【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10月20日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア軍 ヘルソンから撤退検討か

ウクライナ軍は、ロシアが一方的に併合したとする南部ヘルソン州で反転攻勢を強め今後、ロシア側に占領された中心都市ヘルソンに向けて部隊を進軍させるとみられています。

これに対し、ヘルソン州の親ロシア派は、住民をロシア側などに強制的に移住させていて、さらに、占領政策を行う統治機構もすでに安全な場所に移したと明らかにするなど退避を余儀なくされています。

戦況を分析するイギリス国防省は20日、ウクライナ侵攻のロシア軍のスロビキン総司令官が18日にヘルソン州の戦況について「非常に困難な状況にある」と述べたことについて「総司令官が『特別軍事作戦』に関して否定的な話を強調するのは非常に異例なことだ」と指摘しました。そのうえで「ロシア軍がドニプロ川の西側から大規模な部隊の撤退を真剣に検討している可能性がある」として、中心都市ヘルソンなどがあるドニプロ川の西側からロシア軍が部隊の撤退を検討しているという見方を示しています。

“ロシア軍がイランの無人機でウクライナ攻撃”安保理緊急会合

ウクライナ各地では、ロシア軍によるインフラ施設などへの攻撃が続き、欧米各国はロシア軍がイランから自爆型の無人機の供与を受けて攻撃を行っていると指摘しています。

これについて国連安保理は19日、アメリカやフランスなどの要請で対応を話し合う緊急会合を開きました。

非公開の会合で、詳しい議論の内容は明らかにされていませんが、欧米各国は、無人機の供与はイランからの武器の移転を禁止した2015年の安保理決議に違反する行為だと指摘したということです。

フランス国連大使「ロシアによる安保理決議違反」

会合のあと、フランスのドリビエール国連大使は記者団に対し「われわれはロシアによる安保理決議違反を強く懸念している」と述べ、安保理決議の履行を確認する専門家が現地に入り、調査する必要があると強調しました。

ロシア国連次席大使「欧米は偽の情報を流している」

ロシアのポリャンスキー国連次席大使は記者団に対し、会合の中で欧米側から証拠は示されなかったとしたうえで「欧米は偽の情報を流してロシアとイランに同時に圧力をかけようとしている」と主張しました。

ゼレンスキー大統領 「戒厳令はヒステリーのようなものだ」

ロシアのプーチン大統領が一方的な併合に踏み切ったウクライナ東部と南部の4つの州を対象に戒厳令を導入したことについてウクライナのゼレンスキー大統領は19日、公開した動画で「敗北が近づくにつれて強まるヒステリーのようなものだ」と非難しました。

その上でこの地域の住民に対しロシア軍が招集を行う可能性があるとして占領地を離れるか、仮に軍に所属することになってもただちに投降するよう呼びかけました。

一方、ヨーロッパ議会がことしの「サハロフ賞」に「ウクライナ国民」を選んだことについては「感謝したい。勇敢に自由を守ろうとするウクライナ国民がことしヨーロッパで認められたのは大切なことだ」と述べて国民をたたえました。

プーチン大統領 一方的併合のウクライナ4州に「戒厳令」

プーチン大統領は19日、オンライン形式で安全保障会議を開催し「ウクライナの政権は交渉を拒否している。砲撃が続き、市民が殺害されている」と批判しました。

そのうえで、ロシアが一方的な併合に踏み切ったウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州、それに南部のヘルソン州とザポリージャ州の4つの州を対象に戒厳令を導入する大統領令に署名したと明らかにしました。
プーチン大統領は、これまでウクライナへの軍事侵攻について「特別軍事作戦」としてきましたが、占領する4つの州を戦時体制に移行させました。

戦時体制のもと、強権的な行動をとれるようにすることでウクライナ軍に対して巻き返しを図りたい思惑があるとみられます。
さらに、プーチン大統領は「ロシアのすべての自治体のトップにさらなる権限を与えることが必要だ。人々の安全やテロ対策、特別軍事作戦に必要な製品を製造することなどだ」とも述べロシア国内の自治体の権限も強化して軍事侵攻を続ける構えを見せています。

アメリカ国務省 ロシアとイランの軍事的連携に強い懸念

アメリカ国務省のパテル副報道官は19日、記者会見で、「ロシアがイランから入手した無人機を使って、意図的かつ残酷に、ウクライナの市民や重要な民間インフラ施設を攻撃しているという十分な証拠がある」と述べ、ロシアを非難しました。

そのうえで「ロシアがウクライナへの不当かつ残酷な侵略のためにイランのような国に頼り続けていることは世界にとって大きな問題だ。イランは各地を不安定化させる活動を続けてきた」と述べ、ロシアとイランの軍事的な連携に強い懸念を示しました。

ウクライナ軍がヘルソン州で反撃続ける

ウクライナ軍は、ロシアが一方的に併合したとする南部ヘルソン州で反撃を続け、今後、ロシア側に占領された中心都市ヘルソンに向け部隊の進軍を行うとみられます。

これに対し、ヘルソン州の親ロシア派のトップは、19日、ヘルソンなどの住民、5万人から6万人をおよそ1週間かけてロシア側などに強制的に移住させると明らかにしました。

また、これまでにヘルソン州全体で住民のおよそ4割が離れ、占領政策を行う統治機構も安全な場所に移しているとしていて、反撃を強めるウクライナ軍に対し退避を余儀なくされています。

ウクライナ政府 全土で節電を呼びかけ

ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官は、ロシアによる攻撃で発電所が被害を受けたとして、ウクライナ全土を対象に現地時間の20日午前7時から午後11時までの間、節電を行うようSNSで呼びかけました。

それによりますと、ウクライナでは20日、全土で電気の供給量が制限されるとして、電気の利用を最小限に抑えるよう求めています。

そして、「今回の節電を行わないと、今後、一時的に停電が起きる可能性がある」として協力を訴えています。

また、20日から、市街地での街灯の点灯も減らすとしていて、「これは必要なステップで皆で協力して、それぞれの前線でできることをしよう」と呼びかけました。

「サハロフ賞」に「ウクライナの国民」

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続くなか、EU=ヨーロッパ連合の議会は19日、人権擁護に貢献した人に贈る「サハロフ賞」にことしは「ウクライナの国民」を選んだと発表しました。

サハロフ賞はノーベル平和賞を受賞した旧ソビエトの物理学者、アンドレイ・サハロフ氏にちなんでヨーロッパ議会が人権擁護に貢献した個人や団体に毎年贈っています。

ヨーロッパ議会は「ウクライナの国民」を選んだ理由について「みずからの住まいや主権、独立、領土の一体性を守るためだけではなく、自由や民主主義、法の支配やヨーロッパの価値観を守るためにたたかっている」と説明しています。

ヨーロッパ議会のメツォラ議長は「この賞は戦場で戦っている人、避難せざるをえなかった人、親戚や友人を亡くした人、信念のために立ち上がりたたかっている人たち、すべての人のものだ。ウクライナの勇敢な人々は決してあきらめないしわれわれも決してあきらめない」と述べています。

ヘルソン住民「多くの人がパニック」

ウクライナ南部、ヘルソン州の中心都市、ヘルソンで暮らす女性が19日、NHKの電話取材に応じ、親ロシア派が住民を強制的に移住させようとしているとして「多くの人がパニックになっている」と証言しました。

女性によりますと、携帯電話に「今すぐに避難してください。ウクライナ軍による住宅街への攻撃がはじまります。午前7時から避難のためのバスが出発します」などと書かれた内容のメッセージが19日未明に届いたということです。

女性は、メッセージはロシア側のプロパガンダだとしたうえで、「逃げようとする人たちは、親ロシア派やロシア側から連れてこられた教師、クリミアから来たビジネスマンなどだ」と指摘しました。

米バイデン大統領「プーチンは相当厳しい状況」

ロシアのプーチン大統領が一方的な併合に踏み切った4つの州を対象に戒厳令を導入したことについてアメリカのバイデン大統領は19日、記者団に対し「プーチンは相当厳しい状況に置かれているということだ。彼ができるのはウクライナの国民に残虐な行為をし、脅して降伏させようとすることだけなのだろう」と述べて批判しました。

また、国務省のパテル副報道官は記者会見でロシア軍が占領した地域の住民から強い反発を受けているとの見方を示し「これらの地域を統制しようと、必死の作戦をとっていることは、驚くことではない」と述べました。

そのうえで「ロシア政府がなんといおうと、また、文書で法律として定めようとしても、クリミアとドネツク州、ヘルソン州、ルハンシク州、ザポリージャ州はウクライナの領土だ」と述べ、ロシアの主張は不当だと強調しました。

ウクライナ軍 巡航ミサイル4発と自爆型無人機10機を迎撃と発表

ウクライナ軍は19日、ロシア軍の巡航ミサイル4発と自爆型の無人機10機を迎撃したと発表しました。

それによりますと、19日には、ロシア軍の戦略爆撃機が巡航ミサイル6発をウクライナへ向けて発射しましたが、このうち4発を迎撃したとしています。

また、ロシア軍は、イランが開発した自爆型の無人機「シャヘド136」を、ウクライナの北に接するベラルーシからも発射したのに対しウクライナ軍は10機を迎撃したとしています。

ウクライナの防空体制をめぐっては、今回の迎撃に実際に使われたかどうかはわかりませんが、10月10日、ドイツが最新の防空システムを供与すると発表し、ウクライナ軍によりますと、すでに実戦に投入されているということです。

また、イギリスは、対空ミサイルを供与すると発表しています。

こうした支援がウクライナの防空体制の強化につながるかが焦点となります。

ウクライナ軍 自爆型の無人機233機を撃墜したと主張

ウクライナ軍は19日、ロシアがイランから調達していると指摘されている自爆型の無人機「シャへド136」について、9月13日以降、あわせて223機を撃墜したと主張しました。

撃墜には、対空ミサイルや戦闘機のほか、機関銃などが用いられたとしています。

ウクライナでは首都キーウなど各地で無人機による攻撃が相次いでいて、ウクライナ政府は、イランがロシアに無人機を供与しているとして反発を強めています。

ゼレンスキー大統領は18日に公開したビデオメッセージで「ロシアがイランに助けを求めたこと自体、ロシアが軍事的、政治的に破たんしていることをクレムリンが認めたということだ」と述べました。

一方、イラン側は、ロシアへの無人機の供与を否定しています。

ウクライナ大統領府顧問 ロシア側を非難

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、南部ヘルソン州の親ロシア派のトップが地域の住民を対象に強制的に移住させていると明らかにしたことについて19日、SNSで「ヘルソンの併合を大げさに発表してからおよそ1か月が経過する中、自称『政権』がウクライナの正義を前に仰々しく立ち退いている。架空の世界で生きていると、現実と向き合うのはつらいのだろう」と投稿し、皮肉を交えてロシア側を非難しました。

ゼレンスキー大統領 停電などの対策会議を開く

ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、SNSに投稿し、ロシア軍によるエネルギー関連施設への攻撃で各地で停電などの影響が出ていることを受けて、対策会議を開いたことを明らかにしました。

ゼレンスキー大統領は「あらゆる状況を想定して準備している。敵がどんな企てをしようとも、ウクライナは自分たちで国を守り抜く」として重要なエネルギー施設に移動式の自家発電機などを設置して、停電などへの備えを進めるとしています。