ロシア製ミサイル ポーランドに落下 2人死亡 ポーランド外務省

ロシアがウクライナへのミサイル攻撃を続ける中、15日、NATO=北大西洋条約機構の加盟国であるポーランドはロシア製のミサイルが国内に落下し、2人が死亡したことを明らかにしました。ロシアによる軍事侵攻後、NATOの加盟国内で初めて犠牲者が出たことになり、緊張が高まっています。

ポーランドの外務省は日本時間の16日午前8時ごろ、声明を発表し「ロシア製のミサイルがポーランド領内に落下し2人が死亡した」と明らかにしました。

それによりますとミサイルは現地時間の15日午後3時40分ごろ、日本時間の15日夜11時40分ごろ、ウクライナとの国境に近いプシェボドフという村に落下したということです。

ロシア製のミサイルが落下した村はウクライナとのもっとも近い国境からおよそ6キロ離れています。

ポーランドはアメリカが主導するNATOの加盟国で、ことし2月のロシアによる軍事侵攻以降、NATOの加盟国内で初めて犠牲者が出たことになります。

ポーランドのモラウィエツキ首相は16日、記者会見を開き、軍の警戒レベルを引き上げて、領空の監視を強化する考えを示しました。

また「北大西洋条約第4条の適用の可能性について、同盟国と協議している」と述べ、NATOの加盟国の領土や安全などが脅かされている場合に対応を協議すると定めた北大西洋条約第4条の適用を要請するかどうか、検討していることを明らかにしました。

一方、ロシア国防省は15日、声明を発表し「報道などで伝えられているロシアのミサイルに関するものは、状況をエスカレートさせるための意図的な挑発行為だ。ウクライナとポーランドの国境付近の目標に対して、ロシアは攻撃は行っていない」としています。

NATOの第4条 第5条とは

北大西洋条約の第4条は、加盟国の領土保全や政治的独立、または安全が脅かされている場合に、いつでも対応を協議すると定められています。

また、第5条は、加盟国が1国でも攻撃を受けた場合、これを加盟国全体への攻撃とみなして反撃などの対応をとる集団的自衛権の行使が規定されていて、軍事同盟であるNATOの根幹をなす条項です。

2001年のアメリカの同時多発テロについて、NATOはアメリカへの攻撃とみなして、史上初めて第5条を発動しました。