大阪 プレミアム食事券 3000円お得なのに売れ残る なぜ?

飲食店を支援しようと1万円で1万3000円分の食事ができる大阪府の「プレミアム食事券」の2回目の発券が始まりました。

前回は売れ残りもあり、利用者が繰り返し購入できるようルールが変わりましたが、利用する人としない人、分かれているようです。
街の人に聞いてみました。

(大阪放送局 記者 大野敬太 鞆田優希穂)

お得な食事券 利用者は…

この「プレミアム食事券」は、大阪府が新型コロナや物価高の影響で売り上げが落ち込む飲食店を支援するために始めたものです。

10月から3回に時期を分けて販売していて、11月7日から2回目の発券が始まっています。
早速、発券場所となっているコンビニに行ってみました。

2万円分購入すると、1000円分が20枚、500円分が12枚と、合わせて32枚の食事券が発券されますが、一枚一枚印字するため時間がかかります。

店内には食事券を発券するための行列ができていました。

今日発券した40代の女性2人組は「以前会社の同僚が使っているのを見て、今回、申し込みました。ランチで使うのでいつもよりちょっといいものを食べたりしたい」と話していました。
この食事券、もともと購入は1人1回2セットまでの予定でしたが、10月の1回目では、64万セットのうちおよそ11万セットが売れ残りました。

そこで急きょ、最大3回、購入できるようにルールを変更しました。

今回は合わせて75万セットを用意していて、▽申し込みは9日まで、▽利用期限は12月末までとなっています。

使える飲食店は認証店の3割ほど

プレミアム食事券を使える店は、1万6000店舗余り。

店舗でも対応が分かれていて、府の「ゴールドステッカー」の認証を受けているおよそ5万店舗のうち、7割近くが参加していません。

加盟店になっていないイタリア料理店では、この制度自体を知らなかったといいます。
従業員の男性は「郵送などで飲食店にもキャンペーンがあることを知らせてもらえるとうれしい。お客さんからの問い合わせもあるので、これから加盟したいと思います」と話していました。

他にも、これまでのキャンペーンで手続きが煩わしかったことや、返金が遅れたことを受けて、加盟しないと決めたお店もありました。

一方、プレミアム食事券を利用できるようにした中華料理店では最近、食事券を利用する人が多く見られるといいます。
従業員の女性は「これまでもさまざまな飲食店の支援事業があり、はじめは手続きが煩わしく感じていたけれど、慣れてきました。コロナ禍なので、少しでも多くのお客さんに来てほしい」と話していました。

制度や発券方法を知らない人も…

プレミアム食事券、街の人たちはどれくらい使っているのでしょうか。

大阪の天神橋筋商店街で聞くと、食事券の制度そのものを知らなかったり、知っていてもどう発券するのか分からなかったりする人が多くいました。
買い物に来ていた女性2人組のうち1人は今回、食事券を初めて申し込んだということで「前回間に合わなかったので、今回、旦那と2人で1セットずつ申し込みました」と話していました。

それを聞いたもう1人の女性は「プレミアム食事券って今、初めて聞きました。まだ申し込めるならお得だし、使いたい」と話していました。

また40代の会社員の男性は「機会があれば使いたいけれど、どのような手続きをしたらよいかわからない」と話していました。

一方、食事券を使う予定はないという女性もいて「小さい赤ちゃんがいて、なかなか外食にも出かけられません。年末までと期限が決まっているので1万3000円分を使い切るのは難しいかなと思います」と話していました。

さまざまなキャンペーンがあり複雑に…

大阪の場合はさまざまなキャンペーンが同時に展開されています。

▽飲食店向けのプレミアム食事券
1万円→1万3000円分(利用は ~12月末)

▽大阪市のプレミアム付商品券
1万円→1万3000円分(利用は ~来年2月末)

▽キャッシュレス決済キャンペーン
▼岸和田市 最大30%
(利用は ~11月30日)
▼吹田市 最大30%
(利用は ~12月16日)

▽全国旅行支援
宿泊者に地域クーポン
▼平日 3000円分
▼休日 1000円分
自治体ごとにさまざまな取り組みを進めていますが、利用者の間では、周知が進んでいるとはいえません。

また、これらの取り組みはネットを通じての申し込みやコンビニでの発券などが多く、苦手な人にとってはハードルが高いという声も聞かれます。
プレミアム食事券を担当する大阪観光局のマーケティング事業部の中村哲也担当部長は「ネット環境がなくて食事券を買いにくいという声もあるが、電話で専用ダイヤルから予約受付の申し込みを可能にしています。これからもしっかり周知、拡大を進めていくので、多くの人に利用していただきたい」と話しています。

新型コロナの感染対策に気をつけてもらいたいのはもちろんですが、コロナ禍で大きな影響を受けた業界を支援するための施策ですから、もっと制度が周知され、利便性が向上してほしいと感じました。