのシュミハリ首相は18日「ロシアは、ウクライナの重要インフラへの攻撃を続けており、国内のエネルギーシステムのおよそ半分が使用できなくなった」と述べ、電力の供給に深刻な影響が出ていると明らかにしました。

また、ゼレンスキー大統領は18日に公開した動画で「首都キーウと17の州で電力の供給が困難な状況となっている」として、復旧作業を急ぐ考えを改めて強調しました。

一方、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐってロシアとウクライナは輸出の延長で合意しましたが、黒海に面した南部の港では穀物を運ぶ船や積み替えの設備が不足しているうえ、ロシアのミサイル攻撃によって作業が停止することもあるということで、輸出を待つ穀物がたまっています。

このうち、南部オデーサでは、小麦を積んだトラックが数キロにわたって長い列をつくっていて、今後、安定的な輸出を続けられるかが課題となっています。

英国防省 “ロシア軍部隊が支配地域で防衛強化”

一方、ウクライナ軍が南部の拠点ヘルソンを奪還するなど反転攻勢を強める中、戦況を分析するイギリス国防省は18日、ロシア軍がウクライナ各地で防衛の準備などを優先していると指摘しています。

この中で、ロシア軍の部隊は8年前にロシアが一方的に併合した南部クリミアとヘルソン州の境界付近のほか、東部ドネツク州やルハンシク州でもざんごうを築いているとして、ロシア軍が支配地域で守りを固めようとしていると分析しています。

また、ロシアの独立系メディアもクリミアとヘルソン州の境界付近で撮影されたという映像を公開し、大人の背丈ほどの深さに掘られ木材で補強されたざんごうや、戦車などの進軍を阻むためのコンクリートブロックの列が映っています。

ミサイル着弾 ウクライナの専門家 ポーランドに到着

一方、ウクライナに隣接するポーランドにミサイルが着弾したことをめぐって、ウクライナのクレバ外相は18日、現地の調査に参加するウクライナの専門家たちがポーランドに到着し、作業を始めたと明らかにしました。

このミサイルについては、ウクライナ軍が発射した迎撃ミサイルだった可能性を指摘する欧米側とウクライナ側との間には見解の違いもみられ、調査の結果が焦点となっています。