群集事故のリスク どんなところに どうすれば回避できるか

韓国ソウルの群集事故は、建物に挟まれた狭い道路に大勢の若者が密集し、突然、次々と折り重なるように倒れました。
専門家は、日本の都市部を中心に人が集まりやすい狭い路地や坂道では常に群集事故のリスクがあると指摘します。
具体的にはどんなところか、どうすれば危険を回避できるのか、災害時の心理と行動に詳しい東京大学大学院の関谷直也准教授と街を歩きました。

逃げ場のない密閉空間はリスク

関谷准教授と歩いたのは、東京 原宿の竹下通りです。

若者に人気の商店街で、特に春休みや夏休みなどには多くの若者や観光客で混雑します。

2010年3月には「人気タレントが来ている」といううわさが広まって商店街の入り口付近に大勢の若者が殺到し、10代の女性3人が病院で手当てを受ける事故が起きました。

リスクは都市部のいたるところに

関谷准教授がまず指摘したのは、もともと人通りが多いことに加えて、複数の方向から人が流れ込む構造であることや、左右に建物が並ぶ狭い道という点です。

何かのきっかけで人が集まりだすと、密集した時に逃げ場がなくなって動けなくなり、群集事故のリスクが生まれるということです。

また、坂道にも注意が必要だといいます。

ソウルの事故は左右を建物に囲まれた狭い道幅の坂道で発生していましたが、竹下通りもJR原宿駅から東に向かって緩やかな坂になっています。

坂道の下では人の動きが緩やかになって歩く速度が遅くなって滞留しやくなるといいます。

両側に建物があるような“閉ざされた空間”と人が滞留しやすい場所は過密状態を作り出しやすく、事故のリスクがさらに高まると指摘します。

関谷准教授は「都市部などではこうした場所がいたるところにあるので気づきにくいが、リスクがあると知ってほしい」と話していました。

身動きが取りにくくなったら危ないと思って

では、事故の危険を回避するにはどうすればよいのか。

関谷准教授に聞くと、何よりもまず「人が密集している狭く危険な場所には近づかないことだ」といいます。

ただ、気づかないうちに危険な場所や状況に巻き込まれるおそれもあると指摘します。

例えば、広い道路と交わる小道などでは自分の行く先が混んでいるか把握しづらく、巻き込まれれば戻ることも難しいため、注意が必要だということです。

関谷准教授
「群集事故に巻き込まれる人はその直前まで『ただ人が多い』『混んでるな』と感じるだけで、リスクに気づいていないと思う。身動きが取れなくなってからでは遅く、『混み方がふだんと違う』『人の流れが止まった』と感じたら、早くその場から離れることが大切だ」

群集事故のリスク 大規模地震などでも

群集事故の危険性はイベントなどに限らず、首都直下地震など都市部での大規模な災害の際にもさらに高まると、関谷さんは指摘します。

関谷准教授
「大地震が起きて電車が止まった場合、駅から外に出ようとする人と、駅に向かう人で、密集が発生しやすい状況になる。多くの人が帰ろうとするため、駅前や地下の通路、橋など複数の方向から人が流れ込む構造の場所では、すぐに密集は発生し、群集事故のリスクが高まる」

このため、大地震の際には群集事故のリスクがあることを踏まえて、できるだけその場を動かないことが大切だとしています。

関谷准教授
「大規模地震の際には群集事故だけでなく火災や余震による建物の倒壊などの危険性があり、動かない、帰らないことが有効だ。もし外を移動する場合にはできるだけ密集リスクの少ない広い道路を歩く必要がある」