【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(18日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる18日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ農業食料省次官「国内の穀物価格下落が最大の問題」

ウクライナの港からの農産物輸出は、ロシアの軍事侵攻を受けて一時、滞っていましたが、ウクライナとロシア、それに仲介役のトルコと国連の4者が合意した結果、これまでに1100万トン以上の小麦やトウモロコシなどが輸出されました。

この合意は、120日間延長されることが、17日に決まったものの、ウクライナの農業の現場では依然、さまざまな課題が残されています。

ウクライナ農業食料省のマルキヤン次官は15日、NHKとのオンラインインタビューで「輸出のペースが低調なため、国内の穀物価格が下落していることが最大の問題だ」と述べました。

また軍事侵攻の影響で輸出の作業が停滞し、農家が来季の作付けをするための収入を得られない問題を指摘した上で、ことしの作付面積が前の年に比べて最大で40パーセント減少していると、軍事侵攻を非難しました。

そのうえで「農家にとっては、4か月後ではなく、1年先の見通しが立つことが重要だ」と述べ、より長期間、安定して農産物を輸出できる態勢の構築を訴えました。

森 元首相 ウクライナ情勢について発言

森 元総理大臣は18日夜、東京都内で開かれた国会議員のパーティーであいさつし、ウクライナ情勢について、「プーチン大統領だけが批判されて、ゼレンスキー大統領が全く叱られないのはどういうことか。ゼレンスキー大統領は、多くのウクライナの人たちを苦しめ、ヨーロッパにいるかつての仲間の国々もみな苦しんでいる」と述べました。

そのうえで、「戦争は何としても止めなければならないが、長い間、プーチン大統領と親しくしていただけに、思いはよく分かる。プーチン大統領にもメンツがあり、このままやっていけば核を使うというようなことになるのかもしれない」と述べました。

また森氏は、「こういう事態になったら戦争は収めなければならず、その役は安倍元総理大臣だと思っていたが残念だった。しかし、岸田総理大臣はアメリカ一辺倒になってしまった」と述べ、岸田政権の外交姿勢に疑問を呈しました。

米CIA長官 ウクライナ・ロシアと相次ぎ会談

アメリカのワシントン・ポストなどが当局者の話として伝えたところによりますと、CIA=中央情報局のバーンズ長官は15日、ウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領と会談し、アメリカがウクライナへの支援を続けることを確認したということです。

ロシアの有力紙コメルサントやロイター通信などによりますと、これに先だってバーンズ長官は14日、トルコの首都アンカラでロシアの情報機関、対外情報庁のナルイシキン長官との会談に臨んだということです。

バーンズ長官が、プーチン大統領の側近の1人に続いて、ゼレンスキー大統領とも会談を行ったことについて、CNNテレビは「裏ルートによる外交が慌ただしく行われた。ワシントンでは、ウクライナに戦争の外交的解決を促すかどうか静かに議論が始まったところだ」と指摘しています。

ゼレンスキー大統領「どんな交渉も密室ではなく公の場で」

ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、メディア関係者との会合で「ロシア側との交渉の可能性について、他国の指導者たちからシグナルを受け取った」と述べ、ロシアが交渉の用意があると、複数の国から伝えられたことを明らかにしました。

そのうえでゼレンスキー大統領は「ロシアは、ウクライナに対して全面的な侵略戦争を続けている。どんな交渉であっても密室ではなく公の場で行われなければならない」と述べました。

ウクライナは、プーチン大統領とは交渉は行わないとする方針を決定しています。

ゼレンスキー大統領の今回の発言は、ロシアと交渉する姿勢まで完全に閉ざすべきではないとする一部の国の考えに配慮を示す一方で、公の場での交渉というロシアとしては認められない形式を持ち出すことで、現時点では交渉する考えはないとする立場を強調したものとみられます。

APECの首脳会議 ロシア プーチン大統領出席せず

今回のAPECの首脳会議で、ロシアからはプーチン大統領の代わりにベロウソフ第1副首相が出席しています。

プーチン大統領は、11月インドネシアで開かれたG20サミット=主要20か国の首脳会議にも、参加しておらず、ラブロフ外相が出席しました。

ロシアによるウクライナ侵攻が世界のエネルギーや食料の価格高騰を引き起こしている中、APECでのロシア側の発言が注目されます。

ウクライナ外相 “専門家がポーランドに到着” SNSに投稿

ウクライナのクレバ外相は17日、SNSに、現地での調査に参加するウクライナの専門家がポーランドに到着したと投稿していて、今後の調査結果が注目されます。

マレーシア旅客機撃墜 ロシア人とウクライナ人の3人に終身刑

2014年、ウクライナ上空でマレーシアの旅客機が撃墜され乗客乗員298人が死亡した事件で、オランダの裁判所はロシア人とウクライナ人の被告、合わせて3人に終身刑の判決を言い渡しました。

この事件では、ロシアの治安機関の元大佐などロシア人3人とウクライナ人1人の合わせて4人が殺人などの罪に問われ、オランダの裁判所で審理が行われてきました。

裁判所は17日、旅客機を撃墜したのはロシアから持ち込まれ、ウクライナの親ロシア派が支配する地域から発射されたミサイルだったと認めました。

そしてミサイルの輸送や配備にかかわったとして3人の被告に終身刑の判決を言い渡しました。
ロシア人の被告1人については積極的な関与を示す証拠がないなどとして無罪としました。

裁判所はミサイルの発射が誰の命令によるものだったかは特定できなかったとしています。

ゼレンスキー大統領 “首謀者の責任問うことも重要”

判決についてウクライナのゼレンスキー大統領はツイッターに投稿し「重要な判決だ」と評価しながらも、「首謀者の責任を問うことも決定的に重要だ。処罰を逃れることができるという思いは新たな犯罪を引き起こす」と訴えました。

ロシア外務省 “客観性や公平性ない”

判決についてロシア外務省は声明を発表し、「審理の経過や出された結論は、審理が政治的な要請に基づき、ロシアが関与したとする説の裏付けとして行われたことを証明している。裁判所はオランダの政治家やマスメディアなどから前例のない圧力を受けていた。こうした状況で客観性や公平性があるはずがない」などと批判しました。

また、ロシア議会下院で国際問題を担当する委員会のスルツキー委員長は、国営のロシア通信に対し「判決は政治的で認められない。ロシアの専門家は合同捜査チームへの参加を認められず、ミサイルを製造する企業の分析も無視された。説得力のある証拠は示されなかった」と述べました。

ゼレンスキー大統領 “1000万人以上が停電の影響”

ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、新たな動画を公開し、インフラ施設などをねらった大規模なミサイル攻撃などで、現在1000万人以上が停電の影響を受けていることを明らかにしました。

停電は首都キーウや南部オデーサなどを中心に起きているということで、ゼレンスキー大統領は「復旧に向けて、できることはすべて行っている」と述べました。

また、南部ザポリージャ州ではミサイル攻撃で7人が死亡したほか、東部ドニプロペトロウシク州のドニプロでは数十人がけがをしたとしています。

ウクライナ 電力不足の首都キーウで初雪 本格的な冬到来

ロシア軍によるエネルギー施設などへのミサイル攻撃で電力不足に陥っているウクライナの首都キーウでは17日、初雪が降り本格的な冬の到来を告げました。

ウクライナでは冬の間、平均気温が氷点下となる月もあり厳しい寒さに見舞われますが、発電所などへの攻撃により各地で停電が頻繁に起きていて市民生活に影響が出ています。
キーウに住む22歳の女性は「私は冬と雪が大好きですが、きょうは初めて寒さに恐怖を感じました。これから厳しい時期が待ち受けています」と不安をのぞかせていました。

一方で、32歳の男性は「万が一に備えてキャンプ用のガスを買いました。段階的に冬の準備を進めているので大丈夫です。冬の寒さには慣れています」と気丈に話していました。

APEC閣僚会議閉幕 ウクライナ侵攻の影響めぐり声明で調整続く

タイで行われていたAPEC=アジア太平洋経済協力会議の閣僚会議は閉幕しましたが、ロシアのウクライナ侵攻による域内経済への影響をどのように閣僚声明に盛り込むかについて意見が対立し、引き続き調整が続けられています。

APECの閣僚会議には日本から林外務大臣と西村経済産業大臣が出席し、域内の持続的な成長などをテーマに議論が行われました。

会議は17日夜に閉幕しましたが、日本やアメリカが閣僚声明の中にロシアによるウクライナ侵攻でエネルギーや食料価格が高騰するなど、経済に影響が及んでいることを明記すべきだと主張したのに対して、ロシアは関連する文言を盛り込むことに反対し意見の隔たりは埋まりませんでした。

このため、閣僚会議が閉幕したあとも事務レベルで声明の採択に向けた調整が続けられています。

ポーランド大統領 ミサイル現場を視察 ウクライナに配慮も

ポーランドのドゥダ大統領は17日、南東部のプシェボドフを訪れ、ミサイルが着弾し2人が死亡した現場を視察しました。

視察のあとの記者会見でドゥダ大統領は「繰り返すが、専門家や私たちの見立てによるとこれは事故だった」と述べ、ミサイルの着弾は意図的な攻撃ではなかったという見方を強調しました。

また、欧米側が着弾したミサイルはウクライナの迎撃ミサイルだった可能性を指摘する一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は「調査結果が出ないかぎり、ウクライナのミサイルだとはいえない」と述べ見解に隔たりもみられることについて、「ゼレンスキー大統領もウクライナ軍から情報や資料を収集していると思う。大統領にも感情はあり、極めて困難な状況下ではそれは誰にとっても驚くべきことではない」と述べ、ウクライナ側に配慮する姿勢を示しました。

ゼレンスキー大統領 “ウクライナもミサイルの調査に参加”

ポーランド政府によりますと、ウクライナとの国境に近い村で15日、ミサイルが着弾して2人が死亡し、アメリカなどはウクライナ軍の迎撃ミサイルだった可能性があると指摘しています。

これについてウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカのブルームバーグが17日、シンガポールで開いたフォーラムで問われ、ミサイルが着弾した日はロシア軍によるおよそ100発のミサイル攻撃があり、ウクライナの地対空ミサイルシステムが稼働していたと説明しました。

そして、過去にウクライナをねらったミサイルが隣国のモルドバに着弾したことがあると指摘したうえで「今回起きたことははっきりとは分からないが私はこれはロシアのミサイルだと確信している」と強調しました。

さらに「調査結果が出ないかぎり、私たちはウクライナのミサイルがポーランドに着弾したとはいえない」と述べたうえで現地でポーランドなどが行っている調査に、17日からウクライナの専門家も加わると明らかにし、調査も踏まえて、今後の対応を検討するものと見られます。

日タイ首脳会談 “ロシアの核兵器の使用は許さず”で一致

APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に出席するためタイを訪れている岸田総理大臣は17日、プラユット首相と会談しました。

この中で、ロシアによるウクライナ侵攻について、力による現状変更の試みは世界中のどこであっても認められず核兵器による威嚇は断じて受け入れられず、核兵器の使用は決してあってはならないと述べました。

これに対しプラユット首相は、基本的な考えで日本と一致しており核兵器の使用は許されないと応じました。

そのうえで、両首脳は安全保障や気候変動対策などで協力していくことを確認しました。