米中間選挙 8日投票 外交や安保政策に及ぼす影響について関心

アメリカ政治の行方を左右する中間選挙が8日、投票日を迎えます。世論調査では、野党・共和党が連邦議会下院で優勢となっていて、国際社会からは、中間選挙の結果が、アメリカの外交や安全保障政策に及ぼす影響について関心が集まっています。

アメリカの中間選挙は、4年ごとの大統領選挙の中間の年に行われる連邦議会や州知事などの選挙で、ことしは上院の100議席のうち35議席と、下院の435議席すべてが改選されます。

各種世論調査によりますと、下院は野党・共和党が過半数を確保する勢いである一方、上院は、多数派の確保をめぐって激しい競り合いとなっています。

仮に、議会のうち1院でも共和党が多数派を奪還すれば、政権と議会のあいだにいわゆる「ねじれ」が生じ、バイデン政権は今後2年間、難しい政権運営を迫られることになります。

国際社会からは中間選挙の結果が、アメリカの外交や安全保障政策に及ぼす影響について関心が集まっています。

とりわけ共和党下院トップのマッカーシー院内総務が先月メディアの取材に、ウクライナへの支援について「白紙の小切手を切るつもりはない」と発言したことをめぐっては、共和党は対ウクライナ支援の縮小を求めるのではないかと波紋を呼んでいます。

これについて、保守系のシンクタンク、ヘリテージ財団のジェームズ・カラファノ副所長はNHKのインタビューに対し「最終的には、アメリカのウクライナへの支援を劇的に削減することにはならない。議論が起きるとすれば、それは支援をより効果的なものにするためのものであり、実際には共和党の多くの議員が、むしろ軍事支援のスピードが遅く、内容も不十分だと主張しているほどだ」と述べ、対ウクライナ支援は縮小されないとの見方を示しました。

ヘリテージ財団副所長 “対中国政策は一層強硬に”

保守系のシンクタンク、ヘリテージ財団のジェームズ・カラファノ副所長は、NHKのインタビューに対し、中間選挙が対中国政策に与える影響について「中国をめぐっては、アメリカ国内には超党派の合意があり、特に経済分野で対中国政策は一層強硬なものになるだろう」と述べて、中国に対しては選挙の結果にかかわらず、アメリカは今後より強硬になるとの見方を示しました。

また、エネルギー政策をめぐっては「バイデン政権のエネルギー政策は完全に間違っている。アメリカの経済をむしばむことなく、急速にクリーンエネルギーに転換することなど不可能であり、共和党はすべての力を注いでそれに対抗するだろう」と述べ、共和党が議会の主導権を握れば、バイデン政権の地球温暖化対策を改めるよう圧力を強めるとの見通しを示しました。

一方、カラファノ氏は中間選挙で共和党が議会で多数派を奪還した場合でも、アメリカの外交や安全保障の方向性が大きく変わることはないと指摘しました。

その理由については、上下両院で共和党が圧倒的多数の議席を獲得しないかぎり、現職の大統領の政策を覆すことは難しいことに加え、有権者の関心がインフレや移民政策、犯罪の増加などに集まっていることをあげました。

ウクライナ マルカロワ大使 “支援は続くと確信”

中間選挙の結果がウクライナ支援に及ぼす影響について、ワシントンに駐在するウクライナのマルカロワ大使は、2日、NHKの取材に対し「支援はこれまでどおり続くと確信している」と述べ、支援は超党派で続けられるとの認識を示しました。

その理由として「ウクライナは今、民主主義や自由、独立などを求めて戦っているが、アメリカはこうした価値観や原則に基づいて築かれている」と述べ、アメリカとウクライナは同じ価値観を共有しているからだと強調しました。

レオン・パネッタ氏 “ウクライナ支援 民主党と共和党は結束”

共和党が議会多数派になった場合、アメリカの対ウクライナ支援に影響が及ぶかどうかについて、オバマ政権時に国防長官やCIA長官を務めたレオン・パネッタ氏は、NHKのインタビューで「アメリカは政治的に両極化しているが、対ウクライナ支援においては、民主党と共和党は結束している」と述べました。

そのうえで「私の記憶では、共和党は国家の安全保障のためであれば非常に強い態度を保持し、強い軍を構築するために資金を提供した。共和党内の一部に反対論者がいたとしても、ウクライナへの幅広い支援は継続されるだろう」として、アメリカの対ウクライナ支援に、大きな影響は及ばないという見方を示しました。