ゼレンスキー大統領 ロシアのさらなる動員の可能性を指摘

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン政権は、30万人の予備役の動員が完了したと発表しました。
政権側は「追加の動員は計画されていない」としていますが、ウクライナのゼレンスキー大統領は「動員された人たちは準備も装備も不十分だ」などとして、さらなる動員に踏み切る可能性があると指摘しています。

ロシアのプーチン大統領は28日、ショイグ国防相から先月、政権が方針を示した30万人の予備役の動員が完了したと報告を受けました。

このうち8万2000人がすでにウクライナ侵攻の任務にあたり、21万8000人が現在、訓練を受けているとしています。そのうえでショイグ国防相は「追加の動員は計画されていない」と報告しました。

予備役の動員をめぐってはロシア各地で反対デモが起きたほか、国外への市民の脱出が相次ぎ、プーチン政権としてはこれ以上の動員の計画はないと強調することで社会に広がる動揺を抑えたい思惑もあるとみられます。

これに対しウクライナのゼレンスキー大統領は28日、新たに動画を公開し、「前線で感じていることとはまったく違う。動員された人たちは準備も装備も不十分で、近いうちに、さらに人を送る必要が出てくるだろう」と述べ、ロシアがさらなる動員に踏み切る可能性があると指摘しました。

反転攻勢を続けるウクライナ軍は、28日、ザルジニー総司令官がアメリカ軍の制服組トップのミリー統合参謀本部議長との電話会談で「ロシア軍は火力で勝り、兵員を増やしたにもかかわらず成功を収めていない。防衛作戦は計画どおりに進んでいる」と伝えたことを発表するなど、一定の戦果を挙げていると強調しています。

こうした中、アメリカのバイデン政権は28日、ウクライナに対し高機動ロケット砲システム=ハイマースに使われるロケット弾を含む2億7500万ドル、日本円にしておよそ400億円相当の追加の軍事支援を行うと発表しました。

また、国防総省は、防空ミサイルシステム「ナサムス」2基を来月初旬にもウクライナ側に引き渡すとの見通しを明らかにし、ロシア軍がミサイルや自爆型の無人機による攻撃を行う中、支援を急ぐ考えを示しました。