ロシア 農産物輸出合意の復帰表明も ウクライナは不信感を表明

ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意への復帰を表明しました。これに対してウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアによる攻撃がなければ世界的な食料危機の脅威が生じることはなかった」と非難し、ロシア側への不信感を表しました。

ウクライナとロシアは国連とトルコを仲介役として小麦などの輸出の再開で合意していましたが、ロシアは海軍の黒海艦隊が10月29日、ウクライナ側から攻撃されたとして、合意の履行を停止すると表明しました。

ウクライナや欧米各国からは批判の声が相次ぎ、国連とトルコが調整を続けた結果、プーチン大統領は2日、「国防省に完全な再開を指示した」と述べ、合意の履行を再開することを表明しました。

これについて国連のグテーレス事務総長は声明で「歓迎する」としたうえで、トルコの外交努力や船舶の安全な航行を監視する共同調整センターの取り組みに謝意を示しました。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は2日に公開したビデオメッセージで「ロシアによるウクライナへの攻撃がなければ、世界的な食料危機の脅威が生じることはなかった」と述べ、食料価格の高騰の根本的な原因はロシアにあると非難しました。

さらに「けさもロシアの航空機が発射した複数の巡航ミサイルが『穀物回廊』の上空を通過した」と述べ、ロシア側への不信感を表しました。