【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(21日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる21日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

米ロの国防トップが電話会談“ウクライナ情勢議論”

ロシア国防省は21日、ショイグ国防相がアメリカのオースティン国防長官と電話で会談したと発表しました。

電話会談では、「ウクライナ情勢を含む喫緊の国際的な安全保障の問題について議論した」としています。

また、アメリカ国防総省も電話で会談したことを発表し、「オースティン長官はウクライナへの侵攻が続く中、意思疎通のルートを維持することの重要性を強調した」としています。

ロシア軍が水力発電所のダム 攻撃するおそれ

ロシアが一方的な併合に踏み切った南部ヘルソン州ではウクライナ軍の反撃を受け、ロシア軍は部隊の撤退を検討しているとみられます。

一方でロシア軍が近くの水力発電所のダムを攻撃するおそれがあるとウクライナ側は警戒を続けています。

ウクライナ軍は、南部ヘルソン州で反転攻勢を強めロシア側に占領された中心都市ヘルソンに向けて部隊を進軍させるとみられています。

これに対し、イギリス国防省などはロシア軍はヘルソンなどがあるドニプロ川の西側から大規模な部隊の撤退を検討しているという見方を示しています。

ただ、ゼレンスキー大統領はロシア軍がドニプロ川近くの水力発電所のダムを攻撃する準備を進めているという情報があるとしたうえでロシア側を強くけん制しました。

一方、ロシア軍の部隊は、ウクライナ北部と国境を接し、首都キーウにも近いベラルーシに到着していて、ベラルーシ国防省は、両軍の合同部隊の演習などを発表しています。

イギリス国防省は21日「ロシア軍がベラルーシに実際に配備した部隊の数は少ない可能性がある」として、ロシア軍のねらいはベラルーシ方面から圧力を加え、ウクライナ軍を北部に足止めさせることだと分析しています。

米国務省 “輸出規制でロシア防衛産業は重大な影響受けた”

アメリカ国務省は20日、アメリカや同盟国などが、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対し、これまでに科した制裁や輸出規制の効果について発表しました。

それによりますと、制裁や輸出規制によってロシアの防衛産業は重大かつ長期にわたる影響を受けたとしています。

具体的には、ロシアは半導体やほかの重要な部品の調達が困難になっていて、海外から入手できなくなった航空部品については、現役の航空機から取り外して使用することを余儀なくされているとしています。

また、ロシアの極超音速ミサイルは、製造に必要な半導体が不足しているため、ほぼ生産停止の状態に追い込まれているほか、地対空ミサイルなどを製造する複数の工場は、外国からの部品が不足し、閉鎖したということです。

さらに、ロシア企業による部品の供給能力が輸出規制などによって制限されたことで、ロシア軍はソビエト時代の軍備品の在庫を持ち出しているということです。

アメリカ国務省は「ウクライナにいるロシア軍に供給する物資が大量に不足しているため、ロシアはイランや北朝鮮のように技術的に遅れた国々からの供給に頼らざるをえない」と指摘するとともに、ロシアが軍事侵攻を続けるかぎり、代償を払わせると強調しています。

ゼレンスキー大統領「効果的な防衛システム入手に力尽くす」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、20日、新たに公開した動画で、「きょう、ミサイルとイランの無人機の両方を撃墜した。残念ながらすべては撃ち落とせなかった」と述べました。

そして、「私たちはより近代的で効果的なミサイルの防衛システムなどを手に入れるために力を尽くしている」として、最新の防空システムの供与を決めたドイツなど関係国からの支援に期待を示しました。

一方、ゼレンスキー大統領は、ロシア軍がウクライナ南部の水力発電所のダムを攻撃する準備を進めているという情報があるとして「ダムを破壊することは大規模な災害を意味する。そんなことをすれば、ロシアはヘルソンはおろかクリミアを含む南部全体を維持できなくなることは分かっているはずだ」と述べ、ロシア側を強くけん制しました。

米英国防相 急きょ会談 緊迫化する情勢について議論か

ウクライナ情勢をめぐってイギリスのウォレス国防相は18日、急きょ、アメリカを訪れ、オースティン国防長官と国防総省で会談しました。

イギリスなどのメディアによりますと、ウォレス国防相は、予定されていたイギリス議会の公聴会を直前にキャンセルしてアメリカを訪れたということです。

アメリカ国防総省は、会談について、ウクライナへの継続的な支援のほか、地域の安全保障や欧米各国の協力の重要性を議論したとしています。

ウクライナでは、先週、ロシア軍が首都キーウなど各地への大規模なミサイル攻撃を行ったほか、ロシアのプーチン大統領が核戦力の使用も辞さない構えを示していることなどから緊迫化する情勢について意見を交わしたものとみられます。

アメリカ “ロシア軍 イランの支援で無人機を操作して攻撃”

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は20日、記者団に対し、ウクライナの首都キーウなどで続いたロシアによる攻撃について、南部クリミアにいるロシア軍が、イラン軍の兵士の支援のもとでイラン製の自爆型の無人機を操作して行ったという見方を示しました。

カービー氏は、これまでに数十の無人機がイランからロシアに供与されたとしたうえで、ロシア軍が無人機を使いこなせなかったか、システムがうまく作動しなかったため、イラン側が兵士を現地に送り込み、操作の訓練や技術的な支援にあたったとしています。

さらにカービー氏は今後もイラン側から無人機が供与されるという見通しを示したうえで「ロシア側は兵器が不足しており、今後、イランから地対地ミサイルを含めた通常兵器を入手しようとするおそれもある」と述べ、イラン側の協力に懸念を示しました。

カービー氏は、ロシアとイランの双方に対してさらなる制裁を科していく考えを示すとともに、ウクライナに対する防空システムの供与など、追加の支援について国防総省が検討を始めていることも明らかにしました。

EU・英 イランに制裁 “ロシアに対して無人機を供与”

EU=ヨーロッパ連合とイギリスは20日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対して無人機を供与し、ウクライナの領土の一体性と主権、独立を損なったなどとして、イランに対して制裁を科すことを決めました。

制裁の対象となるのは、1つの団体と3人で、EU域内とイギリス国内の資産が凍結され、渡航も禁止されます。

EUは、制裁対象の拡大も視野に入れているとしています。

イランがロシアに無人機を供与しているとの指摘について、イランは否定していますが、EUの報道官は19日の記者会見で「われわれは十分な証拠を集めた」と述べました。

そのうえで今回の制裁についてEUは「イラン製の無人機がロシアに供与されてウクライナへの軍事侵攻に使われ、人々が殺害されている事態を非難する。EUは今後もロシアによる軍事侵攻を支援するあらゆる行為に対応していく」としています。

また、イギリスのクレバリー外相は「ロシアへの無人機の供与は国際的な安全保障を不安定にさせるイランの役割を明確に示すものだ。こうした行動の責任を、われわれは確実にとらせる」としています。

NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長も20日の記者会見で「われわれがもっている情報の詳細には踏み込まないが、ロシアに無人機を供与しているのはイランだと示すさまざまな情報がある」と述べました。

プーチン大統領 軍の訓練を視察 みずから射撃も

ロシアのプーチン大統領は20日、中部のリャザン州にある軍の訓練場を訪れ、動員された兵士の訓練の様子を視察しました。

ロシアの国営メディアによりますと、プーチン大統領は、同行したショイグ国防相の説明を受けながら、実戦を想定した訓練を視察したということです。

また、みずから伏せた姿勢で射撃を行う様子も公開しました。

先月始まった予備役の動員をめぐって市民の不安や反発が広がる中、プーチン大統領は今月14日、30万人だとする部分的な動員がまもなく完了し、追加の動員は当面必要ないという考えを示しています。

軍事侵攻でウクライナ軍の反撃を受け、劣勢にあると伝えられる中、プーチン大統領としては、みずから射撃まで行う姿を示すことで、兵士たちの士気を高めると共に国民に理解を求めるねらいもあるとみられます。

ゼレンスキー大統領「イランが得ているのは血にまみれたカネ」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、19日、カナダのテレビ局のインタビューで、ロシア軍による攻撃にイランが供与した自爆型の無人機も使われていると指摘されていることについて、「彼らは公には『何も売っていない』として否定しているが、インフラ施設や学校、大学で何百もの攻撃を受けた。エネルギーのシステムを止められたことで市民が冬を越せなくなっている」と述べ、市民生活にも大きな影響が出ていると強調しました。

そのうえで「イランはロシアに無人機を供与し、それがウクライナ人を殺害している。イランが得ているのは、血にまみれたカネだ」と述べ、イラン政府を強く非難しました。

ウクライナ ロシア軍の攻撃で電力の安定供給が困難に

ウクライナでは、ロシア軍による攻撃で、発電所などのエネルギー関連施設が被害を受けて、電力の安定的な供給が困難になっています。

ウクライナ政府は、全土で午前7時から午後11時までできるかぎり節電するよう強く呼びかけていて、首都キーウでは、電気で動くトロリーバスが一部の路線で運休するなど市民生活への影響が広がっています。

さらに、ウクライナ国営の電力会社は20日、東部のハルキウ州と北東部スムイ州、それに中部ポルタワ州で停電となるおそれがあるとして一層の節電を呼びかけています。

一方、国営の電力会社は18日、ヨーロッパ各国の電力会社などから復旧に向けた支援を受けているとして、発電機などが届けられたとする写真をSNSに投稿し、国民に対して一刻も早い復旧を目指す姿勢を強調するねらいもあると見られます。

南部ミコライウ 攻撃で多数の住宅被害 冬を前に復旧急ぐ考え

ウクライナ南部ミコライウ州の州都のセンケービッチ市長は、20日、オンラインで記者会見を行い、市内では攻撃を受けて住宅の窓ガラスが多数割れて被害が出ているなどとして、本格的な冬を前に復旧作業を急ぐ考えを示しました。

センケービッチ市長によりますとミコライウ市にはロシア軍による侵攻前、およそ50万人が暮らしていましたが、今は、22万人が残っているということです。

攻撃を受けて、市内では現在、節電のため電気で動くトロリーバスを一部運休させるなどしていて、公共交通機関は40%ほどしか動いておらず、20日は道路の信号機も稼働させていないということです。

また住宅など多くの建物では、窓ガラスが多数割れて、修復作業を進めていますが、全体の60%しか復旧できておらず、本格的な冬を前に市民生活への影響が広がっているという認識を示し、対策を急ぐ考えを明らかにしました。