【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(27日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ヘルソン州 7万人以上が東側に移動 ロシア側の強制移住か

ウクライナ南部ヘルソン州を支配する親ロシア派のトップ、サリド氏は26日、SNSで「この1週間で7万人以上が、州内を流れるドニプロ川の西側から東側に移動した」と明らかにしました。

サリド氏によりますと、移動した多くの住民は川の東側で生活していますが一部はロシア側のほかの地域へ移ったということです。

ヘルソン州ではウクライナ軍が反転攻勢を強め、ロシア側に占領された中心都市ヘルソンに向けて部隊を進めているとみられます。

ウクライナ軍の攻勢を受け、親ロシア派は10月22日市街地に大規模な砲撃が行われる危険性が高まっていると主張し住民に対して退避するよう呼びかけていて、ロシア側は住民の強制的な移住を進めているとみられます。

ロシア国連大使「欧米側は偽の情報を広げようとしている」

ロシアがイランから供与された無人機でウクライナを攻撃していると指摘されていることをめぐり、国連の安全保障理事会で緊急会合が開かれ、ロシアのネベンジャ国連大使は「欧米側は偽の情報を熱心に広げようとしている」と非難しました。

また、イランのイラバニ国連大使も「ウクライナの紛争で使われる武器を当事者に提供したことは一度もない。わが国に対する根拠のない主張を完全に拒否する」と述べ、ロシアとともに強く反発しました。

松野官房長官「核兵器使用の可能性を深刻に懸念」

松野官房長官は27日午前の記者会見で「ロシア側の意図についてコメントすることは差し控えるが、ウクライナ情勢に関するものを含め、ロシア軍の活動を重大な関心をもって注視している」と述べました。
そのうえで「今般のロシアによるウクライナ侵略の中で核兵器が使用される可能性を深刻に懸念しており、ロシアによる核兵器による威嚇も、ましてや使用もあってはならない」と述べました。

ロシア軍 核戦力を使った軍事演習実施 欧米側は注視

ロシア大統領府は26日、ロシア軍が核兵器の搭載が可能なミサイルなど核戦力を使った軍事演習を開始したと発表しました。演習は、定期的に行われているもので、プーチン大統領が首都モスクワからオンライン形式で指揮をとったということです。

ロシア北部のプレセツク宇宙基地から大陸間弾道ミサイル「ヤルス」を発射したほか、北西部のバレンツ海では潜水艦から弾道ミサイル「シネワ」の発射訓練などが行われたとしています。

ロシア大統領府は、戦略的抑止力を鍛えるための演習だとしたうえで、課題はすべて達成されたと強調しました。

アメリカ政府は25日ロシア側から、核戦力の軍事演習を実施すると事前に通知を受けたことを明らかにし、米ロ間の偶発的な衝突のリスクの軽減につながるとしています。

ロシア側「汚い爆弾」の主張を展開

ロシアはこのところ、放射性物質をまき散らすいわゆる「汚い爆弾」を、ウクライナ側が使用する可能性があるとする主張を一方的に展開し、プーチン大統領も26日オンラインの会議で言及しました。

ロシア国防省によりますと、ショイグ国防相も26日、中国の魏鳳和国防相やインドのシン国防相とそれぞれ電話で会談し、ウクライナ側が「汚い爆弾」を使用する可能性について懸念を主張したということです。

これに対してウクライナ側は、プーチン政権による情報のねつ造だと反発しています。また欧米各国も、証拠は示されておらず、虚偽の情報だと非難しています。

ウクライナ情勢をめぐる緊張が続くなか欧米側は、ロシア軍の核戦力の動きや、「汚い爆弾」に関する一方的な情報発信を続ける意図を、注視しているものとみられます。

米 大手自動車メーカー フォード ロシアでの事業撤退決定を発表

アメリカの大手自動車メーカー、フォードは26日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けてロシアでの事業から撤退することを決めたと発表しました。

フォードはロシアで自動車の生産などを行っていましたが、ことし2月、ロシアがウクライナに軍事侵攻したことを受けて、7か月にわたり、事業を全面的に中断していました。ロシアにある合弁会社の株式の49%を売却することで撤退するとしています。

一方、世界情勢が変化した場合に備えて、5年以内であれば、株式を買い戻すことができる権利も維持するということです。

米有力紙 “『ワグネル』代表 プーチン大統領に対して苦言”

アメリカの有力紙ワシントン・ポストは25日、複数のアメリカ政府関係者の話として、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の代表でプーチン政権に近いとされるプリゴジン氏が、軍の上層部が誤った形で戦争を進めているとプーチン大統領に対して苦言を呈したと報じました。

具体的には、プリゴジン氏は、ロシア国防省がワグネルを過度に頼る一方で、資金や物資の面で十分に支援していないとする見解を示しているということです。

ワシントン・ポストは、プリゴジン氏の影響力が強まっていることや、国防省幹部の立場が不安定になっていることが浮き彫りなったと指摘しています。
プリゴジン氏は、ワシントン・ポストの取材に対し「プーチン氏とはここ最近、連絡をとっていない。軍の専門家でもない私には部隊の活動について批判したり称賛したりする権利はない」と否定しています。

ロシア軍の劣勢が伝えられる中、今月、プーチン大統領に強い忠誠心を示す武闘派の側近が、軍部を痛烈に非難しました。

また、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部ヘルソン州の親ロシア派勢力の幹部が、ロシアの国防相を批判する内容の動画をSNSに投稿するなどして、ウクライナに対して一層強硬な姿勢で臨むべきだとする声がプーチン大統領への圧力になっているという見方も出ています。